50代、中村江里子さんの更年期との向き合い方。夫や子どもとの会話も変化して
フランス人の夫と結婚し、パリに在住するフリーアナウンサーの中村江里子さん。今回は、結婚して20年以上がたつパートナーのバルトさんとの関係、そして変わり続ける自身の体への向き合い方についても話を伺いました。ご自身が憧れていた50代に本格的に突入し、「自分も周りのことも俯瞰して見られるようになった」という中村さんの生き方から、ESSE読者もヒントをもらえることは多いはずです。
50代、中村江里子さんがフランス人から学んだこと。更年期との向き合い方も
「周りにいるフランス人のパートナーたちを眺めていて思うのは、パパ、ママになってもお互いを“異性”として尊重している、というところ」と江里子さん。
「ディナーの席でも、子どもたちの前で、パートナーにキスして『彼は、私の運命の男よ!』とか。相手の方も幸せそうに受け止めています。お互いを異性として認め合う姿はすてきだと感じますね。と言いつつ、私はそういうことは恥ずかしくてできないのですが(笑)、それでも、『江里子はレディなんだよ』と、夫や彼の友達から気づかされる瞬間があります」
●「江里子はママだけど、一人の女性でもある」
今でも印象深いのは、出産してからまもなくの経験だったそう。
「妊娠中にウエストがゴムになっているデニムを愛用していたんです。あれって、どんな体型にもフィットして、非常に履き心地がいいですよね。出産後も『体がラクでありがたいな〜』と、そのまま履き続けていました。正直、動きやすい服以外は着ていられないほど、慣れない育児に振り回されてヘトヘトでしたし。
するとある日、夫の友達から『江里子、そろそろそのデニムはやめたほうがいい』と忠告が。なぜあなたにそんなことを言われなきゃいけないの? と、本音はカチンときたのですが(笑)、なるほどな、と。出産を経て、思いっきりママになった私を見て、『それも江里子だけど、あなたは彼が愛する一人の女性でもあるんだよ』と、さりげなく教えてくれたんですよね。
夫から言われたら確実に言い返していましたが、友人からだったので冷静に自分自身を振り返ることができました。夫は私が『子育てでそれどころじゃない!!』って激怒するのをわかっていて、言えなかったのかもしれませんね(笑)でもそれぐらい、フランスでは大人の女性のエレガントさを大切にしてもらえる文化があります」
●夫に「女性」として尊重されていると感じる瞬間
そして夫のバルトさんも、江里子さんへの言葉がけがとても上手なのだそう。
「子どもたちが大きくなり、夫婦二人で出かける時間が増えました。そういうときも、私はついラクな格好を選びがちですが(笑)、『今日は少しだけドレスアップしても大丈夫じゃない?』、『あのミニのワンピースなんて、いいと思う』、『二人で歩くのだから、ヒールを履いてもいいよね』など。大人の私を、スマートに引き出してくれますね。
普段はどうしても“お母さん”という意識で生活しているものの、私も一人の女性だと、改めて尊重されている気持ちになります」
●更年期に突入し、体への意識も強まった
ずっと憧れていた50代に本格突入し、同時に、自身の体の変化にも丁寧に向き合うようになったという江里子さん。40代後半〜50代前半というと、やっぱり気になるのは更年期のこと。江里子さんも「今、まさに経験中」だと言います。
「フランスでも『更年期の話は公にしたくない』という方もいますが、私は体の変化の一部として、戸惑うことなく周りに伝えていますね。子どもにはもちろんですが、夫にも。彼は『君が更年期になるわけない』と言うのですが、『なるわよ! 人間なのだから当たり前じゃない!』と(笑)。
今は髪の毛や皮膚など、見た目を若く見せる技術はどんどん進んでいるようですが、体の中身までは、若返るわけではありませんよね。更年期はどんな人間にも平等にくるものですし、恥ずかしいことでもありません。今のところ、ありがたいことに私は大きな症状が出ているわけではありませんが、必要ならば、ドクターにかかるべきだとも思っています。
子どもたちもフラットに受け止めていますね。『ママ、更年期なんでしょ?』、『疲れやすく、体調も不安定になるよね』と。子どもたち、学校の授業で体の変化について学んだようです。家族の中で、自然とその話題が出てきます。個人的には40代後半から、だるさや疲れやすさなどの症状が現れ始めて。もしかしたら更年期に突入したのかなと思いました」
●理想の自分になるため、30年ぶりに始めたこと
「孫を抱いて歩けるおばあちゃん」、そして「社会に役立てる大人」が、50代以降の江里子さんにとって理想の自分像に。そんな頃に「30年ぶりに運動を始めた」のだそう。
「48歳からキックボクシングを習い始めました。次女が小学校2年目となり、自分の時間を持つことの大切さを実感して。学生時代以来のスポーツだったんですよ。でも、体がひとつの曲がり角を迎えていると感じた時期でしたし、孫を抱ける元気なおばあちゃんになりたい、と思ったらやる気がわいてきて(笑)。
今では、レッスンを受けるたびにスッキリしますね。打ったり、蹴ったりしている最中は余計なことを何も考えない。この瞬間が、心身にすごくいい影響を及ぼしてくれていると思います」
毎日のルーティンではこんなことも。
「私と夫は、絞ったレモンをお湯で割って飲むようにしています。子どもたちには搾りたてのオレンジジュースを飲ませるのが、毎日の健康習慣。肌は、日やけしやすいので日やけ止めを小まめに塗ることと、その日の汚れはその日にクレンジング。いたってシンプルですね」
●今までの経験を活かして、周りにいる人の力になれたら
これから先には、こんな思いがあるのだとか。
「自分がイメージしていた50代よりは、まだ未熟だと感じる部分も多いです。それでも子どもたちが成長し、巣立っていくこれからは、なにか社会に役立てる存在でありたいですね。ビジネスとして…ということではなく、完全に自己満足の世界ではあるのですが。今まで歩んできた経験を活かして、周りにいる方の力になれる活動ができれば、と思っています」
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