プレーオフは好き? 嫌い? シニアで3戦全勝も「できることならやりたくない」【鈴木亨のゴルフ道】
50歳以上のプロゴルファーが持てるテクニックを駆使して真剣勝負を行う国内シニアツアー。レギュラーツアー時代から勝負にこだわり続ける者もいれば、新たな気持ちで挑む者もいる。今季、密かに爪を研いでいるのがプロ34年目を迎えた56歳の鈴木亨だ。レギュラーツアーで8勝を挙げ、シニアツアーでも5勝を挙げている鈴木のゴルフ観や技術に触れながらその横顔に迫る。(取材/文・山西英希)
■レギュラー時代は負け越しもシニアで全勝
昨年の最終戦である「いわさき白露シニア」でプレーオフの末に優勝して、賞金シードを死守した鈴木亨。シニアツアーでのプレーオフは3戦3勝と好成績を収めているが、レギュラーツアー時代はプレーオフが大の苦手だったという。
国内外問わず、最終日の18ホールを終えて首位に複数の選手が並んだときはプレーオフが行われる。その多くはサドンデス形式で、1ホールごとの勝負となる。そこで同スコアの選手が2人以上いた場合は、次のホールへと進む。最後の1人になるまで続けられるため、数ホールを要することも珍しくない。
ちなみに、国内シニアでは1986年の「藤田観光オープン」で須貝昇が制した8ホールなどの記録がある。国内女子ツアーでは1986年の「ダンロップレディス」で吉川なよ子の10ホールが最長。国内男子ツアーでは1976年の「ペプシウィルソン」でピーター・トムソンが14ホールの激闘を制した記録もある。
レギュラーツアー時代、鈴木はプレーオフを5回戦っている。対戦成績はなんと1勝4敗だ。負けた相手はブラント・ジョーブ、福澤義光、林根基、菊池純の4人。ジョーブにはツアー2勝目を、ほかの3人にはツアー初優勝を献上している。「プレーオフの前にみんなから言われるんですよ。自分のほうがツアーでの経験があるから有利だと。でも、それが逆にプレッシャーになるんですよね」と鈴木。
確かに通算勝利数では負けた4人より鈴木の方が上ではある。試合の流れもあるし、“一発勝負”のため経験だけでどちらが有利ともいえないが、普通に戦えばもう少し対戦成績が変わった可能性もある。
実際、福澤とのプレーオフでは、ティショットで2連続OBを叩いて敗れているのだ。「逆に、自分がぶつかっていくような相手の方が頑張れるんですよね」というが、確かに鈴木がプレーオフで唯一勝った相手は、永久シード選手の中嶋常幸だった。ただ、レギュラーツアー以外の後援競技でもプレーオフの経験が3回あり、すべて敗れていることを考えれば、やはり駆け引きが得意ではないのだろう。
■シニアだとフラットな気持ちで戦える
その鈴木が、シニアツアーに参戦後は、プレーオフでは負け知らずの3戦全勝という結果を残している。1勝目が18年の「福岡シニアオープン」で相手はグレゴリー・マイヤーだった。プレーオフ1ホール目で鈴木がバーディを奪い、パーのマイヤーを下している。2勝目が18年の「エリートグリップシニアオープン」で、相手は田村尚之。1ホール目でパーセーブした鈴木に対し、田村がボギーを叩いて決着がついた。そして、3勝目が昨年の最終戦「いわさき白露シニア」だ。奇しくも対戦相手はマイヤーだった。2ホール目で鈴木がバーディを奪い、パーのマイヤーを下した。
「シニアになってもプレーオフは嫌いですよ。できることならやりたくないですし、別に強くなったとも思っていません。ただ、レギュラーツアーと違い、シニアツアーだとフラットな気持ちで戦えるんですよね。変な気負いがない分、いいのかもしれません」と分析するが、プレーオフに対する苦手意識がなくなったことは確かだ。レギュラー、シニア両ツアーの公認競技に限っていえば、対戦成績は4勝4敗の五分になった鈴木。最初のプレーオフを戦ってから25年経った今季はぜひとも勝ち越しを狙いたいところだ。
■鈴木亨
すずき・とおる/1966年5月28日生まれ、岐阜県出身。身長178センチ、体重80キロ。日本大学ゴルフ部時代は「日本アマ」などのタイトルを獲得。同期には川岸良兼がいる。89年にプロ転向後は、93年にツアー初優勝をはじめ、通算8勝。2011年までシード選手として長年活躍。シニア入り後は、3年目の18年に3勝を挙げて賞金ランキング2位。今季は賞金王を目指す。シニア通算5勝。ミズノ所属。
