「怪しい…他の女といるの？」LINEは盛り上がるのに、電話には一切出ない彼の“事情”
「彼って…私のこと、どう思っているんだろう」
連絡は取り合うし、ときにはデートだってする。
自分が、相手にとっての特別な存在だと感じることさえあるのに、“付き合おう”のひと言が出てこないのはどうして？
これは、片想い中の女性にとっては、少し残酷な物語。
イマイチ煮え切らない男性の実態を、暴いていこう。
▶前回：「今日はだめ…」彼の家で映画鑑賞。腰にのびてきた彼の手を、女が振り払った理由
直前までLINEをしていたのに、電話には出てくれないのはどうして？（翼・28歳の場合）
― うーん、出ないなぁ。
電話をかけた相手は、遥人。
3ヶ月前にマッチングアプリで出会った私たちは、すでに5回デートをしている。
そして今夜は、週末に約束している映画デートの話で、1時間ほどLINEが盛り上がっていた。
つい、浮かれてしまった私は、勢いまかせにLINEアプリの画面右上にある受話器マークをタップした。
ところが、彼は電話に出ない。
― もしかして、寝落ちしちゃった？
ふと時計に目をやると、まだ20時。寝るには早い。
― おかしいな。つい2〜3分前まで、メッセージのやりとりは頻繁に続いていたのに…。
お互いにテンションは上がっていたはずだ。仮にお風呂にでも入っているのなら、あとで折り返しの電話かLINEがくるだろう。
そう思っていたのだけれど―。
遥人：ごめん、寝てた！
遥人からようやくLINEが返ってきたのは、翌日のお昼近くだった。
…実を言うと、前にも1度、同じようなことがあった。
LINEのラリーがテンポよく続くものだから、電話で話してもいいのでは…と思って、いざかけてみたら、そこでプツリとやり取りが途切れてしまったのだ。
LINEはよくても、電話はだめ。これには、何か理由があるのだろうか。
その背景に、女性が絡んでいなければいいのだけれど…。
さかのぼること、今から3ヶ月前。
スマホのホーム画面を整理していると、登録したままになっていたマッチングアプリの存在に気がついた。
― アプリ…あまり使わなかったし、退会しようかな。でも、その前にちょっとだけ。
そんな軽い気持ちで、久しぶりにログインしてみたのだった。
画面をスクロールする指先がピタリと止まったのは、“いいね”をしてきてくれたある男性のプロフィールページ。
遥人、27歳、公務員…趣味は、映画鑑賞―。
これまでの私は、年上の会社員と付き合うことが多かった。だから、遥人の年齢と職業が、どこか新鮮に映った。
じっくり読んでみると、プロフィールを丁寧に書いているところも好印象だ。
― 真面目そうな人。“いいね”、返してみようかな。
こうして、マッチングが成立。翌日、彼からメッセージが送られてくると、ほどなくして日に何度もやり取りを交わすようになり、すぐにLINEを交換したのだった。
1回目のデートは、マッチングしてから2週間後。
「待ち合わせ時間、大丈夫でしたか？僕が定時でわりと早く帰れるからって、早すぎたかな…って」
金曜日の18時半。
待ち合わせは、六本木の中華料理店。私が到着すると、遥人は心配そうな視線を投げかけてきた。
「ううん、大丈夫です。私も、残業ってほとんどないので」
「翼さんって、受付の仕事をされてるんですよね？勤務先、この近くって言ってましたよね」
「はい、だから全然！仕事が終わって、すぐに来れました。あ、飲み物どうします？」
「じゃあ、僕はビールを。ていうか、年も近いし、敬語やめませんか？」
会う前の遥人のLINEからは、真面目な印象が伝わってきていた。けれど、実際に顔を合わせると、カジュアルな雰囲気で話しやすい。
すっかり打ち解けた私たちは、その日のうちに次の食事の約束をした。そして、順調にデートを重ねていったのだった。
ところが―。
品川にある水族館で、デジタル花火とイルカのショーを満喫した5回目のデートのあと。
― このまま、うまくいっちゃったりして…！
帰宅してからも、ショーの写真を送り合い、感想を言い合うLINEが続くと、高ぶった気持ちがなかなかしずまらない。そこで、私は、思い切って彼に電話をかけてみることにした。
コール音が、5、6、7回と続く…。
― あれ？おかしいな。今までずっとLINEしてたのに。
結局、遥人は電話に出なかった。しかも、日づけが変わるころになっても、折り返しの電話も、LINEもこない。
何か、気に障ることでも送ってしまったのだろうか…？LINEの内容を見返しても、思い当たる節はない。
― まさか、ほかの女性と会ってる…とか？いやいや、もう22時だし…。
思わず疑ってしまうのは、前の彼氏が、自分とのデートのあとにほかの女性と会って、浮気をしていたことがあったからだ。
◆
不自然にやり取りが途絶えてから、丸1日。
LINEの通知音が鳴るたびに、飛びつくようにスマホに手を伸ばす。ようやくポップアップに遥人の名前を見つけることができたのは、夜になってからだった。
遥人：ごめん！帰ったあと、すぐに寝ちゃったみたいで。今日も仕事でバタバタしてて。
このままフェードアウトされてしまうのではないか、と不安に思っていた私がホッと胸をなでおろすと―。
