2019年度の厚生労働省の調査によると、日本では3組に1組の夫婦が離婚しているそうです。「子どもがいたら、きっと離婚はしなかった」と語るのは由美子さん(仮名・40歳)。夫と別々の道を歩むきっかけになったのは、不妊治療と同時に陥ってしまったセックスレスでした。

妊活がプレッシャーに。触れるだけで拒否反応を起こすようになった夫

社会人になってから友人の紹介で知り合った1歳年上の夫とは、24歳のときに結婚しました。幸せいっぱいの新婚生活。半年後には、おなかに新しい命が宿ったことがわかり、夫も大喜びしてくれたことが今となっては懐かしい思い出です。

●「心拍が確認できない」医師の説明に大号泣

近所の産婦人科へ、いつもの通り検診に行ったときのことでした。9週を目前に控えたなか、エコー検査をすると、医師から「心拍が確認できません」と言われました。そうです。流産してしまっていたのです。
初期の流産は染色体異常であることが多く、今の医学をもってしても命を救うことができないのだそう。頭ではわかっていても、心が追いつかないような状態でした。すぐに別室に連れて行かれ、看護師さんに背中をさすられながら大号泣。会社へ行っている夫には、電話したのかメールしたのか、どう報告したのか記憶がないくらい、ショックな出来事でした。

●夫と同じ未来を見つめていると思っていたのに

流産した悲しみを癒してくれたのは、まぎれもなく夫。精神的に不安定になることがあっても、その都度、肩を抱き「まだ若いし大丈夫。またいつか赤ちゃんがおなかに戻ってきてくれる日を一緒に待とうよ」と励まし続けてくれました。

私の心も徐々に癒されてゆき、また赤ちゃんがほしいと強く願えるまでに回復。しかし、なかなか妊娠にはつながらず。気がつけばあっという間に5年の歳月が経ってしまったのです。

周りの友だちはどんどん子どもを授かっていき、私自身、かなり焦り始めていました。どうしても20代のうちに第一子がほしいと思っていたので、本格的に妊活を始めたいと夫にきり出しました。

でも、返ってきた答えは「なるべく自然に任せたい」というなんとも微妙なもの。いよいよ不妊治療を開始しようという場面になっても、夫の非協力的な態度にゲンナリさせられることになったのです。

●妊活はイヤ。不妊治療の検査もイヤ。義務感のあるセックスもイヤ

妊活としてまずは基礎体温を測ったり、排卵検査薬を使うなどして、タイミング法で挑むことにしました。ところが、いざ「今日か明日、排卵しそうなんだけど…」と夫に伝えても、「そういう感じはイヤなんだよ…」と言われてしまい、期間中になんとか1回タイミングをとるのがやっとということが続きました。回数が少ないので、なかなか妊娠には至ることができず。

不妊治療専門のクリニックにも、夫は来る気すらなし。「もしも自分に原因があったらイヤだから」という無責任な発言には怒りを通り越して呆れましたが、私だけでも…と思い、ひとりで基礎検査を受けました。しかし、これといって原因となりそうなものは見つかりません。

原因がわからないまま不妊治療を続けていると、ついに夫から「排卵日だからっていきなりしろと言われるのはキツイ」とハッキリ拒絶されてしまうようになったのです。私が少し触れただけでも「妊活のため?」と身構えてしまう始末。もはや子づくりは関係なく、セックスに対する夫の拒否反応が強まっていってしまって。挙句の果てには「子どもはいてもいなくてもどっちでもいい」と投げやりな態度に。

こうして夫と私の心の距離は、少しずつ離れていってしまいました。

セックスレスのマザコン夫。「この人は私を守ってくれない」

いわゆる草食系と肉食系のちょうど中間くらいだった夫ですが、妊活や不妊治療が引き金となって、草食系を通り越して完全にセックス拒否な状態に陥ってしまいました。夫が一方的にセックスをしたくないと言ったからといって、妻の私の子どもがほしい気持ちや性欲が都合よく消えるわけではありません。なんで我慢しなければならないんだろう…と悶々と悩む日々が続きました。

セックスレスになったストレスのせいか、徐々に夫のイヤなところが目につくようになりました。そのなかでも、とくにイヤだったのがマザコンです。

●誕生日にパールをねだってくる義母

夫はかなり頻繁に、母親と電話やメールをしている様子。ちょっと多すぎるのではないか? と感じることはあったのですが、同居しているわけではないし、実害がないのでずっと放置していたのです。

ところがある日、デパートで買い物をしていると、夫から「そういえば母親が、パールをほしがっていたんだけど、どういうのがいいかなぁ?」と相談されました。どうやら、年齢的にお葬式などに出席する機会が増えてきたので、真珠のネックレスがほしいと言っているようなのです。しかしアクセサリーには好みがあるし、そういうのは自分で買うか、義父に買ってもらえばいいと思って、その場では受け流して忘れてしまっていたのですが…。

その後、私が義母のお誕生日にオシャレな感じのピアスをプレゼントしたとき、夫から「どうしてパールのネックレスにしてくれなかったの?」と怒られてしまいました。義母からも「パールがよかった」と不満をぶつけられ…。なぜ私が義母のバースデープレゼントにパールを贈ることを強制されるのか、ぜんぜん理解できません。このときは本当にムカつきました。

セックスレスにマザコン疑惑、夫に対する愛情が冷めてくるのを感じる由美子さん。離婚を考え始めた由美子さんの決断は? 後半の記事は明日公開です。