エンゼルスの大谷翔平【写真:ロイター】

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マーク・デローサ氏「野球史上誰も見たことがないことをやっている」

 米大リーグのエンゼルス・大谷翔平投手は29日(日本時間30日)の本拠地アスレチックス戦で8回2死までノーヒットノーランの快投で15勝目を挙げ、大きな話題になった。WBC米国代表監督のマーク・デローサ氏は「野球選手史上最も才能あふれる選手だった」と絶賛した。

 米MLB専門放送局「MLBネットワーク」公式YouTubeチャンネルに登場したのは、WBC米国代表監督を務めるマーク・デローサ氏。「昨晩の彼はグラウンドに登場した野球選手史上最も才能あふれる選手だった」と大谷の登板を振り返った。

「以前の野球界では(アスレチックスの)トニー・ケンプのような比較的小柄な選手が1番打者で、球数を投げさせて、ベンチに帰ってきた後に『ツーシームは動きが悪かった。フォーシームは爆発力があってスライダーはシャープだった』と同僚に伝えていたんだ。『この球に準備をしておけ』とね」

 通常は機動力型のリードオフマンが、対戦した投手の情報共有を後続の打者にすると説明。その上で、この日の大谷にある変化が見受けられたことに触れた。言及したのは初回先頭のケンプに対し、フルカウントとなった場面だ。

「(カウント3-2から)何を投げると思う? 試合は始まったばかりだからフォーシームを低めに放るでしょ。彼はバックドアのカットボールを投げたんだ。今日は良い速球がないのを相手に教えたかのようだった」

特筆したのは154キロ高速ツーシームで斬った打者マーフィーの場面

 この日の投球について「ほぼ全ての球種で球速がシーズン平均より遅かったんだ」とデータを見ながら分析。「彼はそれが分かっていたから、いつもとは少し違う形で攻めた」。球が走っていないとみて、クレバーに投球スタイルを変化させたことを指摘した。

 そして、特筆したのは4回2死から3番マーフィーを空振り三振に斬った場面。「1球目がカーブ。そのあと97マイル(約156キロ)のツーシームだ。フォーシームより球速がある。そこからスライダーを外角のボールゾーンへ。続いてダスティン・メイ級の98マイル(約157キロ)のシンカー」と配球を振り返り、こう続けた。

「彼(マーフィー)は何が来るのか全く予想がつきませんよ。そして(決め球は)大きく動く96マイル(約154キロ)のツーシーム。野球史上誰も見たことがないことを彼はやっている。ちなみに、打線の中軸でもあるけどね」

 二刀流ながら規格外のピッチングを披露した大谷に賛辞を惜しまなかったデローサ氏。特に、マーフィーを空振り三振に斬った高速ツーシームは「ピッチングニンジャ」の愛称で知られる米投球分析家ロブ・フリードマン氏もツイッターで取り上げ、米ファンの間でも話題になっていた。

 投手としても打者としても進化の止まらない二刀流はWBC米国代表監督も認めるところとなっている。

(THE ANSWER編集部)