海外からの注目が高い車種は盗難も急増している

 「駐車場に行ったら自分のクルマがない!」という状況になる車両盗難は、クルマに乗っていてもっともショックな出来事の1つである。では「どんなクルマが盗難に遭いやすいか?」を日本損害保険協会や自動車工業会、警察庁などが取り組む「自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム」が発表した、2019年に盗難台数が多かった5台と1000台あたりの盗難率をもとに紹介しよう。

 1位 トヨタ・プリウス  793台(1000台あたりの盗難率0.4)

 2位 トヨタ・ランドクルーザー 654台(同2.7)

 3位 トヨタ・ハイエース&レジアスエース 368台(同0.4)

 4位 レクサスLS  272台(同3.1)

 5位 トヨタ・アルファード 261台(同0.4)

 とトヨタ車が上位5台を独占した。

 ではなぜ泥棒のトヨタ車人気が高いのかと言えば、上位5台のトヨタ車はとくに海外での需要が多いからである。

 盗難されたクルマがどうなるかというと、足が付かないよう解体されてパーツとして国内外で動くことが多く、解体されたパーツが海外で再度組み立てられ、再びクルマの形になって販売されることもある。という背景もあり、盗難車ランキング上位5台は人気のトヨタ車、そのなかでもとくに海外での需要が多いクルマが並び、単純といえば単純な海外も含めたトヨタ車人気の象徴ともいえる。

 盗難車ランキング上位5台のトヨタ車でとくに注意が必要なのがランドクルーザーとアルファードだ。というのも1000台あたりの盗難率を2018年と比べるとプリウスは0.4で変わらず、ハイエース&レジアスエースは2012年4月の一部改良モデルからイモビライザーが全グレードに標準装備された成果なのか0.7から0.4に下がり、レクサスLSも2.7から3.1と若干の増加だ。

 しかしランドクルーザーは1.9から2.7、アルファードは0.1から0.4と1000台あたりの盗難率が4台に増えているのだ。とくにアルファードは2019年の上海モーターショーで公開されたアルファードのレクサス版となるLMが2020年に中国などでデリバリーが始まったこともあり、そのベースとなるアルファードにも海外からの注目が高まり、盗難も急増していると考えられる。

 また日本損害保険料会が発表することのある1カ月ごとの盗難されたクルマの上位15台をみると、ホンダ・ヴェゼルやトヨタ・ハリアーといったSUV、小型トラックのいすゞエルフ、中型トラックのいすゞフォワードや日野レンジャー、スバル・インプレッサや日産スカイラインの車名もある。これらのクルマもトヨタ車同様に古い日本車人気も含め、海外で欲しい人が多いクルマは盗難に遭いやすいということだろう。

 いずれにしてもセキュリティの強化などで盗難を防ぎ、そのクルマの金銭価値などによってはそれでも盗難に遭ってしまった際の被害が最小限になるよう、俗にエコノミータイプと呼ばれるものも含めた車両保険への加入も考えたいところだ。