近年、フェムケアの意識の高まりから、デリケートゾーン専用の石けんやオイルが人気ですが、なにを使ったらいいか迷いますよね。ときには、おりもののにおいが気になることも少なくありません。そんなとき、どうしたらいいのでしょう? 女性の強い味方である産婦人科医の高尾美穂先生に、デリケートゾーンの洗い方から、注意したいおりものの状態についてまで、お話を伺いました。

気になるデリケートゾーンの洗い方から、注意したいおりもののことまで

意外と正しく知らないデリケートゾーンの洗い方や、注意したいおりものの話を高尾先生に聞きました。

 

●お風呂のとき、ボディソープでおまたをしっかり洗うべき?

「結論から言うと、腟は自浄作用があるので洗わなくてもOKです。最近は、デリケートゾーン用のソープやローション、オイルといったアイテムが多く出ていますが、それらでケアするのは外陰部まで。そもそも腟内は弱酸性に保たれていて雑菌を寄せつけないようになっています」(高尾先生)

ただ、腟の外の外陰部は凹凸や溝があるうえ、自分の目でよく確認できない場所でもあり、洗いにくく汚れがたまりやすい場所。お風呂で洗うときは優しく、を心がけて。

「指で優しくなでるようにして洗いましょう。また、外陰部は粘膜に近く刺激に弱い部分。一般的なボディソープがしみる人は、刺激の少ないデリケートゾーン用を選ぶといいでしょう」(高尾先生)

ちなみに、お風呂は半身浴と全身浴、どちらがいいか迷う人もいますが、それぞれメリットがあります。

「みぞおちまで浸かる半身浴は、心臓に負担をかけずに長くお湯に浸かれるのが利点。半身浴でたっぷり汗を出すことは、汗をしっかりかける汗腺を増やす『汗腺トレーニング』につながります。自律神経が乱れると体温調整がうまくできなくなり、のぼせやほてりが起こる場合がありますが、汗をかける汗腺を増やしておくと、体温調整が上手にできるようになります」

一方、全身浴は肩まで浸かるので、半身浴より短時間で早く温まるのがメリット。

「皮膚が弱い人は、お湯に長く浸かり過ぎると皮脂が奪われて乾燥しやすくなるので、全身浴でサッと入る方がいいでしょう。1日の終わり、お風呂に入ってリラックス&疲れをとってくださいね」(高尾先生)

 

こんなおりものには、要注意

もし、洗ってもデリケートゾーンのにおいが気になるなら要注意。

「腟には自浄作用があり、常に酸性に保たれることで、雑菌の繁殖を防いでいます。そのため、健康的なおりものであれば、ヨーグルトのような少し酸っぱいにおいがあります。もし、いつもと違ったおりものが数日続き、においやかゆみが気になるようであれば、婦人科で検査してもらいましょう」(高尾先生)

おりものの異常というと、性感染症が真っ先に疑われることもありますが、そうとは限りません。過労や風邪などで菌に対する抵抗力が低下すると、もともと体に存在しているような雑菌が増えて悪さをする場合も…。それが原因で腟炎が起こると、おりものに変化がみられることもあります。

以下は、性交渉がない場合でもみられるおりもの異常です。注意してくださいね。

 

●カッテージチーズのようにポロポロ

外陰部に強いかゆみがあったり、カッテージチーズのような白くポロポロしたようなおりものが現れたりしたら、カンジダ腟炎・外陰炎の疑いがあります。これは、カンジダというカビの一種によって外陰部や膣に起こる炎症のこと。

カンジダ菌は常在菌ですが、疲労の蓄積や、抗生物質を服用しているとカンジダが増え、症状が出ることもあります。

 

●ピンクや茶褐色のおりもの

ピンク色や茶褐色のおりものは、不正出血のサイン。子宮や子宮頸部の異常、ホルモンバランスの乱れが主な原因です(排卵期出血といって、排卵期、エストロゲンが一時的に減ると出血するケースあります)。

 

●黄色や緑色、茶褐色のおりもの

細菌性腟炎の疑いがあります。これは体の抵抗力が低下し、大腸菌やブドウ球菌のような一般的な雑菌が繁殖して起こる腟炎のこと。

一般的には自然に元へ戻っていきますが、数日以上続く場合は、婦人科で腟を洗浄し、膣錠で炎症を抑えます(なお、黄色や緑がかったおりものは、トリコモナス腟炎や淋病といった性感染症の場合もあります)。

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