今年は調子を崩していた「トリプル3男」の山田哲人

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球団は2つの敵と戦っていた

 最長7年、総額40億円規模――。ヤクルトが、今季国内フリーエージェント(FA)権の取得条件を満たした山田哲人内野手(28)との間で進めている交渉の条件だという。残留は確定的で、実現すれば球界最長に並ぶこの大型契約の舞台裏とは。そして、ヤクルト入りが決定的とされる内川聖一内野手(38、ソフトバンクを退団)、そしてもう1人、FA権を獲得したヤクルトの小川泰弘投手(30)の去就についてもお伝えする。

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「山田自身、『トリプル3』を3回やっていることもあるんですが、野球に対しては達成感があって、何か成し遂げたいことはほぼないんですよね」

 と話すのは、ヤクルトの関係者。

今年は調子を崩していた「トリプル3男」の山田哲人

「まだ28歳ですが、30歳で引退してもいいっていうくらい良くも悪くも欲がない。若くして成功した人が、目標を見失ってしまうのに少し似ているかもしれないですね」

 そんな山田にヤクルトが提案したのは、「7年総額40億円」という契約なのだという。

「現在の山田の年俸は5億円とされています。『7年総額40億円』の価値があるかと言うと、それはノーだと思いますね。球団は2つの敵と戦っていたようですよ」

 どういうことなのだろうか。別の関係者によると、

「1つはファンの声ですね。現役で最大の功労者である山田を無碍に扱うと、ファンが騒ぎかねない。だから、とても丁寧に下交渉を進めていったようですね」

 もう1つは?

「山田に優秀な交渉人がついたみたいです。山田クラスとはいえ、日本人のたかがFAの残留程度で、代理人がつくっていうのは理解し難いんですが……」

内川聖一のソフトバンクとの確執の中身とは?

「あぁ、確かに聞いています」

 すご腕の交渉人とはどのレベルの人物なのか。

 大リーグ事情にも精通する人物に聞いてみると、

「あぁ、確かに聞いています。なんでも、スコット・ボラスの事務所の人間がヤマダに関係していたみたいですね」

 スコット・ボラスと言えば、元マイナーリーガーの弁護士・エージェントで、アレックス・ロドリゲスやグレッグ・マダックスらスーパースターの代理人を務めてきた。

 日本では松坂大輔のボストン・レッドソックスへの移籍に際して、交渉をまとめている。

ライアン小川のFA移籍はあるのか?

「ヤマダには大リーグ希望はなくて、日本の球団にもほとんど興味を示してなかったみたいです。でもそれを上手に匂わせることで、ヤクルトから最大限の『誠意』を引き出したのが、エージェントなんでしょうね」

 先に触れた通り、山田に逃げられると球団はファンにそっぽを向かれてしまう。

「優秀なエージェントがついた時点で勝負あったという感じかもしれません。誰かを大リーグに連れて行く、送り出すだけが彼らの仕事じゃなくて、大リーグに精通していることがビジネスになるわけです」

 前出・ヤクルト関係者に聞いてみると、

「ヤクルトも親会社がしっかりしてるので、カネの心配はないですが、そんな契約をした山田にモチベーションが湧くとは思えない」

「そしてそのやる気のなさはチームメイトに伝播して行く。現場としては、今回の契約って良いことはまるでないんじゃないですか」

 と突き放すように話すのだった。

「アプローチは全くない」

 一方、ソフトバンクを退団した内川聖一のヤクルト入団の可能性も報じられている。

 具体的に背番号まで取り沙汰されているので、入団は決定的なのだろう。

 スポーツ紙のデスクは、こう明かす。

「内川自身、不完全燃焼だったみたいですが、まだやれると思っているのに出場機会に恵まれない球団に不信感が相当あったようです」

「球団の方も、内川を持て余してきた経緯があります。気持ちの波が大きいと言うか、扱いに困るタイプと言うか、まあベテランですし実績があるから“とりあえずオレがメインでしょ”というようなスタンスではあります」

「そんな彼にみんな一応、気は遣っているんですが、それでも中堅クラスがご機嫌とり続けなきゃいけなくなっていたようで、体よく追い出したっていうのが真相じゃないですか」

 溜まりに溜まった不満のマグマが、ヤクルトで良い方に破裂すれば良いのだが……。

 最後に、ライアンこと小川泰弘の去就はどうか?

「今のところ、大リーグはもちろん、他の日本のチームからのアプローチは全くないみたいで、このまま行けば残留ということになりそうですね」(前出・ヤクルト関係者)

 75勝59敗、30歳の右腕に“引き”がないのはやや意外な感じがしないわけではないが、

「彼もここ最近のヤクルトを支えてきた功労者の1人ですから、山田と同じ理由で球団としては流出を避けたいところでしょう」

週刊新潮WEB取材班

2020年11月22日 掲載