JR新宿駅に設置された大谷ビジョンで放映された盗塁シーン。ア・リーグのMVPレースも一気に抜け出す(東スポWeb)

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 エンゼルスの大谷翔平投手(28)は22日(日本時間23日)に“MVP投票”で60発男・ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(30)に大逆転で勝利した。序盤の9・9ポイント差をひっくり返し、逆に11・5ポイント差をつけた。史上最もハイレベルな今季のア・リーグMVPレースで、米メディアが9月に入ってアーチを量産し、リーグ記録の61本塁打にあと1本に迫っているジャッジを「優勢」とする報道が増える中、ファンは大谷を圧倒的に支持した。歴史を追うアーチストと歴史をつくる二刀流のどちらが受賞するか、最後まで分からない。

 投票実施のきっかけは20日(同21日)に公開された米スポーツサイト「アスレチック」のポッドキャスト番組「ベースボール・ショー」だ。アスレチックの看板記者ジェイソン・スターク氏が判事役を務め、弁護士役のMLB公式サイトのマイク・ペトリエロ記者(大谷派)と「FOXスポーツ」のジェイク・ミンツ記者(ジャッジ派)が裁判形式で激論したが、結果は「引き分け」。そのためスターク氏は自身のツイッターでファンに投票を呼び掛けた。

 4419票時点で大谷は44・1%でジャッジが54%、その他2%だったが、6194票の段階で大谷49・7%、ジャッジ48・3%と逆転。その後は少しずつ差を広げ、最終結果は大谷が54・8%でジャッジは43・3%、その他2%と圧勝した。投票総数7174票だった。

 今季のア・リーグMVP争いはともに「ユニコーン」の対決で大激戦だ。大谷は1918年のベーブ・ルース以来、104年ぶりの「2桁勝利&2桁本塁打」の大偉業を達成。史上初のダブル規定到達まで残り14イニングに迫っている。ジャッジも21日時点で1961年にロジャー・マリス(ヤンキース)がマークしたア・リーグ記録の61本塁打にあと1本。128打点はメジャートップ、打率3割1分7厘はリーグトップで、依然として3冠王だ。

 米メディアではジャッジが60本の大台に乗せたことから「MVPはジャッジ」とする報道が目立ってきたが、今回の投票でファンは大谷を支持した。

 ジャッジは歴史に挑んでいるが、60発以上は6人目(9度目)だ。本塁打のシーズン最多は“ステロイド時代”ではあるが2001年にバリー・ボンズ(ジャイアンツ)が放った73本。それには及ばない。

 大谷は個人成績でトップは奪三振率(11・92)だけだが、投打の主要部門でほとんど5位以内。投手では23日(同24日)の敵地ツインズ戦を含め3試合に先発予定で、残り「4」の200奪三振、残り「14」の規定投球回数(162)は視野に入る。現在の13勝に白星をいくつ上積みできるかも注目だ。また、22日時点でチームは残り12試合。打者として残り「6」の40本塁打、残り「11」の100打点も達成可能。これまで想像したこともない偉業で歴史を切り開いている。ファンはその差を感じているのだろう。

 MVPは全米野球記者協会(BBWAA)に所属する記者30人の投票で決まる。どちらが受賞しても後年、「なぜこの成績でMVPではないのか」と議論を呼ぶのは間違いない。今季は難しい選択になりそうだ。