オリックス戦に先発したロッテ・佐々木朗希【画像:パーソル パ・リーグTV】

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野球評論家・新井宏昌氏「前々回と前回の登板を比べると少し違った投球内容」

■ロッテ 6ー3 オリックス(24日・京セラドーム)

 ロッテの佐々木朗希投手が24日、京セラドームで行われたオリックス戦に先発し、3勝目をマークした。17イニング続いていた完全投球は初回で途切れ、この日は6安打2失点と苦しい投球に。最速164キロをマークしたものの、直球で空振りを奪ったのはわずかに2回だった。南海、近鉄で通算2038安打を放ち名球会入りした野球評論家・新井宏昌氏は右腕の変化について「ドーム球場と千葉の風」と分析した。

「5回2失点は先発投手としては最低限の仕事を果たした。ただ、前々回と前回の登板を比べると少し違った投球内容だったといえます」

 佐々木朗が完全試合を達成した10日のオリックス戦、8回無安打無四球無失点だった17日の日本ハム戦はともに強風が名物の本拠地ZOZOマリンスタジアムだった。ネット裏で吹き返してくる風の影響で真っすぐにはスピンが効き、フォークなどの変化球にはブレーキがかかるのが特徴だ。

ZOZOマリンの風は「独特の風で球種によってはすごい力を発揮する」

 新井氏は現役時代、指導者時代に何度もZOZOマリンスタジアムでの試合を経験。オリックスの打撃コーチだった1995年には野田浩司氏の19奪三振(ロッテ戦・千葉マリン)を目の当たりしており「野田が三振の記録を作った時もそうだった。独特の風で球種によってはすごい力を発揮することもあった」と語る。

 この日は、風がなく、天候の影響も受けない京セラドームでの登板。「千葉の時はボールの下にバットが通っての空振りが目立ったが、この日はほとんどがファウルになっていた。投げているボールの違いはそれほど感じないが、千葉の風が手助けしてくれた部分もあった」と分析した。

 実際に佐々木朗がストレートで空振りを奪ったのは2回2死から安達へ投じた2球目の158キロと、5回無死一、二塁で西野へ投じた5球目の156キロの2球のみ。150キロ後半の高めのストレートを痛打される場面もあり「オリックスの打者が対策を練っていた部分もあるが、空振りを取れないことも、精神的な部分で制球を乱す要因の一つになったかもしれません」と新井氏は語った。

風に左右されるZOZOマリンで好投を続け「不思議な感覚を持っているかも」

 この日の投球で1人も走者を許さない完全投球が「17」イニングでストップ。3日の西武戦から続けてきた連続イニング無失点は「22」で、連続イニング無四死球も「25」で止まった。数々の記録に注目が集まっていた右腕だが、逆にいえばこれからはプレッシャーを感じずにマウンドに上がることができる。

「ドーム球場が投げやすいという投手がほとんど。風に左右される千葉は制球も荒れやすく、普段の変化球も投げづらい。まだ数試合だが佐々木朗は真逆の投球を続けている。不思議な感覚を持っているかもしれません」

 このまま中6日で登板するのであれば、次回の登板は5月1日にZOZOマリンスタジアムで行われる日本ハム戦の見込み。風を味方につける剛腕が再び快投を見せるのか注目だ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)