ジャニー喜多川社長の死去でSMAP再結成が現実的に!? - 渡邉裕二

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※この記事は2019年07月10日にBLOGOSで公開されたものです

ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長が9日午後4時47分、都内病院で亡くなった。87歳だった。

ジャニー氏は、6月18日の午後、東京・渋谷区内の自宅マンションで倒れ、広尾の病院に救急搬送された。しかも、搬送先の病院はジャニー氏がこれまで利用したことがない病院だったこともあって、業界内には〝重病説〟が流れ、病院の周辺には報道陣が殺到していた。

事務所関係者は救急搬送されたことは認めたものの、病状などは一切公表してこなかったが、入院から2週間経った7月1日、嵐のデビュー20周年を記念して開催される展覧会の記者会見の席で、嵐のメンバーである松本潤から「解離性脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血」で入院していることが正式に発表されていた。

関係者によると搬送時には既に「意識不明の状態」だったという。「救急隊の判断で、最も近い病院に搬送したのでしょう」(取材記者)。

ただ、搬送後は集中治療室で懸命な救命措置が行われた甲斐あって一般病棟に移り、タレントやJr.たちとの面会を果たすことができたともいう。

ジャニー氏は、3月29日から松竹系で公開された「映画 少年たち」の製作総指揮を務めていた。ジャニーズ事務所の代々の若手メンバーたちが出演してきた舞台「少年たち」を映画化したもので、次世代を担うグループ「SixTONES」や「Snow Man」「なにわ男子」「関西ジャニーズJr.」のメンバーを中心に、脇を先輩格の「関ジャニ∞」の横山裕や「A.B.C-Z」の戸塚祥太らが固めた作品だった。ちなみに、公開後の成績は、興行収入が約7億円で「大ヒットではないが、松竹公開の作品としては悪いものではなかった」(映画関係者)という。

SMAP解散を発端に吹き始めた逆風

ジャニー氏の生い立ちや功績については、あらゆるメディアで報じられてきているので、敢えてここでは割愛したいと思う。しかしSMAPの解散以来、TOKIOのメンバーだった山口達也の騒動、さらには嵐の活動休止発表など、ここ数年ジャニーズを巡ってはネガティブな出来事が続いてきた。そして「平成」が「令和」に変わって2ヶ月、今度は〝ジャニーズの頭脳〟とも言うべきジャニー氏の死去である。これには誰もが「いよいよジャニーズ存続の危機」と思ったはずである。

言うまでもなくジャニーズ事務所は、ジャニー氏と実姉のメリー喜多川氏の二人三脚で歴史を刻んできた。それが、今や芸能界においては〝帝国〟とも形容され、その売り上げは一部では1000億円とも報じられているが、実は3000億円を超えると言われる。業界内では「テレビ朝日と同じぐらいの売り上げ」(業界関係者)なんて言われるほどだ。文字通り、わが国でも最大の芸能プロダクションである。

というより、もはや芸能プロダクションの域を超えている。エンターテインメント産業では「バンダイとかソニー・ミュージックエンタテインメントぐらいしか太刀打ちできないのでは…」(プロダクション関係者)なんていう声もある。

そのジャニーズ事務所は、現在はメリー氏の長女・藤島ジュリー景子副社長が実質的経営者となっているだけに、事務所経営については急に大きな問題はないだろう。しかし、そのジャニーズ最大の武器は何かといったら、それはジャニー氏の天性からくる「着眼点」と「感性」に頼るところが大きかった。これは誰もが真似できるものではない。

ある業界関係者が呟いた。

「この芸能界でIQ150以上の人物を挙げるとしたらジャニーさんしかいないかもしれない。天才というしかない。しかもジャニーさんの場合は気配りもズバ抜けていましたね。余談ですが、料理の腕前もすごかった」。

滝沢秀明がすべてを引き継げるわけではない

今後はそのジャニー氏のイズムを〝タッキー&翼〟で人気だった滝沢秀明が継ぐ。既に今年1月15日にジャニーズ内に制作会社として「株式会社ジャニーズアイランド」を設立、代表取締役社長に就任している。

