野岩鉄道の車両から一部の部品が何者かによって盗まれた事件。

既に修復を終え、現在列車の運行に支障はないということですが、一体誰が何のために盗んだのか。

被害に遭った野岩鉄道を取材しました。

記者:「野岩鉄道の盗難事件、盗まれたのはあちら。行き先や列車の種別を示す方向幕です。なぜこのようなものが盗まれたのでしょうか」

列車の安全な運行や乗客の案内に欠かせない方向幕。

最近はLEDなどの電子案内が主流となり、実際の「幕」を使ったものは全国でも少なくなってきました。

今回被害に遭った車両は東武鉄道や会津鉄道に相互に乗り入れをする「6050型」車両で、野岩鉄道が所有する3つの編成のうちの1つ、「61103編成」です。 

野岩鉄道 営業課長兼運輸課長 室井徳男さん:「この部分ですね。これが被害に遭いました」

この車両に掲げられた幕は前方に2つ、側面に2つ、車内に1つ。

1編成2両の車両から合わせて十の方向幕と幕を動かす機械全てがこつ然となくなりました。

1月31日午後9時15分、終点の会津高原尾瀬口駅に到着した際に異常はなく、その後、駅構内に留置。

翌朝、1日の早朝5時過ぎに出庫の点検をしようとした運転士が被害に気付きました。

その間、およそ8時間。

施錠された車両内に侵入し、内部から方向幕を取り外して持ち去ったことになります。

方向幕はかなり大掛かりで、一人で運ぶとしたら一度に1つがやっとという大きいもの。

なぜこれが狙われたのか、担当者は首をかしげます。

野岩鉄道 営業課長兼運輸課長 室井徳男さん:「こういった機器が盗難に遭うのは想定外だった」

3月のダイヤ改正で6050型車両は会津鉄道の所有する車両が引退し、目にする機会は徐々に減っていきます。

過去、全国的にみると、廃止が決まった車両や駅などから設備が盗難されインターネットオークションにかけられることは往々にしてありました。

転売目的なのか、所有欲を満たしたかったのか・・・

盗まれた方向幕などの所在や何者による犯行なのかは現在明らかになっていませんが、野岩鉄道としてはこれだけ大規模で大胆な盗難被害は初めてのことといい、担当者は肩を落としていました。

野岩鉄道 営業課長兼運輸課長 室井徳男さん:「誰がやったかは分からないが、もし鉄道を愛する人がやったのであれば非常に残念」

野岩鉄道は既に福島県警に被害届を出していて、今後、防犯カメラの設置や盗難防止策を講じて再発防止に努めるということです。

もし不審な人物などを目撃したという情報があれば警察や本社に提供してほしいと話しています。