父親が子どもの前でAV鑑賞。“性的虐待だった”と認められない娘の心

 親から子供への様々な“虐待”事件は後を絶ちません。2019年度に全国の児童相談所が相談・通告を受けた児童虐待件数は19万3780件。そのうち、性的虐待は2077件にとどまっていますが、相談しにくい内容なので実際はもっと多いと見られています。

 そこで厚生労働省は今年10月、児童相談所に通告があった心理的・身体的虐待などのうち、後に性的虐待も明らかになった事例の実態調査を開始しました。

 性的虐待に絞った調査は初めてであり、きっかけになったのは千葉県野田市で2019年1月に小4女児が亡くなった虐待事件です。児童相談所に一時保護された女児は、父親から性的虐待を受けていたことも明かしていました。けれども対応されず、保護が解除されたことが最悪の事態につながりました。

◆子どもたちをアダルトビデオコーナーに

 子どもへの性的虐待は、性行為をはじめとした接触だけではありません。

 松浦結衣さん(仮名・26歳)も親の言動に悩み続けてきた一人です。

 彼女が小学校低学年の頃から、ことあるごとに父親の“性的な一面”に触れる機会が多かったそうです。

「性的、と言ってもあからさまな性暴力や性的行為をされたわけではないんです。性欲を向けられるというより、デリカシーがないというか……。根本にはそんな父親の性格が影響していたのだと思います。

 例えば、レンタルビデオ屋さんに連れて行ってもらったとき、父は平気で私と2つ年上の兄を連れて“18禁コーナー”に入っていくんです。当時はまだアダルトビデオが何なのかもわからない状態だったので、私も手に取っていろいろ見たり『なんでこの場所は裸の女の人の写真(パッケージ)が多いんだろう』と不思議に感じていました」

◆子どもの前でアダルトビデオ鑑賞する父

 そして、帰宅後。父親は子どもたちを気遣うことなく、平然とリビングで借りてきたアダルト動画を再生したそうです。

「私たちにわざと見せるというより、空気同然の扱いだったと思います。兄とリビングでボードゲームをしていると、いつの間にか女の人のかんだかく艶(なま)めかしい声が響き渡り、それを父は夢中で見ていましたね。

 母は土日は日中ずっとパートに出ていたので、夜帰ってくるまでの間は、ずっと変な声が流れっぱなしです。なんだか分からない声を聞きながら、私はずっとリビングで遊んだり宿題をしていました」

 当時、結衣さんはまだ幼く、自分の部屋がありませんでした。そうすると必然的にリビングで過ごさなければなりません。年上のお兄さんは“それがなにか”を察したのか、小学校5年生になる頃にはリビングに来なくなり、父親のこともなんとなく避けるようになったそうです。

◆「この子、抱きてえなあ」聞きたくない父親の言葉と、見たくない性欲

「父は純粋にデリカシーや、親としての自覚がないというか……。ビデオを見ていても、思春期の学生が同性同士で盛り上がるような感じで『この女の人の胸、すっごいよなあ』とか、『くぅ〜、抱きつきたい体してるわ、この女』と話しかけてきます…。

 でもなんと答えたらいいのかわからなくて、いつも黙ってしまって。心の中は『なんて答えるのが正解なんだろう、お父さんは何て答えてほしいんだろう』と感情がぐるぐると迷子になってしまい、余計に辛くなっていたと思います」

 そんな問いかけを娘に投げかけること自体が異常ですが、父親への返答に言葉を詰まらせ続けた松浦さん。18禁コーナーへ連れていかれたり、目の前で平然と再生ボタンを押される日々は中学生になるまで続いたそうです。さらに父親は驚きの行動にでます。「アダルトビデオだけではなく、エッチな写真集やどぎつい漫画雑誌もリビングに平然と置かれるようになりました。それを見つけた母が毎回鬼のような形相で父に注意するのですが、父は反省するそぶりもなくお構いなしで放置。