NHKチーフプロデューサーが強制わいせつ容疑で逮捕 局内には「性癖」のある犯罪予備軍が跋扈する? - 渡邉裕二
※この記事は2019年06月25日にBLOGOSで公開されたものです
NHKのプロデューサーによる「わいせつ犯罪」が止まらない。
先週(17日)には、NHK放送総局の大型企画開発センター所属で、看板番組「NHKスペシャル」の企画や制作に携わってきたチーフプロデューサーの阿部博史容疑者(41)が、東京・練馬区内の歩道上で女性にわいせつな行為をしたとして警視庁練馬署によって逮捕された。
「帰宅途中の40代の女性の肩を掴んで押し倒し、わいせつな行為をしたのです。女性との面識などは一切なかったと言います。被害にあった女性は帰宅後に警察に通報した上で被害届を提出したようです」(社会部の記者)
所轄の練馬署が、被害現場周辺の防犯カメラなどをチェックしたところ、阿部容疑者が浮上したという。もっとも警察の調べに「記憶にない」と容疑を否認しているというが、単にトボケているだけなのだろうか。
マツコ番組に出演した「AIのスぺシャリスト」
ところが、その阿部容疑者は、NHKの局内では「人工知能(AI)のスペシャリスト」として知られてきたという。 NHKに入局したのは2004年。名古屋大学大学院理学研究科素粒子宇宙物理学専攻修了で、宇宙科学研究所(JAXA)やインドのTATA基礎科学研究所との共同で天文衛星の検出器の開発や赤外線気球望遠鏡の打ち上げを行うなど、その世界ではエキスパートとして期待されてきたようだ。
NHKではビッグデータや前記したAIを活用したスペシャル番組で「AIに聞いてみたどうすんのよ!? ニッポン」や「震災ビッグデータ」などを制作してきた。特に、「AIに聞いてみたどうすんのよ!? ニッポン」は、不定期放送ながらもタレントのマツコ・デラックス(46)と有働由美子アナ(50)を起用しての人気番組だったそうで、阿部容疑者もAIプロジェクト研究開発チームの責任者として出演していたというから驚きである。
NHK担当の放送記者が言う。
「番組では、自身の名前『ひろふみ』から名付けたという『AIひろし』と共演する形で登場し、専門的な内容の解説などをしていました。ちなみに、AIの名前を『ひろふみ』ではなく『ひろし』にしたのは、阿部容疑者の名前を有働アナが呼び違えたことがキッカケだったようです。とにかく優秀だったようで、東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センターでは客員准教授にも名を連ねていたほどです。ただ、彼の自宅は町田市だったはずで、それがどうして練馬なんかで事件を起こしたのかが疑問です。局内では酒グセが悪いという話もなかったですからね」。
一部からは「わいせつ事件の常習犯というのは、地元から離れた場所で、そういった行為をすると言われていますからね」なんていう声もあるが、いずれにしても、「やっぱり」か「まさか」だったのかは分からないが、マツコや有働アナにとってはとんだ災難だったことは確かだろう。
NHKだけではないテレビ局のわいせつ・セクハラ不祥事
NHKに限らず、ここ数年テレビ各局では、こういった不祥事が多い。
フジテレビでは制作局第二制作センター長だったN氏がレコード会社の女性宣伝担当者にわいせつ的なセクハラ行為をして問題になったかと思えば、日テレの報道番組「ZERO」でも、有働アナとともに出演を予定していた報道局所属の解説委員だったA氏が、同局の女子社員と女子大生アルバイトにセクハラをしていたことが発覚した。
また、昨春には日テレ系の「熊本県民テレビ」で、社長が女性秘書へのボディータッチだけでなく、女子アナや契約社員に対してのセクハラ行為で解任されるなどという前代未聞の不祥事もあった。あっちもこっちも女癖の悪い輩が跋扈している。
最近、大きな話題になったのは、NHKで「紅白歌合戦」の責任者でもあった制作局第二制作センターのエンターテインメント部長I氏が、局内のセクハラ行為で停職3ヶ月の懲戒処分を受けたことだ。2年連続で有村架純を司会に起用し宇多田ヒカルや桑田佳祐、安室奈美恵を〝目玉〟として引っ張り出した辣腕プロデューサーとしても知られた人物だった。
