誤解を招かずに意図が伝わるのは手を上げる方法

 道路沿いの店舗から道路に出てくるときや、道を譲ってもらったとき、合流時にスペースを作ってくれたときなどに、相手のドライバーに、「ありがとう」の意を伝えておくのが、スマートというもの。

「礼に始まり礼に終わる」という武道の教えではないが、ちょっとお礼をしておくだけで無用なトラブルを避けられるし、お互いに気持ちよくドライブが続けられるはず。

 そうしたドライバー同士のお礼のサインには、下記のようないくつかのパターンがある。

 1)手を上げる

 2)会釈をする

 3)サンキューハザード

 4)サンキュークラクション

 5)サンキューパッシング

 このうち一番無難なのは、1)の「手を上げる」方法。

 窓を開けて、片手を上げればより丁寧で伝わりやすいし、場合によっては、ドライバーに代わって、助手席の人が手を上げるというのもOK。

 夜間やリヤがスモークガラスのクルマだと伝わりにくいのが玉にキズだが、気安く、手早く、誤解されることがないという意味で、一番有用なサンキューサインだ。

スムースにお礼を伝えて流れを乱さないことが大切だ

 2)の「会釈をする」というのもポピュラーで、女性ドライバーに多いパターン。

 しかし、運転中はしっかり前を見ていてもらいたいし、道を譲ったときなどは、何度も頭を下げなくていいので、とっとと加速してもらった方がうれしいのが本音。

 合流や道路脇の施設から出てきたクルマを前に入れてあげたとき、そのクルマが鈍くさいと「譲って損した〜」という気持ちになるので、挨拶はサッと済ませて、サッと加速し、流れを滞らせないことを、もっと重視して欲しいところだ。

 3)のサンキューハザードも、定着しつつあるメッセージのひとつ。

 お礼をしたいときに、2〜3回短くハザードを点滅させるだけでよく、昼夜を問わず使えるのがメリット。ただ、クルマを停車させるときのサインや、渋滞の最後尾を知らせるサインとも被るので、誤解されないように手短に点滅させるのがポイントになる。

 4)のサンキュークラクションは厳密にいうと違法になる。

 道路交通法では、「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。」(第54条)と定めていて、挨拶やお礼のコミュニケーションツールとしてクラクションを使うのは許していない。

 心情的にはクラクションで挨拶したくなるのもわかるし、要は使い方次第だとも思うが、当事者以外にはうるさい音でしかないし、場合によっては、感謝ではなく苦情の気持ちとして受け取られることもあるので、サンキュークラクションは避けたほうがいいだろう。

 パッシングも、「お先にどうぞ」だったり、「早く行け」だったり、「無灯火ですよ」「ハイビームですよ」「危ない 出てくるな」「道を譲れ」といろいろなメッセージで使われることがあるので、サンキューサインには向いていない。

 というわけで、クルマに乗っているときのサンキューサインとしては、手を上げることがベストで、次点がサンキューハザードといったところになるだろう。