のんに沖縄で独占インタビュー。コロナ禍で奪われた「発表の場」に対する反逆
沖縄本島の北部に位置するやんばる地域で、2017年から始まった『やんばるアートフェスティバル』。2021年冬に開催された今回で5回目を迎えた本フェスティバルは、やんばるの土地に息づく人と自然との営み、地域との関係性から生まれる「今、ここでしか成し得ないアートを創造する」という姿勢を大切にしている。そんなモットーのもと、Chim↑Pomや我喜屋位瑳務など、多くのアーティストが集い、作品を展示した。
そんな本フェスティバルには、女優・創作あーちすととして活躍しているのんも参加。ガジュマルの木に、蝶にたとえたリボンを張り巡らせた作品『ちょうちょとガジュマル』を出展した。今年2月に脚本・監督・主演を務めた映画『Ribbon』の公開も控えるなど、精力的に創作活動を行なうのんは、本フェスティバルや、コロナ禍で発表の機会を制限されたことについて何を思うのか。独占インタビューを行なった。
◾️可愛いものと不気味なもの。「相反するものが一緒になったとき、魅力を感じる」
2019年の『やんばるアートフェスティバル』で、声優を務めた映画『この世界の片隅に』が上映されたとき以来の来沖となったのん。
「やんばる」は沖縄のなかでも特に自然が豊かなエリア。亜熱帯の深い森と、紺碧の海、包み込むような滋味深い自然について、どのように感じたのだろうか。
のん:空港に着いて、車に乗り込んで、車道を走っている瞬間から、建物の感じも、空の感じも、やっぱり東京とはぜんぜん違いますよね。
2021年は仕事をたくさん詰めこんでいたので、気持ちがせかせかしていたのかもしれないですけど、沖縄に来たらゆったりとした気持ちになりました。空が壮大で、海が広くて青々としていて、お花の色とかもあって。リフレッシュしながらアートに専念できたし、とても楽しめました。
今回の『やんばるアートフェスティバル』に、のんはアーティストとして参加。美しいビーチの前に佇む大きなガジュマルに無数のリボンを散りばめた作品『ちょうちょとガジュマル』を展示している。
空に向かって広がるガジュマルの木を巡る血流のようにも見える大量の赤いリボンは美しくもあり、少し不穏な空気も感じさせる。『ちょうちょとガジュマル』に込めた想いとは。
のん:私は可愛いものと少し不気味なものが合わさったときのパワーに魅力を感じるんです。一見相反しているように思える魅力同士を、あえて共存させたいと思いました。
「相反するもの」に惹かれるのは、画家でありグラフィックデザイナーの宇野亞喜良さんの影響が大きいという。
のん:宇野さんの描く女の子は目線が鋭くて、不機嫌そうだったり、凶暴さを内に秘めていたりする印象。でも、彼女たちは大きなリボンを着けている。それがすごく好きで。
私は女の子が最もパワーを発揮するのは、何かに牙を剥いているときだと思っていて、『'のん' ひとり展 −女の子は牙をむく−』という展示を開催したこともあります。牙を剥いた瞬間の凶暴さや怒りを可愛くラッピングして表現するモチーフとして、リボンはぴったりだと考えています。
◾️「コロナで悔しい思いをした人はたくさんいたけど、ときが経つのを待つしかなかった」
じつは今年公開される、のんが脚本・監督・主演を務める映画のタイトルもズバリ『Ribbon』。
コロナ禍の影響で卒業制作展が中止になってしまった美大生「いつか」が、行き場を失ってしまった感情を昇華するべく奮闘する青春ストーリーだ。劇中では、主人公の感情がリボンとなって、さまざまなカタチであらわれる。
のん:私は、ちょっとファンタジーが入ってるくらいの作品が好きなんです。リアルな描写だけだと、間に受けすぎて立ち直れなくなるというか。辛いテーマでも、最終的には明るい前向きな気持ちになれる作品にしたかったので、それはリボンというモチーフが助けてくれました。
◾️可愛いものと不気味なもの。「相反するものが一緒になったとき、魅力を感じる」
2019年の『やんばるアートフェスティバル』で、声優を務めた映画『この世界の片隅に』が上映されたとき以来の来沖となったのん。
「やんばる」は沖縄のなかでも特に自然が豊かなエリア。亜熱帯の深い森と、紺碧の海、包み込むような滋味深い自然について、どのように感じたのだろうか。
のん:空港に着いて、車に乗り込んで、車道を走っている瞬間から、建物の感じも、空の感じも、やっぱり東京とはぜんぜん違いますよね。
2021年は仕事をたくさん詰めこんでいたので、気持ちがせかせかしていたのかもしれないですけど、沖縄に来たらゆったりとした気持ちになりました。空が壮大で、海が広くて青々としていて、お花の色とかもあって。リフレッシュしながらアートに専念できたし、とても楽しめました。
今回の『やんばるアートフェスティバル』に、のんはアーティストとして参加。美しいビーチの前に佇む大きなガジュマルに無数のリボンを散りばめた作品『ちょうちょとガジュマル』を展示している。
空に向かって広がるガジュマルの木を巡る血流のようにも見える大量の赤いリボンは美しくもあり、少し不穏な空気も感じさせる。『ちょうちょとガジュマル』に込めた想いとは。
のん:私は可愛いものと少し不気味なものが合わさったときのパワーに魅力を感じるんです。一見相反しているように思える魅力同士を、あえて共存させたいと思いました。
「相反するもの」に惹かれるのは、画家でありグラフィックデザイナーの宇野亞喜良さんの影響が大きいという。
のん:宇野さんの描く女の子は目線が鋭くて、不機嫌そうだったり、凶暴さを内に秘めていたりする印象。でも、彼女たちは大きなリボンを着けている。それがすごく好きで。
私は女の子が最もパワーを発揮するのは、何かに牙を剥いているときだと思っていて、『'のん' ひとり展 −女の子は牙をむく−』という展示を開催したこともあります。牙を剥いた瞬間の凶暴さや怒りを可愛くラッピングして表現するモチーフとして、リボンはぴったりだと考えています。
◾️「コロナで悔しい思いをした人はたくさんいたけど、ときが経つのを待つしかなかった」
じつは今年公開される、のんが脚本・監督・主演を務める映画のタイトルもズバリ『Ribbon』。
コロナ禍の影響で卒業制作展が中止になってしまった美大生「いつか」が、行き場を失ってしまった感情を昇華するべく奮闘する青春ストーリーだ。劇中では、主人公の感情がリボンとなって、さまざまなカタチであらわれる。
のん:私は、ちょっとファンタジーが入ってるくらいの作品が好きなんです。リアルな描写だけだと、間に受けすぎて立ち直れなくなるというか。辛いテーマでも、最終的には明るい前向きな気持ちになれる作品にしたかったので、それはリボンというモチーフが助けてくれました。