展開速度も、乗員数も、射程も、発射速度もAS90より優れているとか。

ボルボ製6WDトラックの車体を使った装輪自走砲

 イギリス国防省は2023年3月16日、同国陸軍向けの新自走砲として装輪式の「アーチャー」を14両導入すると発表しました。


BAEシステムズの子会社BAEシステムズAB(旧ボフォース)が製造する「アーチャー」装輪自走砲(画像:BAEシステムズ)。

「アーチャー(ARCHER)」は、スウェーデンとノルウェーが共同開発し、BAEの北欧子会社BAEシステムズABが製造する車輪駆動の自走榴弾砲です。車台にはスウェーデンの自動車メーカー、ボルボが製造する6輪駆動のダンプトラック「A30」のコンポーネントが用いられ、そこに長砲身の155mm榴弾砲が自動装てん装置とともに搭載されています。

 装輪式のため移動速度が速く、即応性に優れているそう。また自動装てん装置を搭載しているため、射撃準備にかかる時間が短く、かつ1分あたりの射撃速度も早いのが特徴です。加えて射距離は、延伸弾を使った場合、50kmに達するとのこと。乗員数も3〜4名と少なく、かつ乗員は外に出ずに全ての操作を装甲で覆われた車内から行えるようになっています。

 イギリスは昨年(2022年)2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻以降、自軍が保有していた装軌(キャタピラ)式の自走砲AS90を32両、ウクライナに引き渡しています。今回、導入を決めた「アーチャー」はその穴埋め分だといいます。

 イギリス国防省によると、最初の車体は今月(2023年3月)中に納入されるとのことで、来年4月には実運用をスタートさせるとしています。