土日夜の日本シリーズは、日テレにとって厄災!?

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2週連続は勘弁?

 日本シリーズはソフトバンクの4連勝で幕を閉じた。当然、ホークスファンは大喜びしている。ところが、巨人の完敗に胸を撫で下ろしている、巨人サイドの人々もいるという──。

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 プロ野球を取材する記者は、「多くのプロ野球ファンだけでなく、日本野球機構(NPB)の関係者も、日本シリーズで名勝負が繰り広げられ、もつれにもつれて第7戦まで戦われることを期待していました」と振り返る。

「結果は巨人の4連敗でした。NPBは今季、新型コロナのため入場料も放映権料も、グッズ販売の収益も失ってしまいました。

 最後に望みをかけていた日本シリーズも4試合しか開催できなかったのですから、巨人に苦言を呈したくもなるでしょう」

土日夜の日本シリーズは、日テレにとって厄災!?

 ホークスファンは喜び、プロ野球ファンは不甲斐ない巨人に呆れている。ところが、同じ読売グループに属する日本テレビは、日本シリーズが4戦で終わったことを心から喜んでいるという。

 まず、各試合の平均視聴率を確認しておこう。いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区、世帯、リアルタイムの数字だが、開幕戦(日テレ)が12・3%、2戦(同)が8・6%、3戦が9・5(テレビ朝日)%、4戦(フジテレビ)が9・0%だった。

 民放キー局で番組制作に携わる社員は、「2桁に届かなかったからといって、決して悪い数字でないのです」と解説する。

「今や地上波ではオワコン扱いのプロ野球ですが、さすがに日本シリーズは違います。三井住友銀行の冠がついていますし、提供スポンサーも集まります。営業成績は増えますから、視聴率争いで下位に位置しているフジテレビやTBSの場合だと、メリットが期待できます」

 ちなみにフジは第4戦を放送し、TBSは第5戦の放映権を獲得していた。

野球ファンは広告価値ゼロ

 実際のところ、放映権料は一説によると2億円。中継車を出してカメラも10台は使わなければならず、スタッフや出演者の人件費もかさみ、4000〜5000万円の制作費が必要でも不思議はないという。

 しっかりと収益を出すのは大変だというが、それを上回るメリットがあるのは先に見たとおりだ。

 一方、視聴率競争でトップを走っている日本テレビとなると、日本シリーズの中継は“お荷物”になるという。

 今回、日本テレビが放映権を獲得したのは第1戦と2戦、そして6戦と7戦。いずれも土日に開催されるゲームだった。

「今、民放キー局は、広告収入に直結する10代から40代までの視聴者を非常に重視しています。日本で最もテレビを見るのは60代以上のシニア層ですが、CMを見ても購入意欲を燃やしてくれないため、あまり意味がないのです。プロ野球は基本的に、50代以上の男性が高い関心を持つプロスポーツというのが問題なのです」(同)

ドラマも大迷惑

 日テレの午後7時は、土曜が「I LOVE みんなのどうぶつ園」で、日曜が「THE!鉄腕!DASH!!」。午後8時台は、土曜が「世界一受けたい授業」で、日曜が「世界の果てまでイッテQ!」というラインナップになっている。

「4番組とも10題から40代、つまりファミリー層を非常に意識しています。コアターゲットだけで視聴率を稼ぐからこそ優良スポンサーが集まり、多額の制作費をかけてもペイできるわけです」(同)

 ところが、この時間帯を日本シリーズに明け渡してしまうと、60代以上の男性視聴者に占拠されてしまう可能性があるわけだ。

「それでも視聴率が2桁になれば、まだ報われます。しかし現実は、第1戦こそ12・3%でしたが、後は全て1桁でした。こんな土日が2週も続くかと思うと、ゾッとした日テレの社員は少なくなかったでしょう」

 おまけに日本シリーズは、試合終了まで放送しなければならない。土曜午後9時の『嵐にしやがれ』と日曜午後9時の『行列のできる法律相談所』は、どんどん放映時間が遅くなっていく。

「放送時間を遅らせる作業も大変ですが、放送時間が遅れるほど、CM料金は下がる契約になっています。第2戦が行われた22日の日曜は、視聴率が好調だった『極道主夫』が午後11時35分のスタートとなってしまい、リアルタイムの視聴率は7%台でした。日テレの関係者は怒り心頭でしたよ」

また遠くなった昭和

 第3、4、5戦は福岡PayPayドームでの開催だったため、福岡の地方局が放映権の争奪戦を繰り広げた。日テレが本気を出せば放映権を獲得できたが、あえて見送ったという。

 80年代、日本テレビにとって巨人戦の中継は、まさにキラーコンテンツだった。それから40年以上が経過すると、日本シリーズでさえ社員から「キラ」われてしまったようだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年11月30日 掲載