大阪駅の新たな地下ホームの開業で、新大阪駅を発着していた「おおさか東線」が大阪駅まで乗り入れるようになりました。直通快速も大阪発着になりましたが、大和路線の区間快速とどちらが便利なのでしょうか。

大阪駅へダブルルートが誕生

 2023年3月18日(土)のダイヤ改正で、JR大阪駅に特急「はるか」「くろしお」が停車するようになりました。これまで駅が無かった梅田貨物線が地下化され、新たに「うめきた地下ホーム」が開業したのです。


おおさか東線と大和路線の快速にそれぞれ使用される221系電車(画像:写真AC)。

 それに合わせて、新大阪駅を発着していた「おおさか東線」もこの地下ホームに乗り入れるようになり、全列車が大阪駅発着に。朝夕ラッシュ時に奈良駅を発着しておおさか東線に乗り入れていた「直通快速」も、大阪駅まで来ます。

 これはつまり、奈良〜大阪間をむすぶラッシュ時の快速が、大和路線の「区間快速」とおおさか東線の「直通快速」の2ルートになったということです。運賃はどちらのルートでも810円で変わりません。大阪駅へはどちらが便利なのでしょうか。

 ちなみに、車両はどちらも白い221系電車が使用され、どちらも8両編成で運転されるように。行先を注視しないと、意図しない方向に連れていかれるかもしれません。なお、もし電車を間違えたとしても、大和路線とおおさか東線が交わる久宝寺駅で降りれば、取り返しがつきます。

所要時間と「快適度」は

 
 奈良駅から「新大阪経由大阪行き」が出発するのは、朝4本。最速は6時12分発の初便で、ちょうど1時間で大阪駅に到着します。以下3本は大和路線・大阪環状線経由の快速と並行して運転されますが、所要時間を比較してみましょう。

〇【区快】奈良6:36→大阪7:38(62分)
★【直快】奈良6:42→大阪7:43(61分)
〇【区快】奈良6:48→大阪7:50(62分。加茂発)
〇【区快】奈良7:00→大阪8:02(62分)
★【直快】奈良7:06→大阪8:11(65分)
〇【区快】奈良7:17→大阪8:14(57分。加茂発)
〇【区快】奈良7:24→大阪8:26(62分。加茂発)
★【直快】奈良7:30→大阪8:38(68分)

(区快は主な列車のみ)
★【直快】大阪17:35→奈良18:36(61分)
〇【区快】大阪17:42→奈良18:41(59分)
★【直快】大阪18:35→奈良19:36
〇【区快】大阪17:42→奈良18:41
★【直快】大阪19:35→奈良20:36
★【直快】大阪20:35→奈良21:36

 おおさか東線経由の所要時間は、これまでの大和路線経由にくらべ、ほぼ互角。区間快速は久宝寺〜天王寺間ノンストップですが、そこから大阪環状線の半周分は各駅停車となるため、走行距離は長いものの、新大阪まで速達運転するおおさか東線経由の直通快速はいい勝負をしているのです。

 もうひとつ重要になるのが「座れるか」ということ。朝の奈良始発の列車は、区間快速にも直通快速にも設定されています。しかし帰路の夕方は対照的で、大和路線の区間快速は全列車が天王寺から回ってくるのに対し、おおさか東線の直通快速は100%大阪始発。さらに「おおさか東線方面へ行く乗客」しかいないため、着席可能性は比較的高いと考えられます。

 ここで気を付けておきたいのが、「うめきた地下ホームは遠い」ということ。既存の大阪駅からは連絡通路で徒歩10分の距離にあり、目測を誤ると1時間に1本の貴重な直通快速を乗り過ごすかもしれません。なお、もし乗り遅れて3分後に発車する各駅停車に乗っても、久宝寺に到着するのは直通快速と12分差で、そこまでタイムロスではありません。

 おおさか東線の各駅停車も同じ221系で、座り心地のいい転換クロスシートです。多少遠回りでも、「せめて久宝寺までは座りたい」として利用する方法もありかもしれません。