インテリア好きほど陥りやすい「3つのこだわり」。捨てたらむしろ部屋が片づく
部屋づくりをする際、おしゃれな部屋にしたいと思って、いろいろとものを置いてしまう人も多いのではないでしょうか。「じつは、自宅に好きなものを置きたい、素敵なインテリアにしたい、と考える人ほど、かえって居心地が悪い部屋になることがあるんです」と話すのは、ミニマリストでカナダ在住の人気ブロガー・筆子さん。筆子さんの最新刊『本当に心地いい部屋』(大和出版)より、インテリア好きが陥りやすい部屋の課題と、心からくつろげる部屋づくりのポイントをご紹介します。
インテリア好きが持ちがちな3つのこだわり
筆子さんは、「インテリア好きの人は部屋に対するこだわりが強く、それゆえ居心地の悪い部屋になることがあります」と話します。
たとえば、
・好きなものだけに囲まれたい
・おそろいでそろえたい
・なにもない部屋にしたい
こんなこだわりを持っている人は要注意だそう。その理由を詳しく教えてもらいました。
●こだわり1:好きなもの“だけ”に囲まれたい
「『大好きなものだけに囲まれたい』という強いこだわりを持つと、なにを手に入れても『もっと素敵なもの』『もっと自分にふさわしいもの』を際限なく追い求めたり、買ったものに少しでも難があると、また新しいものが欲しくなったりして、ものがどんどん増えていく傾向があります」(筆子さん・以下同)
たとえば、自分好みの形の花瓶を買ったとします。花をふんわりと飾りたいから口が広がったラッパ型にしたのですが、いざ使ってみると口が大きすぎて思ったように飾れない。こんなとき、大好きなものを追い求めている人は、「もっと小ぶりで花がしっかりおさまるものがいい」と、新しいものを買ってしまうでしょう。
――こうして、理想形を目指してものは増える一方なのに、不要になったものは「一目ぼれして買ったお気に入りだから」と捨てることができない。そうして部屋の至るところに似たようなものが散らばって、ごちゃついた部屋が出来上がってしまうわけです。
「好きなデザインならいくらあっても気にならないのでは?」と思いがちですが、「どんなに好きなものばかりでも、多すぎると視覚的なノイズになるのでとても疲れる部屋になります」と筆子さんは話します。
また、どこにどんなものがあるのか、どこで買うと安いのか、などリサーチを始めて気がつけば、数十分経って、疲れてしまった――という経験も、だれもがあるのではないでしょうか。
「『よりよいもの』を探していると部屋の片づけや整理、次に買うためのリサーチなどやるべきことが増え、疲れる一方です。こだわりを手放せば、やることも減り、今よりリラックスして過ごせるのではないでしょうか。多少難があっても、いい面に光を当てて満足して暮らした方が幸せに生きられると思います」
●こだわり2:インテリアはおそろいにしたい
たとえば、「ソファカバーとクッションカバーをすべておそろいにしたい」などと、家にある小物やインテリアを同一のものでそろえようとすることも、居心地の悪い部屋になる原因なのだとか。
「おそろいにしようとして、使えるものがすでに家にあるのに、新たに買い足せば、その都度、ものが増えていきます。
確かにすべておそろいでそろえると統一感が出て、ハイセンスなインテリアになるかもしれません。ですが、自分の家は本来、自分や家族が安心、安全に暮らすために整えるものであって、だれか第三者に向けてセンスの良さをアピールするための部屋ではありませんよね。余計なものを買ってまで、センスのいい部屋にする必要はないのです」
前述の通り、ものが増えると視覚的なノイズが増し、片づける頻度も上がっていきます。その結果、精神的にも肉体的にもどっと疲れてしまいます。
「見た目の美しさにこだわりすぎると、かえって心地よさが損なわれるので注意が必要です」
●こだわり3:なにもない部屋にしたい
雑誌やインスタグラムなどで見る、ミニマリストのスッキリした部屋。ものが非常に少なく、「これなら片づけも掃除もラクそうだ」と、あこがれる人もいるでしょう。ただ、安易に真似をするのは、おすすめしません。
「じつは、本当になにもない部屋は住みにくいんです。私の自室は常駐の大きな家具は一つもありません。ノートパソコンで作業するための折り畳み式のローテーブルがありますが、このテーブルがなかったときは、床にパソコンを置いて作業をしていて身体的に疲れました。私の例は極端かもしれませんが、なにもない部屋にすることが目的になると、自分の心地よさは二の次になり、本末転倒になりかねません」
筆子さんは、ミニマリストは、なにもない部屋にすることが目的でそうなったのではなく、不要なものを手放した結果、ものが少ない部屋になっただけだといいます。
「ミニマリストのなにもない部屋は、あくまでも結果であって、ゴールではなかったはずです。それを踏まえ、『とにかくなにも置かないようにしよう』と気張らないでください」
快適に暮らすためにものを捨てた結果、本当は残した方がいいものまで捨ててしまって、また買い直すケースもよく聞きます。
「こだわり」を持っているはずなのに部屋がごちゃついている人は、上記3つの「不要なこだわり」がないか、見直してみてはいかがでしょうか。