アメリカと日本で違う浴室事情。洗い場がないお風呂のメリット・デメリット
日々の疲れを癒やすお風呂。お風呂というと温泉や銭湯文化から、日本のイメージもありますが、海外ではどうなっているのでしょうか? そこで、アメリカ・シアトルに住んで十数年。子育てに奮闘するライターのNorikoさんに、「アメリカのバスルーム事情」について教えてもらいました。
お風呂の洗い場がない!でも便器は目の前に…
欧米など海外に旅行したことがある方はおわかりかと思いますが、西欧文化にお風呂の「洗い場」という発想はありません。ホテルでよく見かける洗い場のないバスルームで、湯船に浸かりたいときは、皆さんはどうしていますか? まずは私がアメリカでの生活のなかで普段やっている入浴方法をご紹介します。
●映画でよく見る「泡風呂」式
最初は抵抗があるかもしれませんが、まず、アメリカの映画などで見かける「泡風呂」式に、湯船の中で全身を洗います。そしてそのままお風呂から出て、バスタオルでふき取ります。泡残りが気になる場合は、お湯を抜きつつシャワーで流せばOKです。そんなルーティンにもすぐに慣れました。
日本のように家族全員が順番に同じ湯船に入るといった、お湯の使いまわしはしません。そのため、自動保温・追い焚き機能もなし。お湯は出たらすぐ抜く!
ただ、日本人としてはトイレと一緒のバスルームではくつろげない、という問題はあります。浴槽の隣には、洗い場の代わりに便器…。まあ、文化の違いなので仕方ないのでしょう。それもまた、「慣れ」が解決してくれます。
●掃除は浴槽のみ…ってじつはラクちんだった
日本式の広い洗い場は懐かしく、うらやましくもありますが、一方で洗い場のないアメリカ暮らしのメリットも。湯船の中だけで完結しているので、面倒な洗い場の掃除はしなくてよくなりました。
浴槽は深さがなく、脚を伸ばして入る浅いタイプなので、日本のように掃除の際に下まで手が届きにくいということもありません。固定式のシャワーで高い位置に設置されているため、隅々まで流せない不便さはあるものの、これもふき取れば問題なし。
水アカ問題に悩まされる保温用の浴槽カバー、風呂イス、風呂桶、洗面器、クッションマットといった、日本の入浴文化に付随する小物も一切なくなり、その分の家事が激減! わが家はカビやすいシャワーカーテンもやめて、アメリカで一般的なガラス戸にしました。
そもそも、子ども以外は湯船に浸かる習慣があまりないアメリカ。浴槽のない、トイレとシャワーのみのバスルームも珍しくありません。わが家でもアメリカ人の夫は毎日、シャワーのみです。
●日本流リラクゼーション重視のバスタイムが流行の兆し?
日本と違い、アメリカでは基本、汚れを落とすためのバスタイム。とはいえ、西欧の人たちにとっても、大きな浴槽のあるバスルームはステイタスであり、古きよき時代の猫脚つきのバスタブにも憧れは大きいように感じます。
大きなお宅や、ホテルのワンランク上の客室では、バスルーム内に浴槽のほかシャワー専用スペースが別につくので、そこが洗い場代わりになります。
湯船に浸かる温浴スパ施設が人気を集める昨今は、美容のために「ホームスパ」として、週末など時間のあるときに浴槽を活用する女性も増えています。日本人がイメージする「泡風呂」も健在で、泡立たせるためにはお湯を入れながら、シャワージェルを投入します。
日本のような入浴剤として、カラフルで見た目も楽しいバスボム、バスソルト、バスオイルなどを入れることも。そうしたアメリカのプロダクトは、日本でも手に入りやすくなったようですね。
ちなみに、「ホットタブ」と呼ばれるジャクジーは、庭やデッキなど屋外に設置されるものです。普段使いの浴槽とは全くの別物で、とても高価な設備ですが、昔から富裕層を中心に根強い人気があります。
あの温水洗浄便座が北米市場に進出し始め、コストコなどでも見かけるようになりました。日本の自動保温・追い焚きシステムも近い将来、アメリカで取り入れられる日が来るのでしょうか。これからの寒い季節はすぐにぬるくなるため、家で長風呂はできません。そんなアメリカのお風呂事情を、ぜひ変えて欲しいものです。