「なかなか壁ドンされることなんてないですし、渡邊圭祐くんのようなイケメンが至近距離にいたら、女優でもドキドキしますよ、『うわっ、近い!』って(笑)。ただ、私は今まで恋愛ドラマをあまり経験してこなかったので、“ドキッ”の顔をどう表現したらいいのかわからなくて、試行錯誤しています」

こう語るのは、『推しの王子様』で、ゲーム制作会社「ペガサス・インク」社長の主人公・日高泉美を演じている比嘉愛未さん。クライマックスに近づく、ドラマの魅力や見所について、比嘉愛未さんにお話を伺いました。


比嘉愛未さんインタビュー

『推しの王子様』比嘉愛未さんインタビュー



「母性本能が芽生えたのは新たな発見。ジワジワと愛があふれるような感じ」

ドラマは、泉美が、自ら制作した乙女ゲーム(女性向け恋愛ゲーム)「ラブ・マイ・ペガサス」で、すべての理想をつめ込んだ推しキャラ“ケント様”そっくりな五十嵐航(渡邊)を理想の男性に育てるために奮闘する“逆マイ・フェア・レディ”な日々を描くロマンティックコメディです。

●母性本能が芽生えたのは新たな発見。ジワジワと愛があふれるような感じです



出会った頃の航は、容姿こそケント様そっくりですが、不作法、無教養、無気力という“残念すぎる王子様”でした。ところが、「自分の居場所なんてどこにもない」と言った航に、かつての自分を重ねた泉美は、航を理想の男性に育てると決意。

容姿を整え、会社に雇い入れ、自分のマンションに住まわせます。初めは、泉美が育てる自信をなくすほどのポンコツぶりを発揮していた航。しかし、ひたむきに仕事に向き合う泉美の姿を目の当たりにするうちに、自暴自棄だった航に変化が表れるようになり…。

「航は、まさにみがく前の原石。みがいていくとキラキラして、泉美から教えられたことを純粋に吸収していくので、泉美とリンクして私もうれしくなるんです。『言葉づかいがちゃんとできるようになった』とか『礼儀正しくなった』とか、航を育てたいと思う愛情というか、母性に近い感じ。自分のなかに母性本能が芽生えたのは新たな発見で、ドキドキとはまた違ったうれしさで…ジワジワと愛があふれるような感じです」

●主人公の泉美が恋愛に素直になっていく過程も楽しんでいただけたら



やがて、航は仕事や人生に生きがいを見つけ、マナーを身につけて、人間的にも成長していきます。そんな航のことを、泉美は1人の男性として意識し始めることに。

「たとえば、航の幼なじみで『ペガサス・インク』のインターン・古河杏奈(白石聖)が、航と人で話しているのを見ているだけで、心がザワザワしました。そのとき、『あ、ちゃんと泉美は焼きもち焼いてる』と思えたので、この感覚でどんどん気になっていくのかなって。泉美は、純粋で真っすぐなんですけど、恋愛にはフタをして鈍感になっている女性。そんな泉美に共感する方も多いのではないでしょうか。やがて、自分の気持ちに気づいた泉美は、つまずいたり内面と向き合ったりを繰り返しながら、どんどん恋愛に素直になっていくのだと思います。そういった過程も楽しんでいただけたら」

好きな人やものに出会えたとき、人生は彩られていくもの。自分にとって大切なことを見つけるヒントがちりばめられたドラマです。

木曜劇場『推しの王子様』
毎週木曜 夜10時
フジテレビ系 全国ネット放送中

<取材・文/出口恭子>

【比嘉愛未さん】



1986年、沖縄県生まれ。2007年、NHK連続テレビ小説『どんど晴れ』のヒロインを演じ広く認知される。以後、ドラマ『コード・ブルー−ドクターヘリ緊急救命−』『マルモのおきて』『DOCTORS〜最強の名医〜』『なつぞら』『にぶんのいち夫婦』、映画『飛べ! ダコタ』『カノン』『大綱引の恋』、舞台『真田十勇士』『プラトーノフ』など多くの作品に出演