暑さだんだんと落ち着ついたら、衣替えのシーズン! この時季に、ワードローブを見直して、お気に入りの洋服だけのクローゼットをつくりませんか? 40代〜60代の暮らし上手が実践する、服の捨て方のコツやテクニックを紹介します。

着る服がない!?40代のファッション迷子を解決する方法

ライフスタイルや体型が変わる40代以降、突如ファッション迷子になったと悩む人が多いそう。「着る服がない問題」の解決法を、ライフオーガナイザーの高田舞子さんに教えてもらいました。

【写真】40代は「着回さない」が意外といい

●着る服がない4つの理由

ファッション迷子になった理由を探ると、次の4つが浮上しました。

1.服はたくさん持っているのにコーデが決まらない

2.今までの服が似合わない

3.年齢に合った服装がわからない

4.服にかける時間がない

その中から、「服はたくさんもっているのにコーデが決まらない」の解決策を紹介します。

●服はあるのにコーディネートが決まらない

服はたくさんあるのにお気に入りはほんの少しで、好きでも嫌いでもない「普通」の服ばかり。それらをどう組み合わせればいいかわからず、いつも似たようなコーデに。

Tシャツやボーダーなどの定番服を着回すことに憧れもあるけれど、同時にすごく苦手意識もありました。

この問題に対して私のとった策は「コーデを決めてしまう」です。

毎日違うコーデである必要はないし、着回しができなくてもいい。そのことに気づいた途端、ものすごくラクに。

たとえば、カジュアル系パンツには白のブラウス。だらしなく見えずカジュアルすぎず、40代らしい清潔感を心がけてブラウスを合わせます。

このニットにはこのスカート、このシャツにはこのパンツ、などアイテム同士の組み合わせはもちろん、歩きが多い日、友達ランチの日、などシーンで決めておくのもおすすめ。

いっそワンパターンでOKと思えば、服選びに迷う時間は減り、気持ちもラクになりました。

おしゃれに悩む40代のクローゼット整理は「全部出し」がポイント

着る服がないと悩む人の多くが、十分な数の洋服を持っています。クローゼットには服がいっぱいつまっているのに、毎日頭を抱えるのはなぜでしょう? ライフオーガナイザーの高田さんは「おしゃれに悩むときこそクローゼットの整理が必要」と言います。

●クローゼットの中身を全部出す

クローゼットにどれだけの服が収まっているのか? どんな服を持っているのか? 毎日立つ場所なのに案外知らない人が多いです。自分がどんなアイテムを保有しているかわからずに、おしゃれを目指すのは難しい話。

服選びにストレスを抱える人こそやってほしい作業、それはクローゼットの「全部出し」。

時間もかかり大変な面もありますが、体を動かして作業をすると頭で考えるだけでは下せない判断もつくようになり、最終的にすっきり片づきます。

●出しながら分ける

服を出すときのポイントは、同時に分けること。「分ける」作業は、片づけにおいてとても重要です。

このとき「捨てる・捨てない」で分けようとしがちですが、この方法はおすすめしません。なぜなら、捨てる理由を見つけるのは簡単でないからです。

人は、お金を出して手に入れたものには、高い価値を感じる傾向があります。捨てるかどうか決めようとすると「まだ着られる・高かった・やせたら着るかもしれない」など捨てない理由を並べてしまい、判断に時間がかかります。それでは脳も疲れてしまいますね。

このときのポイントは、意識を「捨てるもの」ではなく「大事なもの」にシフトすること。これだけで、断然判断しやすくなります。

●選択肢を3〜4つ用意する

意識を「大事か・大事でないか」にシフトしても、2択は疲れます。誰にでも中間のグレーな存在はありますから、白か黒かではなく、選択肢を増やしてみましょう。

たとえば、

(1) 好きだし着ている(お気に入り)

(2) 好きだけど着ていない(宝物、思い出の服)

(3) 好きではないが着ている(便利、部屋着)

(4) 好きではないし着ていない(不要、手放しのサイン)

と4つに分けてはどうでしょうか?

