Uber Eatsの配達員は「大都市より小都市が稼げる」意外な理由

―[40代日雇い男「Uber Eats」自転車出稼ぎ旅【東京発沖縄行】]―
僕は普段、日雇い派遣などの仕事で稼ぎつつ、時間を見つけてはタイなどの東南アジアを中心に旅してきた。この状況では海外旅行には行けそうにないが、日本国内ならば比較的自由に動けるようになってきている。旅がしたい。でも、社会の底辺で生きる僕にはお金がない。そこで「Uber Eats」の配達で稼ぎながら国内を自転車で旅するという方法をとることにしたのである。
◆Uber Eatsの配達するなら大都市より小都市
旅に出て44日目、僕は大阪にいた。そしてこの日から大阪でのウーバーの配達を開始。どのあたりが配達リクエストが入りやすいのかまったくわからないので、宿泊している住之江区のゲストハウスからとりあえずなんばのほうに向かって自転車を走らせた。が、リクエストはほとんど入らず。この日の稼ぎはわずか1652円だった。
45日目は新世界を攻めてみることにした。間近に通天閣を仰ぎながらその周辺をぐるぐると徘徊する。が、3時間以上経ってもリクエストはゼロ。リクエストの入らない時間の最長記録を更新である。
さすがに2日連続でこれはまずい。場所をなんばのあたりに変えることにした。すると、午後6時頃からようやくポツポツとリクエストが入るようになる。なんとなくわかってきた。大阪は夜からなのだ(原稿執筆とYouTubeの動画編集もやらなくてはならないので、あまり夜遅くまでは配達したくなかったのだが……)。
◆大都市は配達員が供給過多
また、もうひとつ気付かされたことがある。この旅をはじめる前は“小都市よりも大阪などの大都市のほうが確実に稼げる”と思っていた。が、それは完全に間違っていた。東京以外のエリアについては、大都市も小都市もウーバーの配達で稼げる金額はほとんど変わらないか、むしろ小都市のほうが少し多いくらいである。おそらく大都市は配達員が増えすぎて供給過多になってしまっているのだろう。
また、小都市は配達エリアがコンパクトにまとまっているので、どのあたりを走ればいいのだろうと迷うことがないし、泊まっているところから遠くまで飛ばされることもない。そういった点でも配達はしやすい。大都市で配達するメリットは意外と安い宿が多いということくらいだろうか。
◆大阪グルメを堪能する
46日目はなんばを中心に走ってみた。この日もリクエストが入るようになったのは日が暮れてからのことだった。
47日目。自転車ではなく地下鉄に乗ってなんばに向かった。ここで人と会う約束があった。いつも僕のYouTube動画を視聴してくれている漫画原作者の希戸塚一示さんである。彼のおごりでなんばの食べ歩きをさせてもらった。
「たこ焼道楽わなか」という人気店でたこ焼を買い、店先のテーブルでできたて熱々のものを食べる。これが本場の味なのだろう、東京のたこ焼とはまったく異なるトロトロの食感である。続いては「551蓬莱」の肉まん。中身のジューシーな肉あんに辛子をたっぷりと付けてかぶりつく。肉まんに辛子を付けて食べるとうまいというのは関西に来てはじめて気付かされたことである。その後もお好み焼き、キャベツ焼き、串カツ……など大阪グルメを一通り堪能させてもらった。
本当にありがたかった。こんなに美味しいものを食べるのも、お腹がいっぱいになるのも久しぶりのこと。
◆食費を切り詰めるしかない
大阪に着いてからはほとんどローソン100のパンやバナナなどで食事を済ませていた。あまり稼げていないので食費をギリギリまで切り詰めるしかなかった。
本当は自分で稼いだお金でその土地の美味しいものを食べられるようにしなくてはならない。が、この旅の間はウーバーの配達でしか旅費を稼いではならないというルールを自ら設けてしまっているため、この先もそれは少し厳しいような気がしてしまうのである。
【44日目】
<支出>
食費:436円
<収入>
1652円
残金:3268円
【45日目】
<支出>
食費:762円
<収入>
3086円
残金:5592円
【46日目】
<支出>
食費:797円
<収入>
4254円
残金:9049円
【47日目】
<支出>
電車賃:460円
散髪代:1200円
食費:462円
合計:2122円
<収入>
0円
残金:6927円
<取材・文/小林ていじ>
―[40代日雇い男「Uber Eats」自転車出稼ぎ旅【東京発沖縄行】]― 【小林ていじ】
バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeで「ていじの世界散歩」を検索。
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