『私をくいとめて』脳内相談役“A”がサプライズ降臨、ファンのお悩みに「さあ、自分を奮い立たせるのです!」
映画『私をくいとめて』お悩み相談付き上映会イベントが24日、都内にて実施され、のん、大九明子監督が登壇。さらにイベントでは、主人公・みつ子の脳内相談役“A”も駆けつけ、登場した。
高校在学中の2001年「インストール」で第38回文藝賞を受賞しデビュー後、芥川賞、大江健三郎賞など数々の賞を受賞してきた綿矢りさ原作の小説「私をくいとめて」。『勝手にふるえてろ』などで知られる大九明子監督が映画化。おひとりさまヒロイン・みつ子役にのん、みつ子が恋する腹ペコな年下男子・多田くん役に林遣都、結婚しイタリアで暮らすみつ子の親友=皐月役に、のんとは朝ドラ以来の共演となる橋本愛が扮する。共演に臼田あさ美、片桐はいり、若林拓也、前野朋哉、山田真歩らが名を連ねる。
第33回東京国際映画祭「TOKYOプレミア2020」部門 観客賞を受賞した本作。受賞について感想を聞かれると、のんは「すごく嬉しかったです。(受賞を聞いた瞬間)うわぁって感動が押し寄せてきて…。映画は観客の方がいてはじめて出来上がるものだと思っているので、その形として賞をいただくことができて本当にうれしかったです」と笑顔で喜びを語っていた。今回の受賞は、『勝手にふるえてろ』(2017年)以来、“史上初”となる二度目の受賞を果たした大九監督も、「まずお客さんをいれて映画祭を実施してくれたことに感謝ですね。自分自身も毎日楽しく映画を観ていましたし、映画祭に来てくださっていたお客さんも喜びに溢れていて…。映画は“不要不急”じゃないと改めて思えた中で、私どもの映画が賞をいただくことができて本当に嬉しかったです」と振り返り、感慨深い様子をみせていた。
すでに作品を鑑賞したファンからは絶賛の声も続出しているが、そんな本作で描かれるのは、みつ子と脳内相談役「A」が挑む、“崖っぷちの恋”。他人には言えない悩みを吐露するみつ子に対し、いつも的確な“アンサー”を贈る「A」をフックに、公式Twitterで募集したユーザーからのお悩みを、のん、大九監督らが劇中さながらに解決していく特別企画を実施。
まず一つ目のお悩みは、「色々考えすぎて仕方がないと思っていても、つい考えすぎてしまうことをやめたいです」というもの。まずはのんが「『私をくいとめて』を見ていただいたら、みつ子が代わりに感情を爆発してくれているので、ストレス発散になると思うんですが、いかがでしょうか?」と茶目っ気たっぷりに回答。さらに「そういうとき私は絵を描いたり曲を作ったりとか制作に集中して、モヤモヤしたものを形にして解消しています」と自身の経験を絡めつつアドバイス。
すると大九監督も「最高の解消法は“作る”ことですよね」と同意する様子を見せ、「私も考えすぎちゃう性格なのでとても気持ちはわかるんですが、そういうときは仕事のことばっかり考えて脳をパンパンにするようにしてます」と映画監督らしい回答が。
さらに続いてのお悩みには、「習慣にしたいことを持続して続けるにはどうしたらいいでしょうか?」というものが。この質問にのんは「私も好きなことしか続かない性格ので、部屋の片づけをやろうと思っても結局取り掛かれなかったり…でも昨日、やっと解決法が分かって!」と切り出すと、「昨日パズルゲームしていたんですが、スマホのゲームって広告が入ってきたりしますよね。その時間にちょっとずつ片付ける、っていうことをしてみたんです。コツコツやっていたら昨日だけでかなり片づけが進みました!とてもオススメです!」とニッコリ。
大九監督も「私も小さいころから飽き性な子だねと言われ続けて育ってきて…なかなか続かないんですよね。なので、もう“続けなくていいや”と思うようにしています。嫌になったことはすぐやめます。違うことをやっているうちに、またそれがやりたくなる…という人生ですね。続けようという負荷をかけないほうがいいのかもしれないですね」と経験を交えつつアドバイス。