この選択肢だと、事実として分けることができます。最初は時間がかかっても、やっていくうちに慣れて早く判断できるようになります。

感情で分けることが難しければ、着る頻度、春夏秋冬など季節、通勤用・プライベート用などのTPO、といった基準で分けるのもありです。

50代、手放すべき服3つ。不要な服を見極める方法とは?

ライフスタイルの変遷とともに「必要な服」を見直し、クローゼットの軽量化を進めているライフオーガナイザーの下村志保美さん。ここでは、50代が手放すべき服について伺いました。

●(1) 重い服

デザインは大好きで愛用していたのに、気がつくと手が伸びなくなっている服はありませんか? じつはそれは「重さ」が原因かもしれません。
とくに冬ものは厚手のものが多く、重さがあるのも事実。50代以降は肩こりや疲れにつながる重いコートはやめて、もっと軽くて暖かいコートがおすすめです。

重いバッグも同様です。このバッグはデザインも使い勝手も好きでしたが、とにかく重い。重さがネックとなってだんだん使う機会が減りましたので、手放すことにしました。

●(2) 短い服

「短い」、これも50代の衣類整理のポイントのひとつです。

人それぞれ好みも違うでしょうが、50代になるとそれまで気にならなかった「丈」が原因で手が伸びなくなる服もあります。

スカート丈もそうですが、かがむと背中が出る服は体を動かすたびにそれを気にしなくてはいけないので落ち着きません。
足やおなかや背中をチラ見せしたくない場合は、短い丈の服を処分して、そもそもそういう丈の服を買わないようにしましょう。

●(3) まだ着られる服

そうはいっても、クローゼットの中の服を手放しにくいのは「まだ着られる」から。

「まだ着られる」。でも、そう思った時点で積極的に「着たい」と思っている服ではなく、「着なくちゃ」と義務に感じているということ。

たとえば毛玉ができた服。部屋着としては「まだ着られる」けれど、別に着たいわけではない。

「もったいないから使わなくちゃ」と服に自分を合わせるのではなく、自分が着たいと思える服を着たいものです。

またデザインが若すぎる服。自分は無理でも「いいものだから娘にあげよう」。そんな気持ちもむくむくと湧いてきがちですが、いくらいいものでももらった人の好みに合わなければ無用の長物。それこそ「着られるけど着ない」、もったいない服になってしまいます。
一応周りの人に声をかけて、だれもいらないようでしたら処分を考えます。

 

50代、おしゃれ迷子にならない服の持ち方と選び方

がんばりすぎず、自然体。ナチュラルなおしゃれがすてきな後藤由紀子さんがたどり着いた、50代からの服の持ち方をご紹介します。

●後藤さんのおしゃれヒストリー

(1) 高校時代:『Olive』のファッションに夢中

愛読する雑誌は『Olive』。ボーダーTシャツにデニムやスカート、古着アイテムに夢中に。

(2) 就職:上京しておしゃれ意欲がますます上昇

おしゃれに使えるお金が増え、当時流行したDCブランドやセレクトショップで洋服を購入。

(3) 結婚:子育てしやすいカジュアルなワードローブに

自宅で洗えるカジュアル服が中心。定番はカットソーに、動きやすいパーカやスニーカーも。

⇒50歳を目前に今までの服が似合わなくなる!

(4) 現在:手持ちの服を見直して今だからこそ似合うものに一新

似合わないもの、着にくいものは思いきって処分。今の自分に似合う形や素材の服を選び直す。

●後藤さんが見直したおしゃれの新ルール

【家にいる機会が増えたからこそお気に入りの服で「自分の機嫌を取る」ように】

似合わない服を手放し、今の自分に合うものだけを持つようにした後藤さん。すると、以前は似合わなかった服が、今はしっくりくる楽しさも発見したと言います。

「たとえば、赤やピンクなど明るい色は、以前は小物で取り入れる程度でした。でも、明るい色は年齢を重ねた肌を華やかに見せてくれるから、今ではトップスやワンピースなど、主役アイテムに取り入れるように」

また、コロナ禍で自宅にいる時間が増えた今こそ、着心地のよさや自分らしさにこだわりたいと話します。

「自宅でも着心地のよいインナーや、動きやすく自分に似合う日常着を身につければ、気分がアップ。自分らしいおしゃれで、機嫌よく過ごしたいですね」

●マイルールの「Before」「After」

以前は似合っていた服や大好きだったスタイルも、年齢とともに変化。50代でたどり着いた「おしゃれマイルール」はガラリと変わりました。

50代、「捨てられない服」の疑問にプロが答えます!