遥人：週末、映画でも見に行かない？
立て続けに、もう1通LINEが送られてきた。落ち込んだ分、これには気分が急浮上。私は、彼の誘いを快諾した。
翼：お疲れさま！映画、いいねー行こう！
遥人：翼ちゃん、見たい映画ってある？
翼：私、TikTokで話題になった並行世界を行き来できる2人の…あの映画が見たいな。
遥人：あーそれ、2作同日公開のやつだよね。僕も気になってた！
こんなやり取りが、1時間ほど続いた。
― 今なら電話で話せるよね？
私は、再び遥人に電話をかけてみた。しかし、わずか数分前までの盛り上がりが嘘のように、LINEまでもシンと静まり返ってしまったのだった。
翌日になって送られてきたLINEには、「ごめん、寝てた！」のひとこと。
電話に出ないだけでなく、かけ直しもしないのは、ただ単に電話が苦手だからなのか。それとも、別の理由があるのか。
ジワジワと胸をしめはじめる不信感。
そのまま迎えた、映画デート当日。私は彼に、ある質問を投げかけてみることにした。
「遥人くん、映画すっごく面白かったね！」
「うん！面白くてあっという間だった。じゃあ、ご飯食べに行こうか」
遥人には、これといって変わった様子は見られない。だから私もいつも通りを装い、レストランで彼と向き合って座る。
メニューを見てひと通り注文を済ませると、ごく軽い口調でこう聞いてみた。
「ねぇ、遥人くんって、普段からあまり電話とかしないほう？」
「えっ？どうしたの、いきなり…？」
「うーん、私たちっていつもLINEでやり取りしてるから。電話で話すのも、たまにはいいかなーって」
「…あぁ、そうだよね」
そう言ったきり、彼は伏し目がちになった。
― えっ…何か、マズイこと言っちゃった？
慌てた私は、付け加える。
「あ、ううん！電話って、タイミングもあるもんね。LINEのほうがいつでもできるし。でも、たまには電話もしたいな…」
ここまで言って、遥人のほうを見ると―。
ブーッブーッブーッと、テーブルの上に置かれた彼のスマホが鳴りはじめた。
どうやら、電話がかかってきているようだ。
「そう、電話って出られないときがあるからさ…」
彼は、気まずそうにスマホの画面を裏返すと、その電話には出ずに、スマホをジャケットのポケットにそっとしまうのだった。
けれど、私は見てしまった。
“美佳”と表示された着信画面を―。
― 美佳さんが、どういう関係の人かは知らないけど。もっとうまくやればいいのに…。
急にソワソワしはじめた、目の前の遥人。
その場を取り繕おうと、必死に話題を変えようとしている姿に、次第に熱が冷めていくのを感じた私は「本気で好きになる前で、よかった」と思うのだった。
LINEは“ながら”でもできるけど、電話は…（遥人・27歳の場合）
マッチングアプリで、素敵な女性と出会った。
翼、28歳、会社受付…趣味は、愛犬との散歩―。
トイプードルと並んで写った、屈託のない笑顔が自然でかわいい。しかも、思いのほか気が合って、マッチング後、すぐにデートが実現。
翼は、見たい映画や行きたいレストランなど、自分の希望をポンポンと提案してくれるところが好印象。それに、LINEのペースも合って、コミュニケーションが心地いい。
…はずだったのだが、最近、彼女のことで頭を悩ませている自分がいる。
― あ、また電話だ…。悪いけど…。
そう、僕は、電話に出たくないのだ。
もちろん、仕事やそのほかの重要な電話は、話が別。
だけど、女性とのコミュニケーションは、基本的にはLINEが好ましいと思っている。
こんな言い方は失礼かもしれないが、“何かをしながら”できるからだ。
帰宅後は、登録しているサブスクで気になる映画を見ながら、LINE。食事の最中でも、LINEなら返すのは苦にならない。
しかし、電話となると、作業を一時停止しなくてはならない。それが、とりとめのない長話だった日には、ちょっとしたストレスを感じてしまう。
相手には悪いなと思うからこそ、LINEでは密にやり取りをするようにしているのだけれど、そんな自分勝手な道理はなかなか通用しないことも多い。
先日、彼女から、電話でも話したいと言われてしまった。
しかも、そのとき。タイミング悪く、妹の美佳から着信があった。
僕としては、翼との時間を優先して電話にでなかったつもりなのだが、彼女はどこか冷めた目でこちらを見ていた。
もしかしたら、ほかにも親しい女性が…とでも思ったのかもしれない。
まぁ世の中には、そういう理由で電話にでない男もいるだろうが、僕はそうではない。それを、うまく伝えることができずにいたら、翼からの連絡がパタリとこなくなった。
彼女のことを好きになりかけていただけにショックだったが、本気になる前でまだよかったのかもしれない。
それにしても、やはり電話に出ない男は、疑わしさから恋愛対象外になってしまうのだろうか―。
▶前回：「今日はだめ…」彼の家で映画鑑賞。腰にのびてきた彼の手を、女が振り払った理由
▶1話目はこちら：既読スルーばかりのカレ。「熱がでた」と送ってみると、予想外の反応で…
▶NEXT：10月19日 水曜更新予定
SNSでのコミュニケーションは活発なのに…LINEを交換したがらない男の秘密とは？
