選手交代を告げるロッテ・井口資仁監督(C)Kyodo News

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○ 楽天 5 − 4 ロッテ ●

<16回戦・楽天生命パーク>

 ロッテは3日、坂本光士郎、小野郁、ロベルト・オスナ、角中勝也、郄部瑛斗、和田康士朗が新型コロナウイルス陽性判定を受けたと発表。前日2日に『特例2022』で抹消されていた和田以外の5選手は、3日『特例2022』を適用して同日一軍登録抹消となった。

 試合前に暗いニュースがあったが、その嫌な雰囲気をかき消すように初回、先頭の荻野貴司がレフトへの二塁打で出塁すると、代替指名選手で昇格した藤原恭大がライト前に運びチャンスを広げ、中村奨吾の適時打で幸先よく先制した。さらに、5番・安田尚憲にも適時打が飛び出し2点を挙げた。

 2−1の4回には二死一塁で松川虎生の初球に一塁走者の岡大海が二塁盗塁を決め、松川のセンター前への安打で岡が3点目のホームを踏んだ。2アウトから岡の積極的な盗塁が実った“ロッテらしい”1つ先を狙った走塁がいきた得点だった。

 激しい雨が降り、一時中断があるなど難しいマウンドとなったが、先発・佐々木朗希は5回まで1失点に抑える。しかし、3−1の6回に西川遥輝、島内宏明に適時打を浴び逆転を許し、後を受けて登板した廣畑敦也が辰己涼介に押し出し四球を与え、佐々木は6回途中5失点。

 2点を追う打線は7回に二死走者なしから荻野の四球と盗塁で得点圏に進んだが、藤原が12球粘るも左飛に倒れ無得点。続く8回は先頭の中村の一発で1点差に迫り、二死走者なしからレアードの右安、岡の四球で一、二塁とチャンスを作るも、エチェバリアが空振り三振。7回以降、毎回走者を出しながら、あと一本が出ず逆転負けを喫した。

◆ 投打がかみ合わず

 ロッテは先制できるようになってきたが、オールスター明け先制した試合は1勝3敗。6月9日の中日戦から7月8日のオリックス戦にかけて先制した試合は11連勝と、先制すれば投手陣がリードを守りきる形ができていたが、ここ最近は投手陣が粘りきれない試合が多い。打線がある程度得点ができるようになってきたなかで、今度は投手陣の状態がやや落ち気味。投打がなかなか噛み合わない。

 そこに新型コロナウイルス陽性判定で主力選手が離脱。チーム状況的には、このままズルズル負けが込みそうな嫌な雰囲気はある。ただ、ここを踏ん張らなければ、乗り越えなければ、リーグ優勝は見えてこない。チームとしてはピンチだが、代替指名選手で昇格した選手にとってはチャンス。『2番・中堅』でスタメン出場した藤原は1安打し、4−5の8回に登板した唐川侑己は1回をわずか7球・1安打無失点に抑えた。

 リリーフ陣は坂本、小野、オスナと勝ちパターンで投げることの多い3人の離脱は痛いが、代替指名選手として昇格した唐川、東妻勇輔、田中靖洋は昨季リーグ2位入りに大きく貢献した投手だ。東條大樹、小野の登板数が多く、シーズン終盤に向け疲労が心配な状況だっただけに、唐川、東妻、田中靖が昨季のような安定した投球を披露し戦力になれば、リリーフ陣がより厚みが出てくる。

 ロッテは開幕から主力選手の不振や故障による離脱などもあり、ベストメンバーでなかなか戦えていないが、勝率5割前後の戦いができている。ポジティブに捉えれば、誰かが抜けても、その穴を何人かの選手でカバーできるようになってきているのかもしれない。野手でいえばレギュラーは難しいが、短期期間ならば活躍できる選手が増えてきているのだろう。

 週末からは敵地ベルーナドームで首位・西武と3連戦。そう考えると、今夜の楽天戦はなんとしても勝利して、気分良く所沢に乗り込みたいというのが本音だ。今いるメンバーで、今できる形で勝率5割前後をキープし、優勝争いに踏みとどまりたい。

文=岩下雄太