アドビ提供の無料PDF編集サービス「Acrobat web」 その実用性はいかに？
どれほど使えるサービスなのかを、実際に試して確認してみた。
●アドビ公式の無料のPDFファイル編集サービス「Acrobat web」
PDFファイルを開発したアドビが、無料で利用できる「Acrobat web」の提供を開始した。これは、WebブラウザだけでPDFに関するさまざまな処理ができるサービスだ。
具体的には、次のようなことができる。
・Word/Excel/PowerPointファイルのPDFファイルへの変換
・PDFファイルのWord/Excel/PowerPointファイルへの変換
・PDFファイルの圧縮
・PDFファイルへのテキストや注釈の追加
・PDFファイルのページ並び替えや削除・回転
・PDFファイルの分割
・PDFファイルの共有、送信、パスワード保護
・PDFファイルへの署名追加
「Acrobat web」を利用するには、ChromeなどのWebブラウザを起動して、記事末の「Acrobat web」のURLを入力すれば表示される。
「アドビ」「Google」「Apple」のいずれかのアカウントがあれば、そのアカウントを使ってログインできる。
いずれも持っていない場合は、［アドビでログイン］をクリックし、次の画面で「アカウントを作成してください」をクリックし、アドビのアカウントを作っておくとよいだろう。
「Acrobat web」のページ。「アドビ」「Google」「Apple」のいずれかのアカウントでログインできる。
いずれのアカウントも持っていない場合は、［アドビでログイン］をクリックし、この画面で「アカウントを作成してください」をクリックしてアドビのアカウントを作ってからログインするといいだろう。
ログインすると、次のような画面が表示される。画面上部にはメニューが用意されていて、［変換］や［編集］にマウスポインタを合わせると、利用できるサービスが一覧表示される。
ログイン後の「Acrobat web」のページ。［変換］［編集］などにマウスポインタを合わせると、利用できるサービスが表示される。
たとえば、PDFファイルを分割するなら、［編集］の［PDFを分割］を選択する。
表示されたページにPDFファイルをドラッグ＆ドロップするか、［ファイルを選択］をクリックしてPDFファイルを選択すると、PDFファイルがアップロードされて、分割できる状態になる。
［編集］の［PDFを分割］を選択する。
エクスプローラ等からPDFファイルをドラッグ＆ドロップする。
PDFファイルがアップロードされて分割できる状態になる。分割する位置を指定したら、右上の［続行］をクリックする。
分割されるファイル名を確認して［保存］をクリックすると、分割されたファイルがクラウドに保存される。
●残念ながら、制約が多すぎて実用性はイマイチ
さまざまな処理ができる「Acrobat web」だが、実際に試したところ、いろいろと制限があることが分かった。
たとえば、24時間ごとに1つのファイルだけをPDFに、またはPDFファイルから変換できる。24時間ごとに1つのPDFファイルだけを圧縮できる……等々といった条件がある。
この条件をオーバーすると、次のような画面が表示されて、一定時間が経過しないと次の処理ができなくなる。
条件をオーバーすると、このようなメッセージが表示されて処理できなくなる。
この制限があるため、残念ながら実用性はイマイチだ。
たとえば、アップロードするファイルを間違えただけで、次のファイルを処理するまで24時間待たなければならない。
せめて処理できるファイル数や、次の処理が可能になるまでの時間の情報を表示してもらいたいが、それもないようだ。
無料なので文句はいえないが、あくまで「お試し」のサービスと考えたほうがよさそうだ。個人的には、引き続きPDF関連のフリーソフトやオンラインサービスが必要だと感じた。
ただし、制限が分かっていれば、制限内の作業は確実に処理してくれるので、まずは試してみて、自分なりの実用性を判断してみてほしい。
なお、数に制限なくPDFファイルをオンラインで編集するなら、
・月額220円（税込）の「Adobe Acrobat Export PDF」
・月額1,218 円（税込）の「Adobe Acrobat PDF Pack」
こうした有料サービスも用意されているようだ。
仕事で使うなら、こうしたサービスを検討するとよいだろう。
・ Acrobat web
・ Acrobat webのFAQ（利用条件について書かれている）
・ Adobe Acrobat Export PDF
・ Adobe Acrobat PDF Pack
井上健語（フリーランスライター）
