男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:初めて家に来て、体の関係をもった翌日から女の態度が急変…女が見てしまった、男の驚きの行為




「離婚、するしかないのかな…」

言葉にすると、急に“離婚”が現実味を帯びてくる。

夫の透にそう言い放った途端、虚しさと悲しさに襲われてしまった。

結婚して、約4年。幸せだった私たち夫婦にのしかかってきたのは、“レスだけど子どもを作りたい”という難しい問題だった。

「離婚はしたくない。でもこのままだと、お互いがダメになるんじゃないかな。だから樹里が離婚を望むなら仕方ないよね…」

他に、方法はないのだろうか。

一緒にいたら楽しいし、私は透を愛している。透も私のことをすごく大事にしてくれており、愛情もちゃんと感じる。

でも私たち夫婦には子どもがいない。いや「子どもができない」という言い方のほうが合っているかもしれない。

何度かトライしてみたけれど、私たち夫婦のところにコウノトリは来てくれなかった。

そしてそれ以上に問題なのは、自然な流れの性行為が一切ないことだった。


妊活に悩む36歳の夫婦。お互い好きではいるのに、別れなければならないのは…


Q1:夫婦がレスになってしまったキッカケは?


透とは、元々会社の同期だった。結婚してから私が転職したため今は違う会社だけれども、同じ業界なので理解できる部分が多かった。

お互い忙しくても文句も言わないし、束縛もしない。

結婚する前に2年ほど同棲もしていたので、生活リズムも合う。結婚してからも、特に大きな喧嘩もなし。友達のようになんでもフラットに話し合える関係で、居心地も最高。

夫婦として、とてもいいバランスだったと思う。

例えば私のほうの仕事が忙しくて家事ができなくても、透は文句を言うどころか、率先して家のことをしてくれていた。

「透、ごめん!今週は遅いから、ご飯作れないかも」
「樹里、謝るのは違うでしょ。忙しいのはお互いさまなんだから。家事はできるほうがすればいいし、謝るのはナシだよ」

そう言ってくれるのは、本当にありがたかった。それに週末はいつも2人で出かけるほど、仲も良かった。

「樹里以外の人との結婚生活とか、考えられないな」
「私もだよ。本当に、透と結婚できて良かった。毎日楽しいし、幸せだな」

しかし結婚してから約1年くらい経った頃。1ヶ月以上、触れ合っていないことに気がついた。




最初は特に理由もなかったと思う。そもそも忙しくて、期間が空いていたことに気がついてすらいなかったから。

でも久しぶりに夜ベッドに入り、2ヶ月ぶりくらいに透の背中に抱きついてみると、透はとても嫌そうな顔をしたのだ。

「透、今夜は…」
「ごめん。ちょっと今日疲れていて。また今度でいい?」

そう言われると、それ以上に強くは言えなくなる。しかも何度かこういうやり取りをして毎回断られるうちに、徐々に自分から誘うのも怖くなっていく。

― 私のこと、抱きたくないのかな…。

女として、夫に抱かれなくなる虚しさ。

これは実際に経験した人にしかわからないだろう。

既婚者である以上、他の人ともできない。唯一の相手である旦那が抱いてくれないという事実は、ただ残酷だった。

女として枯れて、魅力がなくなってしまったのか…。自問自答する日々が続く。

しかしここで諦めたらダメだと思い、恥をかくことも承知で私は一生懸命頑張った。

「透は、私としたくないの?」
「したくない訳じゃないよ。ただ本当に、疲れていて…」
「じゃあいつならいいの?」
「そんな決めてすることでもなくない?雰囲気とか、タイミングとかもあるじゃん」
「透のタイミングは、いつ来るの?週末?年末?」

迫れば迫るほど、私たちの間の溝は深まっていく。

― レスって、こんなに辛いんだ…。

結婚するまで、どこか他人事だと思っていた。でも実際に自分の身に降りかかってくると、想像以上に胸が苦しくて痛い。

それでも私たちが離婚をしなかったのは、体の関係以外のことは幸せな夫婦だったから。手も繋ぐしハグもするし、会話も楽しい。

ただお互い34歳になった年。そろそろ真剣に子どものことを考えなくてはいけなくなり、私たちの夫婦関係はさらにいびつになっていった。


レスの夫婦が子作りに励んだ時。結果は…


Q2:子作りに対して、夫が消極的になった理由は?


私たち夫婦は、結婚する前から子どものことをよく話していた。私も透も子どもが好きだし、いつか子どもを作るのが当然のことだと思っていた気もする。

でもレスになって2年。その計画に、早くも暗雲が立ち込め始める。

最初は一生懸命私もレスを解決しようとしていたけれど、話し合うことが辛くて恥ずかしくて、お互いに一切その話題にすら触れなくなっていた私たち。

ただ子どものことは避けては通れない問題なので、今一度、2人でちゃんと話し合った。

「透、子どもはどうするの?」
「欲しいと思っているよ。そろそろ真剣に考えないとね」
「じゃあ、ちゃんと作ろう」

その結果私たちは子作りのためにもう一度奮起し、月に一度体を重ねるようになった。

しかし神様は、残酷だった。

「私たち、相性が悪いのかな…」
「そうじゃないと思うよ。きっと、タイミングじゃないってことだよ」

1年半ほど子作りを頑張ったけれど、子どもはできなかった。




さらに追い討ちをかけたのが、透の態度だった。

最後の半年くらいは、月に一度の“その日”が透にとってはただの重荷にしかなっていなかったのかもしれない。

わざと帰宅時間を遅くしたり、出張を入れたり…。

子どもは、私ひとりでできるものではない。夫の協力がないと、成り立たない。

それなのに透は楽観的なのか、協力する姿勢が見られなくなっていく。

そんな透に対し、悲しみと同時に怒りも湧いてくる。生理が来るたびに、胸が張り裂けそうになる辛さ。そしてその後に来る、絶望。

「透、もう少し協力してほしい。月に一度とかじゃなくて、もしかしたら他のタイミングでもできることもあるかもしれないし」
「そうだね。でも…一度、妊活は休憩しない?お互い、もっとリラックスした状態で、一旦そこから離れてみたほうがいいと思うんだ」

私は一秒でも無駄にできないと思っている。年齢を考えると、一刻も早く子どもが欲しい。

しかし私が妊活に必死になればなるほど、透は離れていく。物理的な体の距離だけではなく、一番大事な心も離れていった。

― 子どもができない私たちが、夫婦である意味ってなんだろう。

透のことは好きだし、愛している。けれども抱くのさえ苦痛に思われているのは、女として悲しすぎる。

しかも子どももできない。

― 離婚をして他の人と子どもを作るのがいいのか。それとも子どもは諦めて、透といるのか。でも、このまま一生抱かれずに終わるの…?

こんな関係の私たち夫婦に、離婚以外の道はあるのだろうか…。

▶前回:初めて家に来て、体の関係をもった翌日から女の態度が急変…女が見てしまった、男の驚きの行為

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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レスになった夫婦の行く末は…