自宅にいると床や棚の上に散乱しているものばかりが目に飛び込み、「片づけなきゃ」という気持ちになってくつろげない…。そんな人もいるのではないでしょうか。どうしたら“スッキリした、居心地のいい部屋”になるのか。ミニマリストでカナダ在住の人気ブロガー・筆子さんは、最新刊『本当に心地いい部屋』(大和出版)で、心からくつろげる部屋にするノウハウを解説しています。そのなかから、とくにものを置きすぎてしまいがちな5つの場所と解決法も教えてもらいました。

置きすぎをやめるとスッキリする5つの場所

筆子さんが考える、ついついものを置きすぎてしまう場所は、次の5つ。

・玄関

・部屋の入口

・床と壁

・平面の上

・家具の上

心当たりはないでしょうか? 解決法を詳しく教えてもらいました。

 

●玄関

家の顔と言われる玄関は、家と外界をつなぐ大切な場所。疲れて帰ってきて、玄関の扉を開けた瞬間、ごちゃっとしたものが視界に飛び込むと、疲れも倍増しますよね。なぜ玄関はごちゃつくのか。それは、外から持ち込んだ郵便物や、宅配便の荷物、身に着けていたカバンや上着などを「ちょい置き」してしまいがちな場所だからです。

「とにかく、置きっぱなしになっているものがあったら、すべて所定の位置に戻しましょう。下駄箱の上に小物が散らばっている場合、トレイなどを用意して、鍵や腕時計などを一か所に集めれば、探しものも減ります。たたきの上に出す靴も最小限に。それだけで、随分スッキリするはずです」(筆子さん・以下同)

 

●部屋の入口

部屋の入口についたとたん、重いカバンをドサッとおろし、そのまま放置してしまうことはないでしょうか。これも、「疲れる部屋」の要因になります。

「ドアや戸など、部屋の入口のそばにものを置きすぎると、扉をあけ閉めするたびにものにぶつかったり、足を持ち上げてまたいだりする必要が出て、その都度小さなストレスになります。出入りするたびにストレスを感じるのは嫌ですよね。玄関と同様、部屋の入口は動線を確保できる方が暮らしやすいもの。万一、火事や大地震が起きたときも、すぐに避難できるよう、入口はスッキリさせた方がよいでしょう」

疲れて居心地が悪くなるだけでなく、命取りにもなりかねない、入口の“ちょい置き”習慣。今日から早速やめたいですね。

 

●床と壁

部屋の中でもっとも目につくのは、床と壁。「たっぷりスペースがあるからといってものを置きすぎると、あっという間にごちゃごちゃして、置くものによっては圧迫感も生まれます」と、筆子さんは注意を促します。

「部屋を広々とさせるいちばんのコツは、できるだけ床を見せること。床にものを置くのは極力避けましょう。“床置は汚部屋への最短ルート”だと心得てください」

とくに気をつけたいのは、家族だんらんの場であるリビングの床。

「リビングは、家族それぞれのものが持ち込まれ、ごちゃつきやすくなります。逆に言えば、リビングの床さえきれいに保てれば、ほかがごちゃっとしていても、自分の精神衛生にいいです。リビングに常駐させるものは厳選し、家族が私物を持ち込んだとしても、最後は必ず自室に持ち帰ってもらいましょう」

同様に、壁も大きな家具や飾り物などで埋め尽くしてしまいがちですが、極力しないほうが視覚的ノイズが減り、くつろぎやすくなります。

●平面の上

床や壁の次に目立つのは、ダイニングテーブル、カウンター、ソファ、ベッドの上など、ある程度広さのある平面の上。高さ的にも、ついついものをちょい置きしてしまいがち。ここがスッキリしていると、視覚的ノイズが減ります。

「平らなスペースはどうしてもものを置いてしまいやすいです。郵便物や書類を1枚でも置くと、あっという間に山ができてしまいかねません。郵便受けにDMが入っていたら、即座に要・不要を判断して不要物はゴミ箱へ。そもそも、届いても中身を見たことがないDMやカタログは、面倒でも一度、送付停止の連絡をしておくと、日々の仕分けや処理など余計な作業をせずに済みます。オンラインで確認できるものは、紙の配布をストップしておくといいでしょう」

水平面だけでなく、棚の扉などの垂直面も見直しポイント。

「冷蔵庫の扉や側面に、お知らせの紙などをマグネットで貼っていませんか? 私もマグネットを集めてあれこれ貼っていた時期がありましたが、今は一掃し、とても快適です。ものをくっつけないほうが冷蔵庫のあけ閉めもしやすいですよ」

 

●家具の上

最後の難所は、タンスや本箱、チェストなどの家具の上。ここも高さ的に“ちょい置き”しやすく、ものがどんどんたまっていきます。

「家具の上は、本来ものを置くところではありません。ここにあるものは、いわばはみ出しているものなので、取り去って収納スペースの中に入れてください。入りきらないときは中身の厳選を。

家具の上にものを置いてしまうと、壁の余白が少なくなるし、ランダムな形でものが増殖するので、とても目障りです。ここも積み重ねに注意してください」

家具の上だけではなく、どんな場所にも、ものを積み重ねるべきではないと、筆子さんは強調します。

「取り出しにくく、戻しにくい上、上に積んだものがふとした拍子に落ちてきます。そもそも、そこに置いたまま放置しているから積み重なってしまうのです。ということは、山になっているものは普段使わないもの。捨ててしまっても問題ないかもしれません」

 

ここでは、「置きすぎをやめるとすっきりする場所」を5つご紹介しましたが、いかがでしょうか。

「心地いい部屋をつくるためには、視覚的なノイズを減らすこと。そのためにもっとも手っ取り早いのは、ものを減らすことです」と筆子さんは話します。

紹介した5箇所はものの置きすぎをやめることで、スッキリ感じられる即効性のある場所。早速、今日から1つずつ減らしていきませんか?

筆子さんの書籍『本当に心地いい部屋』(大和書房)には、ここで紹介した以外にも居心地のいい部屋をつくるためのポイントが満載。ぜひチェックしてみてくださいね。