by Marco Verch Professional Photographer

ビットコインやイーサリアムなどが軒並み暴落し仮想通貨市場が混乱している中、大手仮想通貨取引所のCoinbaseで一時資金の取り出しができなくなったと報じられました。Coinbaseは業績の悪化に伴い株価が大きく下落しており、万が一Coinbaseが経営破綻するようなことがあれば、顧客が同社に預けている資産が引き出すことができなくなると警告されています。懸念の高まりを受けて、Coinbaseのブライアン・アームストロングCEOは「破産のリスクはない」との声明を発表しました。

Coinbase experiencing major outage as crypto prices plummet - The Verge

https://www.theverge.com/2022/5/12/23068996/coinbase-outage-withdrawal-cryptocurrency-bitcoin-price-crash

Bitcoin (BTC) price falls below $26,000 as crypto sell-off intensifies

https://www.cnbc.com/2022/05/12/bitcoin-btc-price-falls-below-27000-as-crypto-sell-off-intensifies.html

Bitcoin Price Rebounds After Fall Below $26,000 - WSJ

https://www.wsj.com/articles/bitcoin-falls-to-26-000-as-crypto-selloff-intensifies-11652340653

Coinbase admits users may lose crypto if exchange goes bankrupt | Fortune

https://fortune.com/2022/05/11/coinbase-bankruptcy-crypto-assets-safe-private-key-earnings-stock/

Coinbaseは2022年5月13日に、「一部のお客様における、CoinbaseとCoinbase Proでの取引とアカウントへのアクセスに、問題が発生しています。お客様の資金は安全であり、私たちはこの問題に積極的に取り組んでいます」と述べて、顧客の口座に障害が起きていることを明かしました。



その後、Coinbaseは問題が完全に修正されたと発表するとともに、引き続き状況を注視していると述べました。



このアクセス障害は、仮想通貨の相場が不安定になっている中で発生したものだったため、Coinbaseユーザーの間で動揺が広がりました。あるユーザーは、掲示板型ソーシャルニュースサイトのRedditに、「サイトとアプリの両方でCoinbaseとCoinbaseProにログインできませんでした。弱気相場がCoinbaseのサーバーをクラッシュさせたんでしょうか?誰かが高速取引をしたがっているのなら、とても怖いです」と投稿しました。

仮想通貨を専門とする金融情報サービス・Coin Metricsによると、5月12日のビットコイン相場は一時2万5401.29ドル(約328万円)まで下落し、16か月ぶりに2万6000ドルの大台を割り込んだとのこと。また、イーサリアムも2021年6月以来初めて2000ドル(約25万8000円)を下回っているほか、ドルと1:1でペッグされているはずの仮想通貨・TerraUSDが99.9%下落してドルとの連動が崩壊するなど、仮想通貨市場の混乱はステーブルコインにも波及しています。



Coinbaseへの懸念は、同社の決算報告で業績悪化が明らかになった上に、Coinbaseが「万が一破産した場合は顧客から預かっている資産が差し押さえられる可能性がある」との見方を示したことで拍車がかかりました。Coinbaseは5月10日に発表した2022年第1四半期の(PDFファイル)決算報告で、収益が前年同期比で27%減少したことを発表。これを受けて、同社の株価は2021年11月の最高値から50%以上下落しました。

さらに、Coinbaseはアメリカ証券取引委員会(SEC)に提出した(PDFファイル)報告書の中で、「顧客のために不換紙幣と仮想通貨で合計2560億ドル(約33兆円)を保有しています」としつつ、「顧客のために保管している仮想通貨は、破産手続きの対象となる可能性があります」と指摘しました。ビジネス誌のFortuneによると、これはCoinbaseが破産した場合、顧客が「一般無担保債権者」となり、破産手続きの中で資産の払い戻しを要求する権利を持たなくなることを意味しているとのこと。

例えば、銀行に預けている顧客の資金は法律で保護されているため、もし銀行が破産してもアメリカの場合は最大25万ドル(約3200万円)、日本の場合は1000万円まで保護されます。しかし、仮想通貨取引所にはそのような法規制がまだ行われていないため、Coinbaseはいざという時はユーザーの口座の仮想通貨に手をつけることが可能だと、Fortuneは指摘しました。

懸念の高まりを受けて、CoinbaseのアームストロングCEOは「破産のリスクはありません」とツイート。問題のSECへのレポートについては、「裁判所が破産手続きにおいて顧客の資産を会社の資産の一部とみなす可能性が、低いながらもあり得るということです」と説明しました。