<ゴルフ情報ALBA.Net>
■レギュラー時代は負け越しもシニアで全勝
昨年の最終戦である「いわさき白露シニア」でプレーオフの末に優勝して、賞金シードを死守した鈴木亨。シニアツアーでのプレーオフは3戦3勝と好成績を収めているが、レギュラーツアー時代はプレーオフが大の苦手だったという。
国内外問わず、最終日の18ホールを終えて首位に複数の選手が並んだときはプレーオフが行われる。その多くはサドンデス形式で、1ホールごとの勝負となる。そこで同スコアの選手が2人以上いた場合は、次のホールへと進む。最後の1人になるまで続けられるため、数ホールを要することも珍しくない。
ちなみに、国内シニアでは1986年の「藤田観光オープン」で須貝昇が制した8ホールなどの記録がある。国内女子ツアーでは1986年の「ダンロップレディス」で吉川なよ子の10ホールが最長。国内男子ツアーでは1976年の「ペプシウィルソン」でピーター・トムソンが14ホールの激闘を制した記録もある。
レギュラーツアー時代、鈴木はプレーオフを5回戦っている。対戦成績はなんと1勝4敗だ。負けた相手はブラント・ジョーブ、福澤義光、林根基、菊池純の4人。ジョーブにはツアー2勝目を、ほかの3人にはツアー初優勝を献上している。「プレーオフの前にみんなから言われるんですよ。自分のほうがツアーでの経験があるから有利だと。でも、それが逆にプレッシャーになるんですよね」と鈴木。
確かに通算勝利数では負けた4人より鈴木の方が上ではある。試合の流れもあるし、“一発勝負”のため経験だけでどちらが有利ともいえないが、普通に戦えばもう少し対戦成績が変わった可能性もある。
実際、福澤とのプレーオフでは、ティショットで2連続OBを叩いて敗れているのだ。「逆に、自分がぶつかっていくような相手の方が頑張れるんですよね」というが、確かに鈴木がプレーオフで唯一勝った相手は、永久シード選手の中嶋常幸だった。ただ、レギュラーツアー以外の後援競技でもプレーオフの経験が3回あり、すべて敗れていることを考えれば、やはり駆け引きが得意ではないのだろう。
■シニアだとフラットな気持ちで戦える
その鈴木が、シニアツアーに参戦後は、プレーオフでは負け知らずの3戦全勝という結果を残している。1勝目が18年の「福岡シニアオープン」で相手はグレゴリー・マイヤーだった。プレーオフ1ホール目で鈴木がバーディを奪い、パーのマイヤーを下している。2勝目が18年の「エリートグリップシニアオープン」で、相手は田村尚之。1ホール目でパーセーブした鈴木に対し、田村がボギーを叩いて決着がついた。そして、3勝目が昨年の最終戦「いわさき白露シニア」だ。奇しくも対戦相手はマイヤーだった。2ホール目で鈴木がバーディを奪い、パーのマイヤーを下した。
「シニアになってもプレーオフは嫌いですよ。できることならやりたくないですし、別に強くなったとも思っていません。ただ、レギュラーツアーと違い、シニアツアーだとフラットな気持ちで戦えるんですよね。変な気負いがない分、いいのかもしれません」と分析するが、プレーオフに対する苦手意識がなくなったことは確かだ。レギュラー、シニア両ツアーの公認競技に限っていえば、対戦成績は4勝4敗の五分になった鈴木。最初のプレーオフを戦ってから25年経った今季はぜひとも勝ち越しを狙いたいところだ。
すずき・とおる/1966年5月28日生まれ、岐阜県出身。身長178センチ、体重80キロ。日本大学ゴルフ部時代は「日本アマ」などのタイトルを獲得。同期には川岸良兼がいる。89年にプロ転向後は、93年にツアー初優勝をはじめ、通算8勝。2011年までシード選手として長年活躍。シニア入り後は、3年目の18年に3勝を挙げて賞金ランキング2位。今季は賞金王を目指す。シニア通算5勝。ミズノ所属。
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