「停職3ヶ月というのは、NHKでは懲戒免職、諭旨免職に次ぐ懲罰で、現役では最も厳しい処分です。社内でのセクハラとしては珍しい処分だったので、誰に、どんな行為をしたのかと話題になりました」(関係者)。
不倫騒動で降板していたらキリがないテレビ業界
もっとも、セクハラやパワハラではないにしても、元NHKアナで現在はフリーの堀尾正明アナ(64)のように、不倫報道で謝罪に追い込まれた御仁もいる。「週刊新潮」にスッパ抜かれたのだが、テレビ局もさすがに「不倫騒動で降板していたらキリがない」とでも判断したのだろう。現在、堀尾アナが出演している「ビビット」(TBS)や「誰だって波瀾爆笑」(日テレ)、「キャッチ」(中京テレビ)のレギュラー3番組については「続投」を発表している。もはやテレビ局は外に向かってはモラルを叫んでいても、内に対しては、そんなワードなんてない。
そう考えると、NHKを含めテレビ局には〝性癖〟のある〝犯罪予備軍〟が平然と跳梁跋扈していることになる。要は「警察沙汰にならなかっただけ」のことだ。
警察沙汰が目立つNHK
それにしても、NHKだけは警察沙汰になるような不祥事が目立つ。
7年前のことになるが、男性アナウンサー(52)が東急田園都市線の車内で女子大生の服に手を入れ、強制わいせつ罪で逮捕されたことがあった。「11分間もの間胸を触り続けた。下半身にも手を伸ばしてきた」と被害女性は証言したものの、男性アナは「記憶になく覚えていない」と供述していた。さらに、その後の調べでも「酔っていて覚えていない」と否認を続けた。結局、被害女性の証言にも一貫性がなかったこともあって不起訴処分になり、局内では停職3ヶ月の処分を受けたと言われる。
もっとも、不起訴になるなんてケースは稀なことで、2年前の17年には、山形放送局の元記者が女性3人に対する強姦致傷罪で逮捕されたことがあった。その元記者は懲役21年の判決が今春確定している。
また、昨秋には報道局ニュース制作センターに所属する朝のニュース番組「おはよう日本」のチーフプロデューサー(42)が、東京・世田谷区の京王井の頭線・下北沢駅のエスカレーターで、20代の女性のスカートの中にスマートフォンを差し込んで撮影したとして東京都迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されたこともあった。
局員の不祥事では異例のオンデマンド配信停止
「通常勤務を終えて帰宅する途中での行為だった」というが、女性のスカートの中にスマートフォンを差し込むとはマトモな人間のやることではない。しかも、それが報道に携わるチーフプロデューサーの行為だっただけに社会に与えた衝撃度も大きかった。 ところが、〝皆様のNHK〟は、そういった不祥事での逮捕者が出るたびに、「遺憾です」「事実関係を確認した上で厳正に対処します」と、2つのワードを繰り返すのみ。職員の管理や局内のコンプライアンスが一体どうなっているのかはサッパリ明らかにされていない。
そういった中でも、今回の阿部容疑者の逮捕はNHK内でも多少は衝撃度が高かったようで、木田幸紀放送総局長は定例記者会見で「コンプライアンスを組織の隅々まで徹底するように取り組んでいる中で残念」とした上で、同容疑者の出演したNHKスペシャル「AIに聞いてみたどうすんのよ!? ニッポン」シリーズの4本と、「震災ビッグデータ」の合わせて5番組については、有料動画サービス「NHKオンデマンド」での配信を停止した。
コンプライアンスといっても、所詮は「働き方改革」だけに目を向けていただけに違いない。さすがに局員の日常の管理なんてことまでは手が回らないだろう。だったらこの際、阿部容疑者に対するペナルティーとして、低賃金のフリー契約でもして、それこそ局員の行動をチェックするAIでも開発させる任務を与えるのも手段の一つだ。
それにしても、自局の職員の不祥事によって番組の配信を停止というのも初めてだろう。