ロボティクスも活用し人が働きやすい現場作りへ デンソー「DENSO DIALOG DAY 2021」開催

●ロボティクスを活用した安心戦略

株式会社デンソー経営役員CTO 加藤良文氏
安心戦略については加藤良文氏が解説した。自由な移動を実現しながら後付け可能な高度運転支援機能により交通事故のない安全社会、健康意識が高まるなか車内空間を「安心できる空間」とし、人を支援し人の可能性を広げる社会を目指す。製造分野ではロボットを使って外観検査などを自動化するほか、搬送自動化などにも取り組む。

デンソーの「安心」3本柱
デンソーは80年代後半から衝突安全技術を提供しており、90年代からはLiDARやミリ波レーダーなどを製品化している。これからは交通事故ゼロを目指し、より多くの車への普及と、より最先端を目指す。事故の事前防止においてはインフラ情報の活用によりセンサーを補完。より多くの事故シーンに対応する。AIによる危険予知と危険情報の提示も行う。後付け安心製品の提供、電子プラットフォーム普及により安全安心の向上に挑む。
有害物質・ウイルス感染など密閉空間の危険性についてはエアコン技術や音環境技術などを使って、快適空間化を行う。浄化センシング技術を革新によって、2021年2月に発売した車載空気清浄機「Puremie」では従来比で25分の1の大きさの粒子まで捕捉できるようになったという。

デンソーのソリューション
働く人の支援にも取り組む。農業・物流・製造では人手不足が深刻化し、コロナが拍車をかけている。デンソーは自動車技術で培った技術はこれらに相性がいいと考えて、特にフードバリューチェーンの改善に取り組んでいる。小型モバイル冷凍機やロボットを使った搬送などに取り組んでいる。農業・物流・FA3分野で2030年には売上3000億円を目指す。

自動化に加えて工場内労働者の負担軽減を進める

運行管理や搬送自動化を進める

誰もが働きやすい農業ハウスにも挑む
●クロスドメインで開発を行うソフトウェア戦略

株式会社デンソー経営役員 CSwO 林新之助氏
ソフトウェア戦略については林新之助氏が説明した。環境・安心などを実現するためには自動車はさらに進化し、社会のノード化・インフラ化する必要がある。そのための鍵はソフトウェアだと述べた。これまでの車は単一ドメインごとに進化していたが、これからはクロスドメインでの価値が重要となる。すなわち、様々な技術領域を超えた協調型の技術やクロスドメインのECUが重要となる。デンソーではクロスドメイン価値の提供と、全体の利便性を向上させる業界標準の基盤づくりに挑む。クロスドメインとなるとソフトウェア開発は大規模化し、設計も難しくなるが、デンソーにはこれまでの経験があると林氏は強調した。

これからのソフトウェア開発はクロスドメインで
社内の改革も進める。人材面ではソフトウェア人材のスキルアップを目指し、スキル定義、教育カリキュラム、認定制度を整えて運用している。2025年を目指し人材の最適配置を行う。各事業部のソフトウェア人材を横断組織に集約し、電子PF・ソフトウェア統括部で運用する。

クロスドメインでの開発事例
●投下資本利益率を重視する財務戦略

株式会社デンソー経営役員 CFO 松井靖氏
CFOの松井靖氏は財務戦略の目標を述べた。事業を通じて社会に貢献することを使命としており、具体的には交通事故ゼロ、ROE(自己資本利益率)10%超を目指す。ROIC(投下資本利益率)向上を目指し、成長事業を伸ばし、成熟領域を縮小するために事業ポートフォリオを入れ替え、資本コストや効率性を意識し構造改革を行う。CASEは拡販を進め、新事業はエネルギー活用などを加速し、理念と収益の両立を目指す。

デンソーの戦略目標
電動化のためには既にインバータなど多くの製品があり、これらは売上・利益両面で会社全体の成長を支えているという。今後は電池ICUや熱マネジメント製品なども成長する、ADAS製品売上も2030年には1.5倍になると見込む。新規ビジネスについては航空モビリティのほか、農業などにも取り組む。コストが増す大規模ソフトウェア開発は、効率化によるコストを抑制しつつ新価値創出を行う。低収益資産も圧縮する。
資本構成も改善する。株主資本から借入にシフトする。そして資本コストを意識した株主還元政策を実行する。2021年度は売上が急回復するなか、成長に投入する。そして積極的に株主還元を行うと語った。
●未来を作る選択肢を技術で広げる
最後に社長の有馬浩二氏は「これからはゲームルールが変わる。これまでの方程式では生き残れない。改革しなければいけないと走ってきた。新型コロナウイルス禍でさらに加速したことも実感している。デンソーは技術で成長してきた会社。未来を作る選択肢を技術で広げ、可能性の扉を開けていきたい。それが我々の果たす役割だと考える。総合システムメーカーだからできることもあると認識している。そんな会社はそんなに数はない。責務を果たさなければならない。そうはいっても人がやる仕事なので、熱量大きい会社になっていかなければならない。機動力や俊敏性をもっともっと磨き上げなければ、期待に応えられないと思う。引き続き応援してもらいたい」と締めくくった。
■ 動画:
(森山 和道)
