葵わかなが語る『結婚するって、本当ですか』を通して感じた“結婚観への変化”
取材・文:瑞姫
撮影:三浦晃一
編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部
スタイリスト: 武久真理江
ヘアメイク:石川奈緒記(Naoki Ishikawa)
10月7日(金)よりPrime Videoで独占配信される、人気コミックを実写化したAmazon Originalドラマ『結婚するって、本当ですか』。旅行代理店に勤務する奥手な主人公男女二人が「大切な一人の生活を守るため」に“計画結婚”を決意し、徐々にお互いを知っていくことで惹かれ合っていく超むずきゅんラブストーリーです。
本ドラマで奥手同士の男女の恋愛模様を演じるのは、俳優の佐藤寛太さんと女優の葵わかなさん。今回は葵さんに、一見クールに見えるけれど極度の人見知り……というキャラクター・本城寺莉香を通して感じた結婚への考えや、自身の恋愛観について聞きました。
■自分と“似ている”莉香というキャラクター
――まず最初に、この作品の好きなところを教えてください。
一番最初に好きだなと思ったところは、私の演じた莉香役も、佐藤さん演じる拓也役もすごく“普通”で地味なところ。
少女漫画の主人公は基本的にみんなキラキラしている印象なのですが、二人は自分が恋愛とは程遠いと思っているし、関係が進んでいくのも遅く、進んだかと思ったら少し戻ったり……。そういうムズムズするような「人見知り同士が恋愛するとこうなるよね」という部分が、リアルに描かれているのが好きです。
私自身、どちらかというと莉香のように人見知りですし、学生時代から華やかなタイプではなかったので、すごく共感できました。
――葵さんが莉香に一番似てると思った部分はどこでしょうか。
莉香は心配性なので、色々なことをリスクマネジメントして考えていて、感情で動くことがほとんどないんです。私は演技の仕事をしているので、感情に沿って動くことは莉香よりあるのですが、すごく心配性で、色々なことを考えて動くタイプなので、考え方や軸となる部分は結構自分と似てるなと思います。
自分と似ている役をこれまでやったことがなかったので、「こんなに自分と似ている役が来るなんて!」と思いましたし、嬉しかったです。
――共感したシーンなどはありましたか?
拓也の家で一晩を過ごすシーンがあるんですが、奥手な二人なので、同じベッドで寝るとかそういうことはなくて、部屋の中にテントを立てて、同じ空間だけど仕切りがある状態で寝るんです。しかも、すぐ近くにいるのに、二人のやりとりはメール。
すごく緊張してドキドキするような状態で、送っている文章自体は「眠れますか?」とか「暑くないですか?」とか、なんてことない文章なんですが、そこに対しての返信に「こんなこと送っちゃった」とか「今の圧が強くなかったかな?」とか、それ以上の思いがあって莉香はやりとりをしていて……。
そうやって一つの返事に対して「何て返そう」とすごく悩むところにすごく共感しましたし、こういうのが“むずキュン”なんだろうなともすごく感じました。
――逆に演じる上で難しかったシーンや、苦労したシーンはありますか?
莉香も拓也も普通だけど、“結婚するフリ”という設定はすごく特殊なので、それをどうやったら“現実にありそう”と思ってもらえるのかは考えながら演じていましたし、秘密の計画結婚を最初に莉香から持ちかけるシーンは一番難しかったです。
莉香が拓也とまだ全然仲良くない時に“利害の一致”で提案するシーンはコミカルでありつつも、二人の切実さがしっかりと伝わるように意識しました。「私達結婚しませんか」というのは、すごくシンプルでストレートな言葉ではあるのですが、「一人の大切な生活を守りたい」という切実な思いを抱えている上での言葉なので……。
莉香と自分は似ているけれど、“偽装結婚”を提案するという莉香だからこその提案は自分にはない部分だったので、そこは監督と相談しながら考えながら演じていた部分です。
■佐藤寛太&松村沙友理とは「ずっと色々な話をしていました」
――ドラマでは拓也役を演じる佐藤さんや、拓也の幼馴染・海山ナオ役を演じる松村沙友理さんなど、同世代の方との共演も多かったと思うのですが、現場での様子はどうでしたか?
