「この人を逃したら、もう誰もいないかもしれない」33歳女の彼氏が、彼女との結婚を渋るワケは…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼（彼女）は何を思っていたの…？
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は？
▶前回：何回目のデートで告白するのが正解？3回以上デートを重ねた結果、男に待ち受けていた悲劇
「大地、本当にいい加減にしてよ」
心の中で、何度そう叫んだだろうか。
でも4年も付き合っているのに、私たちは結婚にいたらない。
大地がなかなか決断してくれないのだ。
自分でもわかっている。結婚したいならば、こんな結婚願望のない彼氏など早めに見切りをつけて、次にいったほうが良いことを。
でもここで別れてゼロからのスタートになるのはとても怖い。次に付き合えそうな人も今のところいない。すべてを失う勇気が、私にはない。
だけど私は、彼とこのまま付き合っていて本当にいいのだろうか…。
Q1：男が結婚に踏み切れない理由は？
大地と出会ったのは、食事会の席だった。建築家だという彼は自分の事務所を構えており、同年代なのに落ち着いている雰囲気が素敵だなと思った。
「じゃあ今年で32歳ですか？私の3歳上ですね」
「祐実さんって29歳なの？若く見えるね」
最初はふわふわとしていた会話だったけれど、翌日大地からお礼のLINEが来て、食事に誘った。
そこから1ヶ月に一度くらいの頻度で食事に行き、いつの間にか恋人になっていた…という感じだ。
最初は順調だった。だから交際して1年くらい経つ頃には、そろそろ大地から結婚の話をしてくれるだろう、と信じて疑っていなかった。
そして30歳になる誕生日の夜。私は期待に胸を膨らましながらデートへと向かった。
「祐実、お誕生日おめでとう」
「ありがとう！！」
『コンラッド東京』に入る鉄板焼『風花』のお誕生日ディナー。大地も気合が入っているのが分かったし、私も少し緊張していた。
― 私、指輪のサイズとか、ちゃんと伝えていたかな。
そんなことを考えながら、胸が鳴る。
「祐実、何歳になった？」
「もう30歳だよ〜」
「ふ、そっか。でも“まだ”30歳だよ」
しかしさっきまでの期待とは裏腹に、この一言で嫌な予感がしてきた。
― あれ？男性と女性が考える30歳って、全然違うのかな…。
結婚願望が強い私は、30歳までに何とかしたいと思っていた。そして29歳という素晴らしいタイミングで出会え、交際にいたった大地に対して少なからずとも運命を感じていた。
けれども大地はそんなことまったく考えていないのだろうか。急に不安が胸をよぎる。
そしてその不安は的中し、結局この日はプロポーズなんてなく、素敵なお誕生日のお祝いだけしてもらって終わってしまった。
「大地、あのさ…」
「うん？」
「いや、なんでもない」
こんなことが30歳の誕生日だけではなく、33歳の誕生日まで続いた。
もちろん、私にだって限界がある。だから別れ話もしていた。
「大地に結婚する気がないなら、別れる」
「わかってるけど、まだタイミングじゃないというか…」
「大地が言う『タイミング』っていつなのよ？もう3年経つよ？なんでそこまで結婚したくないの？」
「祐実だって知っての通り、僕の周りで幸せな結婚している人がいないじゃない」
なぜかわからないけれど、たしかに大地の周りはひどい別れ方をしている人たちがたくさんいた。
「それはそれ、私たちは私たちでしょ？」
「そうだけど…」
そんな煮え切らない大地に三行半を突き付けたことは、何度もあった。でも悔しいけれど、結局大地のもとに戻ってしまう自分がいた。
Q2：彼女の両親に挨拶へ行った理由は？
しかし2人の仲にちゃんと進展はあった。何度目かの別れの危機を乗り越えた時、同棲を始めることになったのだ。
このままズルズルと付き合っているよりは、少しでも前進するかなと思ったからだ。
しかも大地は、同棲する前に私の両親に挨拶に来てくれた。
これは生半可な気持ちではない…という彼なりの誠意だったと思っている。
― ちゃんと将来のこと考えてくれてるんだ！
そう思うとかなり嬉しかった。
「こういうのは、ちゃんと挨拶に行かないといけないから」
「大地…。ありがとう」
大地は変に律儀なところがある。
日本男児らしいと言えば聞こえは良いかもしれないけれど、結婚に対しても彼なりの理想があるようだった。
「結婚したら、離婚とかしたくないんだよ。一度愛すると決めた女性と、一生添い遂げないと」
今時そんな深刻に考えなくても、とも思ったが、私の両親への挨拶も、大地らしい行動だったと思う。
でも同棲を始めて約1年。結局、私たちの関係は何も変わっていない。
「大地、今日も遅いの？」
「うん、友達と飲んでくる」
「あんまり飲み過ぎないでよ？」
「わかってる。先に寝ていていいから」
大地はもともと飲むことが好きだった。それは知っていたけれど、ここまでの頻度で飲みに行っていると知ったのは、一緒に住み始めてからだった。
「ただいま…って、祐実まだ起きてたの！？」
「寝れなくて。お帰り」
しかも大地は外へ飲みに行くと、24時くらいまで帰ってこない。あまりうるさく言うつもりはないけれど、さすがに連日だと一緒に住んでいる私まで疲れてくる。
でも別れたいけれど別れられない理由は、家賃や光熱費は、全額大地が負担してくれているというのも大きかった。
ただこの先ダラダラと付き合っていて、将来はあるのだろうか…。最近は毎日、そんなことばかり考えている。
「ねぇ大地。本当に私たち、どうするの？」
痺れを切らして、何度そう問いかけてもでも大地からの返事はいつも一緒。
気がつけば、私はもう33歳になっている。マッチングアプリの年齢区分の、30歳〜34歳の枠に入れるのはあと1年しかない。
正直、大地でなくてもいい。他の人でもいい。
でも今からまた婚活市場に戻って良い人に出会える保証はどこにもない。
― 大地と別れて誰とも出会えなかったらどうしよう…。
年齢を重ねるごとに不安は増していく。だから一歩踏み出すのが怖くて、結局私は結婚してくれない彼氏とズルズルと一緒にいる。
▶前回：何回目のデートで告白するのが正解？3回以上デートを重ねた結果、男に待ち受けていた悲劇
▶1話目はこちら：「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT：2月12日 日曜更新予定
男が結婚に踏み切れない理由は？
