栃木の105歳おばあちゃん理容師。元気でいられる日々のルーティン
人生100年時代。いくつになっても元気に暮らしている人生の先輩に密着します。今回紹介するのは、105歳の現役理容師の箱石シツイさん。その元気の源を教えてもらいました。
105歳、元気でいられる日々のルーティン
箱石シツイさんが生まれたのは大正5年。「手に職を」と理容師の道へ進んでから、90年近くも現役を続けています。昨年は東京オリンピックの聖火ランナーも務め、最高齢として走る姿が話題になりました。
そんな箱石さんを長年支えてくれたのは、家族の愛情と理容師としての技術でした。予約が入ると必ずお店に立ち、多くのお客さんと向き合っています。
●生きているうちはハサミを握りたい
箱石さんは102歳で転んでけがをするまで、ひとり暮らしをしていました。寝たきりになることもなく回復したのは「一日も長く元気でいたい。生きているうちはハサミを握りたい」というプロ意識のなせるワザだったのです。現在は息子さん夫婦と同居。昔なじみのお客さんや県外からのお客さんなど、多くの人が箱石さんを訪ねます。
「体がちゃんと動くこと。それだけで十分幸せ。だから毎日の習慣は変えたくないんです」
「カミソリを砥石(といし)で研ぐのが日課でした」。ずっと働き続けてきた箱石さんの手は今も現役です。
そんな箱石さんの1日のルーティンを紹介します。
●箱石さんの一日
6:00 時間をかけて目を覚ます
7:00 起床。日本茶でうがい、体操などをする
8:00 朝食
8:30 体操の続き。外を500歩歩く
9:30 新聞を読んだり、のんびり過ごす
12:00 昼食
13:00 ご近所さんとコミュニケーション
18:00 夕食
19:00 家族と談笑し、のんびり過ごす
21:00 就寝
箱石さんの元気の源4つ
105歳という高齢でありながら、箱石さんは健康体そのもの。歩くのにも杖いらず、背筋はピシッ! 医療の専門家も驚くほど。105歳になっても元気でいられる、毎日を支える暮らしの工夫とは?
●予約がある限り現場には立つ
かつては理容イスが3席あったという店内に、今は1席。予約が入れば白衣を着てハサミを握ります。
「お客さんの笑顔が生きがいです。でも、最近は手が震えちゃってね…」。
ハサミやカミソリを扱う手さばきは今もしっかり鮮やか。
●毎日、時間をかけて体力づくり
「ベッドの中から始め、簡単な筋肉トレーニング。最後はウォーキング。1時間以上かけてやります」
毎日続けることで、体の負担が減り、ラクに動けるそう。
●3食しっかりかんで食べる
食べることも元気のコツ。こちらはお昼ごはんで、温野菜や漬物、魚を中心に。毎日3食、必要なビタミンやミネラル、タンパク質など、栄養のバランスを意識しています。
●近所の友人とコミュニケーション
この日訪れた友人、佐藤文子さんは87歳。
「3歳ぐらいのとき、うちへ髪を切りに来たのよね」と箱石さん、はや80年以上のつき合いです。
「今じゃ私の方が年上に見られちゃうんだから、シツイさんはすごいですよ!」(佐藤さん)