「肉片はジップロックに入れて、新聞紙で包みました」白石被告が語ったおぞましい遺体解体の実態 から続く

【写真】この記事の写真を見る(5枚)

 2017年に神奈川県座間市のアパートから男女9人の遺体が発見された事件で、11月24日、白石隆浩被告(30)の被告人質問が東京地裁立川支部の法廷で行われた。検察側の被告人質問の模様をレポートする。


白石隆浩被告 ©文藝春秋

直前までは「正直、やってしまっていいのか」

 一貫して「楽をして生活したい」と語っている白石被告に対して、検察官が「働いたらよかったのでは?」と聞くと、実はアルバイトの面接をしていたことを明らかにした。

「9月か10月、途中で面接をしました。近所のファミレス。デニーズです。しかし、ホールとキッチンは埋まっていて、『配達ならいい』ということだったんですが、断りました。実際に働こうと思ったのは、デニーズだけでした」

 また、1人目の被害者Aさん殺害の直前、躊躇はしなかったのか、という点についても質問があった。

「正直、やってしまっていいのか、と直前までは思っていました。殺害しているときは無我夢中でした。殺害後は、(逮捕されないように)完璧な状態にしないといけないと思いました。悪いことをしたな、これは罪になることをしたんだなと思いました。ただ、殺害後は、解体と遺棄に集中しました。Aさんのことを顧みることなく、次の標的を探しました」

 それぞれの被害者の悩みを聞いて、同情や感情移入をしたかも聞いた。

「正直に言うと、自分の損得しか考えておらず、相手のことを考えていませんでした。悩みを聞きながら、『お金があるのか? それとも、私に好意があるのか?』しか考えていませんでした。死にたいという希望を叶えようというのもまったくありません」

「虫に食べさせるか、薬品で溶かすか」

 殺害した9人の他にも、白石被告は、女性2人と会っている。殺害した女性と、殺害しなかった女性との差はなんだったのか。検察官が聞いた。

「私に対する好意があるかどうか。お金があるかどうかです。短時間で見極められると当時は考えていました。それは、態度や言葉使い、表情で判断しました、ただし、事件前は、相手が仕事をしていたら、お金を借りたり、部屋に入り込もうとしていました。おごってもらえればいいと思っていたときもあります」

 遺体を解体するのではなく、他の選択があったのかも聞かれた。

「(遺体を)虫に食べさせるか、薬品で溶かすかです。虫はミルワームです。私のイメージではミミズのようなものです。しかし、成虫になると、ハエのように飛び回るというので、部屋の中で飛び回ったら嫌だなと思いました。虫は嫌いでしたから」

 殺害を重ねていくと、頭部遺体を入れたクーラーボックスが増えていくが、遺体の確認をしたのだろうか。

「テトリスのように下から敷き詰めていました。移動させるときには確認をしています。逮捕後にも確認しましたが、表面が欠け落ちていました。見たときは、逮捕されたこともあって、まずいことをしたと思いました。同じ人間という生き物をこんな状態にしてしまった、と」

「殺されていい人ではなかったと思います」

 逮捕数日前の10月27日、座間市立図書館で、白石被告は7冊の本を借りている。どんな本を、どんな目的で借りたのだろか。

「洗脳と宗教関係の本です。今後、知り合う人に対して、洗脳を使うことができれば、より、お金を引っ張れると思ったからです」

 この日の最後の質問は、被害者への思いだった。Aさんに対してはこう語った。

「過ごした時間が長かったこともあり、何も殺すことはなかったのではないか。まじめにお付き合いをしていればよかった。公判が始まり、Aさんの状況を聞くにつれて、そのように考えました。Aさん自身がいろいろな人に必要とされていました。殺されていい人ではなかったと思います。証拠調べを聞いて、もしかしたら、私に対して本当に好意があったのではないかと思いました。ただ、Aさん以外に、強い感情が湧きません」

 Bさん、Dさん、Gさん、Hさんに対する答えは次のような同じ回答だった。

「会って短時間で殺害してしまったので、正直印象が薄い。遺族の方とも面識がないので、何も思いません」

 Cさんは唯一の男性だが、「(Aさん殺害の隠蔽という)明確な殺害の目的がありました。証拠隠滅の達成感しかありません。悪いとは思わないです。遺族に対しては面識がないので、深くは思いません」と話した。Eさんに対しては、「会って数時間で殺害をしました。子どもがいらっしゃる方ですかね。証拠の中でお子さんに触れた部分がありましたので、これからのことを思うと申し訳ないと思っています」と述べた。

「逮捕の原因になりましたので、恨んでいます」

 Iさんに対しては「(待ち合わせ後)そのまま、Iさんの部屋に行き、真面目に付き合っていればよかった」と、振り返った。

 事件の発覚は、IさんがTwitterで自殺募集のツイートをしていることを知ったIさんの兄が、Twitterを使って探そうとし、それに協力した女性が現れたからだ。その女性が囮役になったことで、事件が明るみになった。捜査段階では白石被告は、「Iさんの兄がいなければ、捕まることはなかった。とても恨んでいます」と供述したというが、現在の心境について、次のように答えた。

「今は、正直、Iさんのお兄さんと、協力した女性に対する恨みは残っています。警察で協力者がいたと聞いたので、この女性かと思いました(※やや、声を荒らげる)。結果的に逮捕の原因になりましたので、恨んでいます」

 この日は、白石被告の母親の供述調書が読み上げられた。母親は「亡くなった方や遺族の方のことを思うと、自分が生きていていいのかと考えます。責任の取り方が思い浮かばない」などと話していたという。

 精神鑑定をした医師の尋問も行われた。医師によれば、「中核となる犯行動機は、楽して生活をしたいということと、楽して性欲を満たしたい、という2つ」とし、「なんらかの精神障害を想定しないと犯行を説明できないというものではない」として、刑事責任能力に影響する所見がないと判断した経緯を説明した。

「Aさんとは手をつないで…」白石被告が法廷で明かした“幸せな日々”と“謝罪の言葉” へ続く

(渋井 哲也)