そして3問目には、「休みの前の日にはやりたいなと思う事を考えているのに、いざ休みの日になるとつい寝過ぎてしまったりごろごろし過ぎてしまったりで、結局何も出来なかった…と後悔することが多いです」というもの。これには大九監督も「それ私もなんです…」とつぶやきながらも、「ダラダラしちゃうことが多いので、起きたとたんに動くようにしてますね。休みの日に洗濯しようと思っている日には、起きてすぐに洗濯機に向かうとか。落ち着いてラジオとか聞いちゃいだすと、聞きながら笑っているうちに、気づいたら4時だとか結構あるので…」と告白。
対してのんは、「これは難しい質問ですね…。ちょっと助けを求めてもいいですか?」と劇中さながらに“A”へ助けを求めると、突如“A”がサプライズ降臨。“A”といえば、予告編が公開されるやいなや、「Aの声が良すぎる」「ひょっとして、Aの声ってあの人…?」と、SNSでは“A”の声をあてたシークレットキャストを予想する声も挙がり、大いに話題を集めていたキャラクターのひとりだ。
“A”は「まず、朝起きることに命を注ぎましょう。けたたましい音のアラームをならすことをオススメします。曲はそうですね…運動会の徒競走で流れる曲なんかどうでしょうか?まず朝をちゃんと決められた時間に起きれば、精一杯全力で休日を過ごすことができるでしょう。“さあ、自分を奮い立たせるのです!”」とアドバイス。会場からもクスクスと笑い声が漏れる中、“A”の回答に「なるほど!自分を奮い立たせるのですね。私ゆるいアラームをかけてたので、参考になりますね!」と同意してみせるのんに、大九監督が思わず「まだ映画を観る前なのに、ごめんなさいね(笑)」とツッコミを入れる場面も。
続いて読み上げられたのは、「だめだ、ためだと思いつつもご飯を腹八分目で終われません。どうすれば八分目でくいとめることが出来るでしょうか?」というお悩み。これには、「まず、自分の10分割した一分目をご存知ですか?私にはわかりません。まず一分目を把握することから始めましょう。枝豆を食べて行って、これが一分目だな、これが二分目だな…と、一分目ずつに把握していけば、八分目でくいとめることができます。“さあ、自分を奮い立たせるのです!”」と、またしても“A”らしさ全開の独特な回答が。そんな自由すぎる“A”に大九監督は「『さあ、自分を奮い立たせるのです!』なんてセリフないんですけどね!(笑)」と再びツッコミを入れる様子も見られ、“A”との軽快なやり取りがたびたび会場の笑いを誘っていた。
イベントの最後にはマスコミ向けのフォトセッションを実施。これから映画を観るファンに向け、のん、大九監督からそれぞれ、「この世の中にも“みつ子さん”、“みつ夫さん”がたくさんいると思うので、そういうひとたちのいいところもダメなところも、全部包み込んでいとおしいと思える映画になっています。自分を全肯定して気持ちよく劇場を出てもらえたら」(のん)、「今日は“A”の声が聞こえるような形でイベントをしましたが、私はどんな方の脳内にも“A”がいるんじゃないかなと思っています。映画の中でも、みつ子にだけ語り掛けてくれる“A”という脳内相談役が現れますが、そういう脳内の宇宙を旅するような感覚で作った作品です。特別な変わり者の姿を描いたつもりはないので、自分にどこか似た部分を感じてもらえると嬉しいです」(大九監督)とメッセージを送り、イベントが締めくくられた。
映画『私をくいとめて』は12月18日(金)より全国公開
(C)2020「私をくいとめて」製作委員会
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