2022年7月末ごろに地球上に落下すると予測されていた中国のロケットが、7月31日にフィリピン西部の海に落下していたことが分かりました。NASAは事前の情報共有がなくスペースデブリの管理に関する責任も果たしていないとして、中国を非難しています。

NASA Administrator Statement on Chinese Rocket Debris | NASA

https://www.nasa.gov/press-release/nasa-administrator-statement-on-chinese-rocket-debris

See China's huge uncontrolled rocket debris fall from space in fiery skywatcher videos | Space

https://www.space.com/china-rocket-debris-reentry-skywatcher-videos

China rocket: Debris of the rocket reentered the atmosphere over Indian Ocean, US Space Command says - CNN

https://edition.cnn.com/2022/07/30/world/china-rocket-debris-enters-atmosphere/index.html

アメリカ宇宙コマンドは7月31日に、「中国の長征5Bロケットが米国山岳部標準時の2022年7月31日10時45分(日本時間の31日1時45分)にインド洋上空に再突入したことを確認しました」と発表しました。インド洋上空から大気圏内に突入したロケットの部品はその後、フィリピンの南西部にあるパラワン島の付近に落下したと報告されています。



ロケットが落下した時現地は夜だったので、マレーシアなど落下地点付近の地域では夜空を照らす火の玉の目撃例が相次ぎました。また、衝撃波によるソニックブームを聞いたという証言もあるとのこと。







今回落下したのは、中国が2022年7月24日に打ち上げた長征5Bロケットの「コアステージ」と呼ばれる第1段目の大型ブースター部分で、重さは20トン以上もあります。大気圏突入時に大部分は燃え尽きたと推測されていますが、アメリカの航空宇宙会社・The Aerospace Corporationのスペースデブリ研究所によると、「5.5トン〜9.9トンの部品が再突入に耐えて地上に達する」との予測もなされているとのこと。

これほど大きなパーツが東南アジアの人々の頭上をかすめて落下したことを受けて、NASAのビル・ネルソン長官は「宇宙を利用する国は、宇宙空間の物体の再突入による地上の人々の生命および財産へのリスクを最小限に抑え、その運用に関する透明性を最大化しなければなりません。中国がスペースデブリに関して責任ある基準を満たしていないことは明らかです」との非難声明を発表しました。

同長官はまた、Twitterでも「中国は、長征5号Bロケットが地球に落下する際の具体的な軌道情報を共有しませんでした。宇宙を利用するすべての国は、確立されたベストプラクティスに従ってこの種の情報を事前に共有し、潜在的なデブリの衝突リスクについて信頼性の高い予測を可能にするという役割を果たすべきです。特に、長征5Bロケットのような生命と財産を失う大きなリスクを伴う大重量物打ち上げロケットならなおさらです」と述べました。