皆さん、年齢が近いので結構すぐに打ち解けられました。莉香の部屋としてマンションを借りて撮影をしていたときに、空き部屋を待機部屋として使わせてもらっていたのですが、そこに三人で入って、趣味とか、ハマってるものとかずっと色々な話をしていました(笑)。
入り時間がバラバラの時ももちろんあるんですが、三人そろった時はだいたい一緒に居て、待ち時間もすごく楽しかったですし、ご飯の時も大部屋でスペースがあるのに三人で固まってお弁当を食べたりしていて、学生時代に戻ったような気持ちでした。三人で居る時のバランスがしっくりきていて、心地良かったです。
――撮影期間はすごく楽しい時間だったんですね。
そうですね。莉香と拓也は旅行が好きなので、色々な場所で撮影をしたのですが、それも楽しかったです。
広島の尾道では拓也と二人で尾道を観光しているセリフの無いシーンを撮影したのですが、天気が良い中で、売店でソフトクリームを買って食べたりとか、本当に遊びに来て観光しているみたいな感じでした(笑)。私自身、旅行が好きなので、撮影では旅行している気分を味わえて良かったです。
■作品を通して変化した“結婚観”「個々がしっかりすることが大切」
――原作では「結婚は新しい冒険の始まり」という言葉がありますが、作品を演じてみてどういった部分が結婚において冒険だと感じましたか?
莉香と拓也が旅行好きということもあって、結婚を“冒険”という言葉に言い換えているのかなとも思いましたし、「結婚が自分たちの人生を彩るスパイス」という捉え方の結婚だなと感じました。
一人で歩いていく道もあるけれど、パートナーができて、RPGゲームでいう同じチームの戦友のような、“二人で戦っていく新しい人生の道”というのが“冒険”という言い表し方になったのだと思うし、そういう結婚ってすごく素敵だなと思います。
――作品を通して、結婚と結婚生活に対するイメージは変わったりしたのでしょうか。
変わりました。結婚は二人で助け合って、お互いを思いあって……みたいな、もう少し甘いイメージがあったのですが、それだけではないんだなと。ドラマの中でも離婚していたり、独身だったり、色々な人たちがいて、結婚は一つの選択肢に過ぎなくて、選べる時代になっているんだなっていうのをすごく感じたんですよね。
この作品を通して、身を削っての結婚ではなく、一人ひとりの人生のプラスアルファとして、個々を繋ぐことによってできるチームというような結婚の仕方が、今の時代らしくていいなと思いました。
――「結婚したい」という気持ちは生まれましたか?
結婚することで人生がチームプレーになると考えると、心強いなとは思います。楽しいことも、悲しいことも、仲間がいたらもっと人生楽しめそうだなと思いますし、そういうポップな考え方で結婚を捉えられるのって素敵だなと。
――なるほど。では最後に、作品を演じた上で感じた、結婚において一番大切だと思うことを教えてください。
正解は分からないですけど、一人の時間を楽しむことは一番大切だなと思いました。莉香と拓也はすごくそれを大切にしていたし、二人でいるからこそ、一人でいても寂しくないし、逆に自分一人の時間があるからこそ、二人でいることに感謝もできる。二人での生活であり、二人の人生だけど、個々がしっかりすることが大切なんだなということをすごく感じました。
あとは元々全く違う人間同士が一緒になるので、何か壁にぶつかったときでも、相手のことを否定せずに、それぞれの価値観の妥協点を探していくのは大事かなと思います。言ってるだけで、出来るかどうかは分からないんですけど(笑)。
でも、それって恋愛だけじゃなくて、友達関係でもそうだと思うんです。相手が大切にしているものを貶してしまったら、同じことが自分にも返ってくる。人は鏡だと思うので、思いやりをもって許し合って、話し合うことが大切なんじゃないかなと思います。
■まずは個々がしっかりと生き、尊重し合うこと
莉香の行動や発言だけでなく、その裏にある気持ちを読み取り、尊重するよう、大切にこの作品を演じてきた葵さん。真摯に向き合うその姿勢は、一つひとつの質問にとても丁寧に答えてくださるインタビューにも表れていた。
“計画結婚”という突拍子もない提案ではありつつも、そこに関わる二人の男女が大切にしたいのは「大切な一人の生活」という、ごく普通の願い。楽しいことばかりではない世の中だからこそ、「人生がチームプレーになると考えると、心強いなとは思います」と話してくれた彼女の言葉は、演じることで変化があったという結婚観への変化や、この作品の魅力が体現されている気がした。個々がしっかりと生き、尊重し合うことが結婚には大切なのかもしれない。
衣装協力
・beautiful people
・nil jewelry
・AGU
◇Information
Amazon Originalドラマ『結婚するって、本当ですか』
「大切な一人の生活を守るため 」 の計画結婚が巻き起こす超むずきゅんラブストーリー!
旅行代理店に勤務する本城寺莉香と大原拓也役。独身生活を愛するマイペースな二人に突如訪 れた、“独身者対象”のアラスカ支店派遣の危機。日本での平和な日常を守りたい主人公二人は 、海外転勤を逃れるために計画結婚をすることに……!?
出演:葵わかな、佐藤寛太、松村沙友理、内藤秀一、山口紗弥加、生瀬勝久 他
監督:宮脇亮、北川瞳
脚本:鹿目けい子、高石明彦
©若木民喜・小学館/2022 結婚するって、本当ですか製作委員会