教員からのパワハラを経験した大学生 相談窓口設置を求める署名活動を開始 - BLOGOS編集部
※この記事は2019年07月16日にBLOGOSで公開されたものです
東京都世田谷区にある私立の中高一貫校で、担任教員からパワハラを受けた経験を持つ、早稲田大学生の佐藤悠司さん(19)が17日から、教員からのハラスメントに苦しむ学生のための相談窓口設置を文部科学省などに求める署名活動を開始する。
佐藤さんは16日、文部科学省で会見を行い、「全国で教員からのハラスメントに苦しんでいる生徒がいると思うが、多くが泣き寝入りという形を取らされている。公的な窓口が必要だ」と話した。
文部科学省に対して佐藤さんが求めるのは、教育委員会から独立した「教員から生徒へのパワハラ」の相談・対策機関の設置。東京都と世田谷区には、学生が気軽に相談できる場所として、「隠されたハラスメント」の相談窓口の設置を求めている。17日から1カ月間かけて署名キャンペーン発信サイト「Change.org」で呼びかける。
中学2年の冬、体調不良で休んだ際、「学校に来い」と強引に電話してきた担任であり部活の顧問でもあった男性教員に不信感を持った佐藤さんは、休み明けに「部活を辞めたい」と告げたところ、担任から「お前は離婚家庭の子どもだからダメなんだ」などと言われたという。
佐藤さんはその言葉がきっかけで腹痛や睡眠障害などの症状が出るようになり、中学3年のころから、不登校になった。学校側は中3時から高校在学中にかけて、計3回の転校勧告を行った。佐藤さんの父親が学校側に抗議した際、副校長らは「経緯を知らなかった」などと答えたという。
佐藤さんと両親は文部科学省や法務省、東京都と世田谷区の教育委員会に相談したが「私立の学校を指導する権限はない」「保護者からの訴えがあったことを、学校運営者に伝えることしかできない」などと返答された。
学校側は謝罪を行ったものの、「再発防止のためにハラスメントの事実を公表して欲しい」とする佐藤さんの求めは拒否したという。
記者会見で「大学には教員からのアカデミックハラスメントなどに対する相談窓口や注意を促す啓発活動が盛んに行われているのに、小中高の学生のための相談窓口はない」と語った佐藤さん。「教員がハラスメントの加害者になるケースは小中高のどの段階でも、突然起こりうる。実効性のある窓口を設置したい」と今回のキャンペーンを決意した。
署名キャンペーンでは文部科学省に対し、透明性、公平性のある「教員からの生徒へのパワハラ」の相談・対策機関の設置を求める。東京都知事と世田谷区知事には、学校で起きているハラスメントに対する相談窓口を設置し、地域住民への啓発・情報開示を積極的に行うことを要望する。
また、実態調査のため、ハラスメントに苦しむ当事者の声や経験者の声を、体験談フォームから募集する。