明るい家にしたい、自然を身近に感じる家を建てたい…。そう考えると、窓をたくさんつくった方がいいと思いがち。しかし、いざ住み始めてみると、隣家の視線が気になったり、家具の置き場所に制約が生じたりと後悔することも。3年前にハウスメーカーで家を建てた日刊住まいライターが、つけて失敗した窓について語ります。

家づくりのときは、窓のない場所をつくらず満足。しかし…

窓をどうつけるべきか。家づくりの過程で、筆者はあまり深く考えませんでした。窓は日射取得、換気のためのもので、部屋の中を明るくするためには必要な設備…くらいの認識でいたのです。

場所や窓の種類はある程度考えたものの、「明り取りと換気」しか頭になかったので、どの部屋にも2個ほど窓をつけ、窓のない場所をつくらないようにして満足してしまったのです。

それが大きな間違いだったことに住み始めてから気づきました。

 

視線が気なり、窓があけられない!家具の配置にも制約が

リビングのテレビ横に設置した縦長の窓。こちら側は隣家があり、あけると隣家のリビングの掃き出し窓が見えます。

そのため隣家住民からもこちらが見えるということになり、視線が気になるためロールスクリーンを上げることのない窓になってしまいました。

これでは明り取りどころではありません。また、窓がなければ置けたはずの家具も、置くことができません。そのうえ、窓があると日焼けや劣化などが懸念されるため、家具の配置にも制約が生じます。

 

カーテンすらあけられない窓。断熱性能にもデメリットが

こちらもテレビ横の縦長窓と同様、隣家向きに設置された引き違い窓です。テレビ横と同じく、隣家からの視線が気になるため、窓をあけるどころかカーテンさえあけることはありません。この窓がなければ、家具を置くこともできたのに…と思っています。

小窓というほど小さくもないため、家の断熱性能が落ちてしまったように感じます。トリプルガラス窓を採用しているので、窓自体の性能はよいのですが、ハウスメーカーの設計者の話では、開閉式なのでグラスウールの断熱性能には到底かなわないそうです。

 

窓から西日のせいで、トイレのフタが黄ばんだ

これは1階トイレの窓です。すりガラスにしたのですが、ほとんど隣家の壁の色しか見えません。窓は西側についているので、この部屋にあるものは、西日の影響を受けます。

日中は照明をつけなくてすむ時間帯があるので、明り取りとしては機能しています。でも、3年経過して、トイレの樹脂製フタがわずかに黄ばんできていることに気づきました。

トイレに日が当たる時間が数時間はあるため、紫外線の影響を受けたのでしょう。真っ白なトイレを守りたい場合は、窓をつけない方が得策だったかもしれません。

キッチンと浴室の窓は、一度もあけたことがない!

キッチンの窓は、一度もあけたことがありません。こちらも隣家に面しているので、すりガラスです。雨や雪が降っているのが確認できるくらいで、景色は見えません。まったくあけないのなら、FIX窓でもよかったかなと思います。今は窓の前に植物や置き物を置いて、ニッチのように使っています。

同様に浴室の窓もまったくあけません。24時間換気がついているので、換気のためにあけることもないです。あけるのは掃除のときくらいですので、こちらの窓もFIXにしておけばと後悔。

 

リビングの掃き出し窓は、1つで正解だった

明り取り、日射取得のため南側に窓をつける方は多いと思います。筆者宅もリビングに掃き出し窓があります。

南に面しているリビングに、掃き出し窓を2つつけるべきか悩みました。しかし、掃き出し窓を増やすには、オプションで費用発生。2つつけても使わない可能性が高いと想定して、つけるのをやめました。

代わりに、1か所は腰窓になっています。しかしこれが正解で、実際住んでみると掃き出し窓から出入りすることは一切ありません。

ウッドデッキなどがあれば出入りしたかもしれません。しかし筆者宅は、ウッドデッキをつくれるほどの大きな庭ではありません。

もう1つの窓を腰窓にしたことで、窓の下にちょっとした収納を置くこともできています。また、大きな掃き出し窓2つにしていたら、断熱性能への影響もあったでしょう。暑い季節は日差しも多く入ってきますので、室内の温度上昇にもつながります。そういった面でも2か所のうち1か所を腰窓にしてよかったと思っています。

 

つけなかった後悔も!階段に明り取りの窓がほしかった

窓をつけた後悔について語ってきましたが、つければよかったと後悔したことも少々あります。たとえば、階段部分の窓。窓がないため日中も、薄暗い空間となっています。

つけるとしたらこちら側も隣家に接しているので、室内が見えない工夫は必要です。それも、すりガラスの小さなFIX窓にすれば、目線も気にならず、適度な明り取りになったのではないかと思っています。

 

不要な窓でも同じように掃除の手間がかかる!

窓は意外と汚れるものです。サッシのレール部分にはホコリがたまりますし、外に面しているガラスは雨や花粉、砂ボコリがつきます。

まったくあけない窓も、同じように汚れますので、不要だと思っていても掃除は必要になります。そう頻繁に掃除しないとしても、手間が増えると考えるとやはり気が重いです。

窓の位置や大きさ、設置するかしないかの判断は、家づくりの段階だと想像することしかできないので難しい面もあります。

暮らしてから初めてわかることも多いのも事実。筆者の後悔が、これから家づくりされる方の参考になれば幸いです。