都道府県別「年金受給額」ランキング…年55万円もの地域差が

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日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、将来を見越して誰もが気になる「年金支給額」に焦点をあてていきます。

2階建ての構造になっている、公的年制度

――将来、どれくらい年金はもらえるのだろう

誰もが一度はこんなことを考えたことはあるはず。特に昨年、世間をにぎわせた「老後資金2,000万円問題」の際には、将来への不安は一層強くなりました。

日本の公的年金は、2階建ての建物に例えらえるように、「国民年金」と「厚生年金」の2種類に分けられます。国民年金は日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人がすべて加入するもの、厚生年金は会社員や公務員が加入するもので、国民年金に上乗せとなります。

このような公的年金制度に、さらに上乗せになる私的年金制度があります。大きく企業年金は加入した期間などに基づき、あらかじめ給付額が定められている「企業年金」と、個人型確定拠出年金(iDeCo)や国民年金基金など、個人が任意で加入する「個人年金」にわけられます。

所定の年齢に達することにより支給される「老齢年金」には、日本の公的年金においては、国民年金法における「老齢基礎年金」と厚生年金保険法における「老齢厚生年金」があります。

現行の年金制度では老齢年金は、原則として65歳*から受け取ることができますが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間でも繰り上げて受けることができます。

*厚生年金に1年以上加入していた昭和36年4月1日(女性は昭和41年4月1日)以前生まれの人の中には60歳〜64歳支給開始年齢の人もいます。

また希望すれば60歳から65歳になるまでの間でも繰り上げて受け取ったり、65歳で請求せずに66歳以降70歳までの間で申し出た時から繰り下げて請求することもできます。繰り上げ請求では繰り上げた分、年金受給額が減額され、繰り下げ請求では繰り下げた分、受給額が増額されます。「繰り上げ受給による年金の減額は一生続き、後で変更できない」など、デメリットもいわれているので、繰り上げ・繰り下げ支給は慎重に考えたほうがよさそうです。

年金支給額…最も多い県、最も低い県

現在、老齢基礎年金は満額で781,700円で、老齢厚生年金は、厚生年金への加入期間が長く、報酬が多いほど納める金額が増えます。

厚生労働省「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金被保険者数は6,746 万人。そのうち国民年金の第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)は1,471 万人、厚生年金被保険者は従前の厚生年金被保険者である第1号が3,981万人、国家公務員や地方公務員など旧共済年金の加入者である第2〜4号は448万人となっています。

給付状況をみていくと、厚生年金保険(第1号) 受給者は3,530万人で、受給者平均年金は月額約14万6,000円となっています。また男女差があり、男性の平均受給月額は約16万5,000円、女性は約10万3,000円となったいます。

さらに年金受給額には地域差があります。前出調査より、都道府県別に老年年金の平均月額をみていきましょう。

最も平均年金額が高いのが「神奈川県」で16万6,531円。「千葉県」で160万930円、「東京都」で15万9,517円、「奈良県」15万9,450円、「埼玉県」15万6,752円と続きます。

都道府県別「年金受給額」ベスト10 厚生労働省「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

一方で、最も平均年金額が低いのが「青森県」で12万1,447円。「秋田県」12万1,672円、「宮崎県」12万2,160円、「山形県」12万3,262円、「沖縄県」12万3,753円となっています。

前出の通り、老齢厚生年金は、厚生年金への加入期間が長く、報酬が多いほど納める金額が増えますので、平均年金額は年収との関係が強くあります。厚生労働省「家計調査」(2019年)より都道府県別の平均年金額をみていくと、「東京都」が最も高く950万円。「埼玉県」「神奈川県」「千葉県」「三重県」と続きます。一方で最も低いのが「沖縄県」で520万円。「青森県」「大分県」「宮崎県」「和歌山県」と続きます。

年金世代の年金支給額と、現役世代の年収。その相関係数は「0.60」と、強い正の相関関係にあることがわかります。つまり「年収が高ければ支給される年金も高い」「年収が低ければ支給される年金も低い」という関係値です。

年金受給額の1位と47位の差は約55万円。年収の地域差は、老後にも尾を引いていきます。

年金世代の家計…毎月3万円の赤字

また将来の不安を考えるならば、実際に年金世代がどのような暮らしをしているのか、目を向けるといいでしょう。

厚生労働省による「家計調査」(2019年)で、二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯の家計の収支をみていくと、年金を含めた実収入は24万5,374円。一方、実支出は27万3,846円。毎月、約3万円ほど足りず、貯蓄から補填するカタチになっています。

[図表2]二人以上世帯/65歳以上の無職世帯の家計収支 出所:厚生労働省「家計調査」(2019)

年間約40万円の赤字と考えると、10年で400万円、30年で1,200万円……これが平均値です。長生きすればするほど、貯蓄からの補填総額は膨らんでいく、というわけです。

もちろん年齢と共に生活による支出は減っていくので、月額3万円の不足が続くかといえばそうではありません。一方で、自宅の修繕等、突発的な出費が必要になったり、また介護施設への入居を余儀なくされたり、大病を患い高額な治療費が必要になったりと、平均値では推測できない支出があるでしょう。

早め早めの資産形成が、わたしたちができる最善の防衛術といえそうです。