メールよりも気軽にやり取りできて、複数人での会話も容易なビジネスチャット。最近は、社内外でのコミュニケーションや連絡手段のツールとして利用する企業も増えています。
一方で、簡単につながってしまうことによる「チャット疲れ」や、利用ルールのあいまいさによる「マナーへの不安」などを感じている人も多いのではないでしょうか。

うまく使いこなせるようになりたい……!

そこで今回は、株式会社ビズヒッツが実施した「ビジネスチャットの悩み」についてのアンケート調査の結果をご紹介します。

仕事でチャットを利用している10〜60代の男女221人のうち「ビジネスチャットをするうえで悩みがある」と回答した人は49.8%と、全体の半数近くにのぼりました。具体的にどんな悩みがあるのか聞いたところ、次のようなお悩みがあげられました。

ビジネスチャットの悩み1位は「会話のテンポが合わない」

【会話のテンポが合わない】

・複数人でチャットする際、自分と相手の既読や書き込みのタイミングに時差が生じて用件が混在する(30代 男性 受付)
・文字を打っている間に相手がどんどん打ち込んできて、会話にならないことがある(50代 男性 システムエンジニア)
・相手が文章を考えているのか、こちらの反応を待っているのかがわからない(20代 女性 カウンセラー)

最も多かったのは「会話のテンポが合わない」という意見でした。「スピードについていけない」という声や「通信や既読表示にタイムラグが生じる」、「文章がわかりにくく、理解するのに時間がかかる」といった点があげられました。反対に「相手の反応が遅くてもどかしい」という意見も。互いにペースを合わせる努力をすることが必要ですね。

【言いたいことが伝わりにくい】

・うまく伝わらなくて何回もやりとりをし、予想以上に時間を費やすことがある(40代 女性 コンサルティング会社)
・文を書くのが苦手なので、簡潔に用件を伝えるのが難しい(20代 女性 事務職)

チャットは短い文章でのやりとりが基本のため、文章を簡潔にわかりやすくまとめることに苦労している人が多いようです。
文面を考えるのに時間がかかったり、言いたいことがうまく伝わらず、何往復もやりとりしてしまうとの声も。なかには、簡単な連絡事項はチャット、込み入った話は電話と使い分けている人も。

【言葉づかいに悩む】

・どのくらいまでかしこまった文章にすればいいか、いつも悩む(30代 女性 WEBライター)
・ビジネスライクな上司とのチャットでは「あれ?もしかして怒ってる?」と心配になってしまう(30代 女性 学習塾の事務員)

チャットは「お忙しいところ恐れ入りますが…」「もしご都合がよろしければ…」のようなまわりくどい言い回しが不要で、メールよりフランクにやりとりできるのがメリットであるものの、明確なルールやマナーがないため、「砕けすぎると失礼かも」「ほんとに挨拶抜きでも大丈夫?」と悩んでしまう人も。
一方で、簡潔な文章は冷たい印象を持たれがちなので、キツイ言い方になっていないか気になってしまう人も多いようです。

【やりとりが多く管理しづらい】

・一つのチャットに大勢の社員が参加している場合、重要会話のチャットが埋まりやすい(20代 男性 エンジニア)
・数人でチャットをすると、どの文に対しての答えなのか混乱するときがある(40代 女性 貿易事務)

人数が多い場合のチャットでは、会話がどんどん上に流れて重要な情報が埋まってしまった経験のある人も多いはず。その結果、「話の結論がわからない」「依頼された仕事を見落とす」といった問題も起こるようです。

【即レスへのプレッシャー】

・既読機能があるので「すぐに返信しなくては」と焦る(30代 男性 事務員)
・いつでもすぐに返信を求められているような気がする。私は業務時間外にチャットを見ないので、相手との感覚の調整が難しい(40代 女性 経営コンサルタント)

ビジネスチャットは「なるはや」の返信を期待する傾向にありますよね。実際、なかなか返信がこないために業務が滞り、イライラした経験がある人も多いのではないでしょうか。自分のタイミングでチェックし、余裕のあるときに返信するといった使い方が多いメールと違い、手軽にやりとりできるチャットは、送る側も受け取る側も「即レス」を意識してしまうようです。

【誤送信がある】

・エンターキーで送信されてしまう機能により、慣れていないと誤送信、途中送信してしまう(20代 女性 一般事務)
・急いで入力しようとするため、誤字脱字が発生しやすい(50代 男性 外資系経理)

チャットツールによっては、『エンターキー=送信』となっているため、改行するつもりが送信してしまったという失敗が多いようです。
また、会話に遅れないように焦ってタイピングすることで、誤字脱字や変換ミスも発生しがちになっています。

どれも身に覚えのある悩みばかりではないでしょうか。そんな困りごとを解消し、円滑にビジネスチャットを進めるためにしている工夫についても聞きました。

円滑なビジネスチャットのコツは「簡潔でわかりやすい文章にすること」

ダントツの1位は「簡潔でわかりやすい文章にする」でした。瞬時に理解できる文章になるよう、また相手が返信しやすい文章になるよう工夫している人が多数いました。具体的には、「できる限り短い文章にする」、「結論から書く」、「数字・日時などを具体的に入れる」などが挙げられました。

わかりにくい文章は誤解を招くだけでなく、追加の説明や質問が増えることで、やり取りの手間が増える原因にもなります。簡潔でわかりやすい文章にすることで、相手も自分も負担がなくなり、テンポのよい会話ができるようになりそうですね。
次いで「言葉づかいを工夫する」「即レスする」といった工夫が続きました。

ビジネスチャットは使いこなせばとても便利で、仕事の効率化やコミュニケーションの円滑化にも大きく役立つツール。問題点を解消しながら、積極的に活用していきたいですね。

【参考】※ 株式会社ビズヒッツ
【調査概要】
調査対象:仕事でチャットを利用している全国の男女
調査期間:2020年11月10日〜17日
調査方法:インターネットによる任意回答
調査人数:221人(女性119人/男性98人/未回答4人)