閉経前後の10年を指し、6割の女性が不調を感じるという更年期。人によって症状もさまざまですが、ほかの人の体験を読むことは、理解を深め、不安を和らげることにもつながります。ここでは、更年期による体調の変化で悩んだ経験があるという、現在55歳の料理研究家・藤井恵さんにお話を伺いました。すこやかに更年期を乗り越えるために、藤井さんが普段の生活で意識していることもご紹介します。

症状を抱えながら仕事を続ける日々…心地いい空間で体もよろこぶように

料理研究家の藤井恵さんが更年期による体調の変化を感じたのは5年ほど前のこと。最初は足に湿疹ができ始め、その湿疹がおなかや手、上半身へと広がっていきました。

 

●全身に湿疹ができ、仕事に影響することも

「じわじわと広がっていく湿疹に、いつか顔にも出るのではないかという不安がありました。さらに激しい手の湿疹のせいで、元の手より腫れ上がってしまい、手の皮はかたくなってボロボロはがれ落ち、何十歳も老けたように…。そのうち指の爪もはがれ、テレビのお仕事でも手袋をせざるを得ませんでした」

皮膚科には何軒も通いましたが、思ったように改善しなかったそう。

「今思えば体は悲鳴を上げていたんです。早めに更年期だと認識して婦人科に行っていたら、違っていたかもしれません。当時は、乗り越えるしかないと思っていました」

 

●番組卒業がきっかけで症状もみるみる改善へ

つらかった症状が改善したきっかけは、18年続けたテレビのレギュラー番組を卒業したことでした。

「『緊張感があって当たり前』の毎日から解放されたことが大きかったです。これまで『なにがなんでも休まない』と入院しても病院からスタジオへ直行することもありました。体は正直なのに、自身の状態に耳を傾けていませんでした。聞こうとしなかったのでしょう」

でも、今では休みが3〜4日あれば長野の別荘でリフレッシュします。

「そこでのお水がよかったのか、数か月すると湿疹もほとんど気にならなくなりました。また、環境を変えるということがよかったのかもしれないと、東京の自宅も模様替えをしました。今では狭い部屋にベッドを置いていたのを広い部屋に移動。毎日過ごす場所だからこそ、気持ちいい空間にしました」

更年期を通じて、藤井さんはオンとオフの両方の時間を大切にできるようになったと語ります。「更年期を乗り越えられたのは、『仕事』という大好きなことがあったから。がんばったからこそ今があるし、今はほんの些細なことが幸せに思え、体が喜んでくれます」

自分をゴキゲンにするためやってよかったこと

オフの時間も大切にするようになったという藤井さん。体と心が元気になることに積極的になりながら過ごし、心身ともにエネルギーをチャージしています。

 

●お気に入り空間でリラックスタイム

長年、仕事とプライベートに境目がなかったという藤井さん。今はしっかりオンオフを分けるようになりました。「仕事が終わった瞬間、リラックスモードに。ゆっくりしながらドラマを見る時間も大切にします」

 

●大好きな長野でリフレッシュ

少し長めの休みが取れるたびに訪れる長野の別荘。朝日を浴び、夜は満天の星を見てリフレッシュします。「雨が降っていても心地いい。自然と触れ合い、地のものを食べて、心から幸せを感じます」

 

●大豆をたくさん食べるように

乾燥大豆をひと晩水で戻し、蒸し大豆にしてつくりおきに。「サラダに添えたり、ミキサーにかけて汁物に入れたり…イソフラボンとタンパク質が豊富なので、毎日食べるように心がけています」