滝沢は、ジャニー氏の後継者として、ジャニーズJr.の育成に力を注いでいる。既に、新たにYouTube公式チャンネル「ジャニーズJr.チャンネル」やJr.エンタメサイト「ISLAND TV」をスタートしたり、Jr.のグッズ専門ショップなどもオープンしている。

おそらく、新体制のジャニーズ事務所は、ジュリー氏は経営と運営、管理など資産の運用に専念し、ジャニー氏の手掛けてきたクリエイティブな部分については基本的に滝沢に任せていくような体制にしていくだろう。

「今後のジャニーズは各所に所有している不動産の管理も重要な業務となってきますからね。ジュリー氏も各業種から人材をヘッドハンティングするなど体制づくりを強化していると聞きます。関係の深いソニー・ミュージックやフジテレビ関連の会社にも協力を仰ぐかもしれませんが、これまでジャニーズの経営の柱となっていたコンサートや舞台、さらには音楽や映画などクリエイティブな部分は、滝沢のジャニーズアイランド社に回していくのが自然な流れかと思いますけどね」(事情通)。

既に滝沢はアクロバット・ユニットのSnow ManやSixTONES、Travis Japanなどを手掛けている。

しかし…。

確かに、滝沢はジャニー氏から「後継者」と認められ、あらゆるノウハウを教えられ、また学んできたとは思うが、さすがに、ジャニー氏の「感性」、さらには「ショービジネスに対する異常なこだわり」といった部分までは受け継ぐことはできない。そういった部分がジャニーズにとっては、最も危惧する点になっていくだろう。

おそらく生前はジャニー氏も、そこが悩みの一つだったはずだ。

ジャニー氏は、メリー氏やジュリー氏との対立で追い出されてしまったマネージャーの飯島三智氏にこだわっていたといわれる。飯島氏の才能を認めていたジャニー氏は、最後の最後まで「戻ってきてほしい」と願っていたようだ。しかし、ジャニー氏が亡くなった今となっては、それも「叶わぬ願い」となってしまった。しかも、その飯島氏のもとには今後、ジャニーズから何組かが移籍するともいわれている。その一方で解散するグループも出てくるという話もあり、今後の動きに注目が集まりそうだ。

SMAP「紅白で再結成」の可能性が出てきた

そんな中、ジャニー氏の死去で可能性が出てきたのがSMAPの再結成である。

ジャニー氏はSMAPの名付け親でもあるだけに、再結成についてもこだわっていた。ジャニー氏の生前の願いを叶えるために飯島氏も、今後、再結成に動くと思われる。SMAPのメンバーも、ジャニー氏に対して恨みなどはなく、逆に感謝の気持ちでいっぱいだったはずである。もちろんメンバー内での蟠(わだかま)りは大なり小なりあるかもしれないが、だとしても、ここでの再結成にメンバーから異論は出ないはず。ジャニーズにしても、これまで「厄介」な状態になっていたSMAPの解散だっただけに、ここで反対する理由もないはずだ。

そこで考えられるのは年末の「NHK紅白歌合戦」での再結成である。

現実的に再結成でのコンサートはあり得ない。だとしたら唯一、実現できそうなのが「紅白」なのである。

昨年は、サザンオールスターズが〝平成の歌い納め〟として35年ぶりに東京・渋谷のNHKホールのステージに立ち、ユーミン(松任谷由実)が絡む形で盛り上がり45.3%という高視聴率をあげた。

その紅白も今年は「70回目」を迎える。しかも、来年は東京五輪である。今回は不幸なこととはいえ、タイミングも合った。当然だが嵐や、他のジャニーズ・メンバーと生のステージで絡むことも可能となる。

これはNHKにとっては願ってもないことだろうが、飯島氏やジャニーズにとっても、ある意味でジャニー氏の「弔いイベント」になり、令和元年の大晦日に「みんなでジャニーさんを送ってあげよう」という演出にもなる。

「そんなことあり得るんですかね。実現したら、50%を超える視聴率になると思いますよ」(NHK関係者)

もちろん、難問はいくつも出てくるとは思うが、私は実現すると思っている。

なお、通夜・告別式については、所属のタレントたちとJr.のみで「家族葬」を行うとしており、後日、「これまでお世話になりました皆様にはお別れいただく機会をご用意する予定にしておりますので、決定次第、ご案内申し上げます」という。