室内干し前提で家を建てて家事ラクに。採用した3アイテムと取りつけ場所
共働きで日中は不在のため、毎日の洗濯物を外干しではなく室内干しにしよう。そんな方針で8年前に家を建てた日刊住まいライター。新居には、室内干し環境を整えるべく、洗面室・リビング・寝室の3か所に室内物干し設備を取りつけました。取りつけ場所と設備の相性を考え、3か所それぞれには異なるものを採用。使い勝手には満足している一方で、動線については後悔も。詳しくレポートします。
室内物干しの取りつけ場所とわが家の洗濯物の流れ
家づくりのときから「快適な室内干し環境を整えたい!」と考えていた筆者。そのため、間取り図を眺めながら、いくつ室内物干し設備があればたりるのか、どこにあれば日々の洗濯がラクになるのか、どんな設備を選べば使い勝手がよくなるか…。かなり時間をかけて検討しました。
検討の結果、室内物干し設備を取りつけた場所は、以下の3か所です(図面にも対応)。
(1)洗濯機置き場である洗面室
(2)南向きで日当たりのよいリビングの一角
(3)プライベートスペースである寝室
まずは、わが家の各物干しの役割と、洗濯物の流れをざっと説明しましょう。
洗面室の室内物干しは、一時置き用。洗濯機から取り出した洗濯物を、直接かけます。洗濯機の中身をすべて取り出したら、かけていた洗濯物は、日の当たるリビングの室内物干しに移動。ここで本格的に、日中の室内干しを行います。洗濯物の量が多い日や、来客でリビングに洗濯物があっては困るときなどは、寝室の室内物干しで。
つまり、「洗面室は作業用」、「リビングはメインの室内干し用」、「寝室は予備用」という役割分担です。
洗面室からリビングへ洗濯物を移動する、というひと手間があるのは理由が。洗面室が北東にあって乾きにくいこと、加えて、広いスペースを確保できず、室内干しには向かないと考えたためです。
選んだ室内物干し設備と使い勝手は?
それぞれの室内物干し設備の役割、そして取りつけ場所との相性を考え、3か所には異なる物干し設備を採用しています。
●洗面室には使い勝手重視の昇降式
洗面室に選んだのは、パナソニックの「ホシ姫サマ」という室内物干し。ここは「昇降式であること」がゆずれないポイントでした。
竿をグッと下げて作業できるホシ姫サマはとても便利。洗濯機から、洗濯物をラクにかけることができます。一方で、わが家の洗面室はコンパクトな空間なので、常に手が届く位置に竿があることは避けたいと思っていました。
この商品は昇降式で、使っていないときは竿を天井に取りつけたユニットに格納できます。物干し設備の存在がジャマになりません。
とはいえ、竿を格納した状態でも、見上げるとユニットの存在感はそれなりに。垂れ下がる操作ひもも目立ちます。バックヤードの洗面室ならよいですが、見栄えを気にしたいリビングや寝室での設置は見送りました。
●リビングには見た目重視のワイヤー式
リビングに選んだのは、森田アルミ工業の「pid4M」というワイヤー式室内物干しです。
壁に取りつけた小さな箱からワイヤーを引き出し、対面する壁側のフックに引っかければ洗濯物が干せるようになります。耐荷重は10kgと意外にも頑丈(洗面室のホシ姫サマは、耐荷重8kg)。
採用のポイントは、長時間過ごすリビングに取りつけるため「できるだけ目立たないこと」でした。
ワイヤーを格納した状態では小さな箱だけ。まったく存在感がなく、物干し設備があるとは気づかないほどです。
ワイヤーを張った状態でも、物干し竿に比べて目立たずスッキリ。生活感は多少軽減されている気がします。
機能性よりは見た目にこだわって選んだpid4Mだったのですが、予想以上に使い勝手が良好。3つの物干し設備のなかで、満足度がいちばん高いものとなりました。ワイヤーを張ったり戻したりが、片手で簡単にできるからです。
たとえば、洗面室から洗濯物を移すとき。片手に大量の洗濯物を抱えていても、あいた手でサッとワイヤーを張って、洗濯物をかけることができます。乾いた洗濯物を取り込んでワイヤーを戻すときも同様。これがとても便利です。
ただし、昇降式のホシ姫サマとは異なり、ワイヤーの高さは変えられません。行き来の多い場所では、使用時にジャマになるかもしれません。
また、本体の箱とフックを対面する壁に取りつける必要があるため、ワイヤー長の4m以内で壁が対面している場所でないと設置は無理。場所を選ぶ商品ではあると思います。
●寝室にはこだわりなしで固定式
寝室に選んだのは、川口技研の「ホスクリーン」という天井にポールを取りつけるタイプの物干し。ポールを2本取りつけ、ポール間に竿を通すことで洗濯物がかけられるようになります。
ポールは取りはずし可能なので、はずしてしまえば、天井の金具のみで存在感ゼロ。伸縮も可能なので竿の高さも変えられます。一見、ホシ姫サマとpid4Mのいいとこどりのようです。しかし、そのためには竿をいったんはずして、さらに2本のポールを取りはずすというかなりの手間が必要。日常的に行うのは、現実的とは言えません。
実際、わが家では入居してからポールをはずしたことは一度もなし。「固定式」の室内物干しという感覚です。
そもそも寝室は、日中によく行き来する場所ではなく、また、来客の目に入る場所でもありません。そのため、昇降機能や存在感のなさは必要なく、使いたいときにすぐ使えるようになっていればOK。こんな「こだわりのなさ」が、逆に採用のポイントだったとも言えます。
わが家の寝室の物干し設備自体は、当初の予想以上に出番が多いです。とくにここ数年は、子どもたちの成長にともなって洗濯の回数が急増。兄弟それぞれがスポーツをして帰ってきた日などは、何回も洗濯機を回します。
そんなときはリビングの室内物干しだけでは干す場所が不足するため、日常的に寝室にも洗濯物を干すようになりました。寝室の室内物干し設備がなかったら、かなりストレスを感じていたと思います。
室内物干し設備は「少し多いかな?」と感じるくらい充実していた方が、将来の生活スタイルの変化にも耐えられるなというのが、8年間暮らしてみての実感です。
片づけ時の動線について検討がたりなかった?
最後に、ちょっと後悔したことも紹介します。それは、洗濯物を片づけるときの動線について。
基本的には、リビングに干している洗濯物。乾いたあとの行き先はおもに、寝室、2つの子ども部屋、キッチンとなります。
どの場所もリビングの室内物干しからは微妙に遠いうえに、あちこち分散しているのです。そのため片づけ時の動線が、あっちに行ったりこっちに行ったり、と複雑(現在は寝室の室内物干しも活用しているため、寝室への片づけは少しラクになりました)。
洗濯動線を短くするためには、「洗濯する」「干す」「しまう」の3つの場所の距離を短くすることが大事だとよく耳にします。わが家の場合、洗濯する場所(洗面室)から干す場所(リビング)への距離については、検討時にもよく考えました。しかし、干す場所(リビング)からしまう場所(寝室・子ども部屋・キッチン)への距離についてまったく検討がたりませんでした。
クローゼットが各部屋にある以上、片づけ時の動線についてはやむを得ない部分でもあります。でも「干す場所」「しまう場所」の距離の大事さに気づいていれば、もう少し検討の余地があったかもしれません。
とはいえ、おおむね満足のわが家の室内干し環境。家づくりの参考になったら幸いです。