いざ服を減らそう! と思っても決心がつかないのはよくあること。そこで、1万人以上に片づけをレクチャーしてきた収納スタイリストの吉川永里子さんに、50代のお客さんから「負担なく服を手放せる」と好評だった方法やアイデアを教えてもらいました。

Q1.捨てたい服が2年もそのまま。気力や体力がなくてもできる手放し方はありますか?

A.気力・体力別、おすすめの手放し方があります

服を手放すのには意外とパワーが必要です。体力なし派さんも「捨てることができた!」と好評だったサービスがあるので、ご紹介しますね。

◆体力・気力ともにないとき→「古着deワクチン」

3300円かかりますが、服やベルトなど幅広いアイテムを一掃できます。玄関まで業者が取りに来てくれるので体力不要なうえ、社会貢献にもなるので、とくに50代の方に好評ですね。

「古着deワクチン」:HPか電話で専用回収キット(3300円)を購入し、届いた回収袋に衣類などをつめて発送。1キットにつき5人分のワクチンがブータンなどの子どもたちに届けられる。

(web)https://furugidevaccine.etsl.jp/
(電話)0120-206-225

◆出かける体力があるとき→リユースショップや店頭回収に持ち込む

リユースショップでの買い取りは二束三文なこともありますが、行けば必ず手放せるのでストレスなし。また「H&M」など、ブランドを問わず古着を回収してくれるメーカーもあります。

「H&Mの古着回収サービス」:ブランドや状態を問わず、不要な衣類や布地を店舗に持ち込むと、次回使えるデジタルクーポンがもらえる。古着として再販売されたり、清掃用具などに再利用される。

Q2.服を仕分けすると「保留」だらけに。結局捨てられません。

A.大丈夫。もうゴールしています!

手持ちの服を「着ている/捨てる/保留」の3つに分類するのは、おすすめの片づけ方法です。でも「保留」ばかりになること、よくあります。でも「保留」を洗い出せれば、じつはもうゴールなんです。

「保留」にした服はまとめて、中が見える半透明のゴミ袋に入れて部屋の隅に置いておいて。すると突然「捨てよう」と思い立つ瞬間が来ます。最長で5年そのままにしていた人もいましたよ。引っ越しや模様替えなど、きっかけを待ちましょう。

60代、「クローゼット・タンス」の即捨てリスト

1日にたった1つ手放すだけで捨てる習慣が身につき、無理なくものを減らせる「1日1捨て」。60代の捨て活名人の筆子さんに、これまでなかなか捨てられなかった人でも頭を使わず捨てられる、「クローゼット・タンスの即捨てリスト」を教えてもらいました。

●数が多すぎるもの

・色やデザインが似ている服
・余っているハンガー
・きれいに収納できないベルト

すっきりしたクローゼットにするためにも、同じようなデザインの服や小物は減らして。「数を減らせば、コーデもすぐに決まって身じたくが早くなりますよ」

●使っていないもの

・1年間着なかった服
・「高価だった」ことが理由で残している服
・心が離れているアクセサリー、サングラス
・体型的に着られない服
・服についてきたリペア用のボタンやはぎれ

1年前に着なかった服は、今年以降も着る可能性は低いはず。「まだきれいなものでも、今の年齢や好みに合わず、心が離れているなら手放しましょう」

●ゴミに近いもの

・ヨレヨレになった下着
・毛玉だらけの服
・片方しかないピアスやイヤリング
・メルカリに出したが全然売れなかった服
・効果がきれた除湿剤、防虫剤

毛玉やほつれ、汚れが目立ち、もう人前では着られないな…と感じる服は真っ先に処分を。「フリマアプリでも売れないものなら、取っておいてもムダです」