原巨人 最下位現実味で「発掘と育成」のチームスローガンは今年限り? ささやかれるフロントとの「不協和音」とは

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 勝ちきれなかった。巨人は31日のヤクルト戦(京セラドーム)に今季最長となる5時間28分延長12回を戦い、8ー8のドローとなった。

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 この日は今季初めて1番に坂本、2番にポランコを置いた。新オーダーは坂本が3度出塁し、一時勝ち越しとなる適時打を放ち、2回には岡本和の25号2ランも飛び出すなど、活性化につながった。巨人のペースかと思われたが、ヤクルトも2試合連続となる山田のホームラン、オスナ、サンタナにもホームランが飛び出す一発攻勢でゆずらず。首位のヤクルトからしたら5時間超のロングゲームは「負けなかった」試合であり、巨人からしたら「勝ちきれなかった」という試合になった。

 悔やまれるのは先発した左腕、井上にもあった。序盤に味方の援護をもらいながら、すぐに失点するリズムの悪さも影響し、4回4安打4失点で降板。ここ最近は先発として機会を与えられていたが、次回登板は厳しい見通しとなった。

 総力戦でも首位ヤクルトに勝ちきれず、「結果的にはベストを尽くしてこういう引き分けになった」と原監督。週末は3・5ゲーム差をつけられている3位・阪神との伝統の一戦に臨む。

 熱いCS争いを繰り広げる一方で、水面下で注目を集めているのは巨人のオフの補強方針をめぐる動きだ。今オフは、西武・森、楽天・浅村、楽天・辛島、阪神・西勇、ロッテ・中村、広島・西川などがFA選手として名前が上がっており、「例年にない豊作」ともいわれている。

 これらの選手の獲得をめぐって各球団の争奪戦が予想される中、巨人も本格参戦すると見られている。一方で懸念されている点もある。

「今季から掲げている『発掘と育成』のチームスローガンです。これまでの大型補強頼みのチームから脱却、生え抜きの若手を底上げしていこうと球団が旗振りして掲げられたものです。今オフもお決まりの大型補強に乗り出すとなれば、ようやく伸びてきた選手の芽をつんでしまうことにもなりかねません」(球界関係者)

 今季は投打ともに積極的な若手登用を図ったが、なかなか結果に結びついていない現実もある。常勝軍団ゆえに、「勝利」と「育成」のバランスの難しさを感じさせるシーズンとなっている。一方、球団としても大々的に掲げた看板をたった1年でおろすわけにはいかないだろう。今季から川相昌弘氏をファーム総監督、同じく三軍監督には「絶好調男」で知られた駒田徳広氏を招へいするなど、手厚い布陣を敷いた経緯もある。

 シーズンは進む中、ドラフト、FAなど来季のチーム構想を固めるタイムスケジュールも迫っている。大型補強をもくろむとされる原監督とフロントの水面下の駆け引きにも今後注目が高まりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]