柳井正 ファーストリテイリング会長兼社長

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古今東西、 経営の原理原則は同じ

 ─ さまざまな試練の中で、大事なのは経営の基本軸をどう据えるか。ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さん、この混乱期にも増収増益を続けていける理由は何ですか。 

 柳井 ピンチの時こそチャレンジですよ。世の中が変わって、スタートラインに立てば、皆が同じ競争条件だと思わなければならないと思います。 

 ─ ということですね。創業以来、柳井さんは『服を変え、常識を変え、世界を変えていく』と言い続けてきました。この理念も変わらないわけですね。 

 柳井 変わらないですよね。企業経営をやるということは、そういうことなのではないかと思います。というのも、世の中の流れに合わないと、どういう事業をやってもダメですよね。 

 組織が古くなると、人間は同じことを繰り返すんですよ。特に大企業ほどそうなるんです。繰り返しているつもりはなくても、同じ土俵やレールをぐるぐる回っていると。そういうところがダメなんだと思います。 

 やはり、当社ができるのであれば、他の会社もできるんです。それを「できない」とばかり考えたり、「できる」ということを前提にしてやらないから、おかしくなる。できない理由などありません。 

 ─ これまで柳井さんは人づくりを一生懸命やってきました。柳井さんから見て評価する人たちはどういう人ですか。 

 柳井 やはり、自分が理想を持っている人であり、仕事に対して生きがいを感じる人です。 

 金銭的な報酬は当然なんですけど、それ以上に自分の仕事はこれしかないと思える人が企業には必要です。特に経営者など、上に立つ人がそう思わないといけない。当社のように、いろいろなブランドがあって、日本でもアジアでも欧米でも事業をやっていると、双方で課題を解決していかないといけません。 

 だから、当事者意識が無い人たちは経営者になれないと。私が嬉しいのは、当社の20年選手、30年選手がそれぞれ経営者として育っていった。だからこそ、うまくいっているのだと思います。 

 ─ それと柳井さんは昔から中国の取引先企業と共存共栄でやってきましたね。中国とはどのようなスタンスで臨んでいきますか。 

 柳井 私は中小企業であろうと、大企業であろうと、正しい経営が大事だと思います。 

 世の中のため、お客様のため、取引先のため、あらゆるステークホルダーにとって役に立たないような経営では意味がないと思いますし、古今東西、経営の原理原則は同じです。日本であろうと、中国であろうと、米国であろうと全部一緒ですから、原理原則に沿った経営をやっていけば、悪くなるようなことはないし、自ずと道は拓けると思います。

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