(写真提供/静鉄リフォーム)

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新型コロナウイルスの影響で、おうちで過ごす時間が増え、自宅をリフォームする人が増えているといいます。リフォームというとトイレやキッチン、バスなどの水まわりがまず頭に浮かびますが、新型コロナウイルスの影響か換気や内装の工事も増えているとか。どんな工事が多いのか、一戸建て・マンションのリフォームのプロに聞いてみました。

「換気」や「抗ウイルス対応壁紙」「除菌水」のリフォームが急増中!

今、不動産市場のなかで、最も活況といわれているのがリフォームです。在宅時間が増えたことで、長年、放置されてきた「家の不具合」「故障箇所」などに気が付き、リフォームを依頼するという流れがあるようです。

「今回、新型コロナウイルスの対策として、換気が大きく注目されました。2003年以降、分譲された住宅には24時間空調換気が義務付けられていますが、それ以前の建物はそうではありません。『動いているのか分からない古い換気扇を交換したい』との問い合わせから、熱交換機能付きや24時間換気機能付きの換気扇をご案内することは多かったですね」と話すのは、静岡鉄道株式会社 不動産分譲事業部リフォームグループ 茂木 仁志さん。

(写真/PIXTA)

先のことは誰にも分かりませんが、来年以降の第二波、第三波を考慮し、早めに対策をして「家を快適にしておこう」「より安全な環境にしたい」という人も多そうです。

「抗ウイルスなどの壁紙や床材、抗菌水などは、もともとよく知られている商品ではないと思います。ですから、『換気扇を交換したい』という問い合わせから、話が広がっていくことが多いですね」と茂木さん。建物の状況にもよりますが、総額でも50万円ほどの少額で収めている人が増えているといいます。

事例内容:一戸建ての玄関ドアをリフォームして通風ドアに
施工費用:36万円〜
施工期間:1日
(写真提供/静鉄リフォーム)

事例内容:外から帰ってすぐに手洗いできるよう、玄関入ってすぐのところに洗面台を増設
施工費用:15万円〜
施工期間:4日
(写真提供/静鉄リフォーム)

「コロナの影響で、収入減を予測している人が多いのだと思います。壊れてしまって生活できない『修繕』は別ですが、しなくても暮らしが成立する高額リフォームは、『贅沢品』という側面があるんです。それゆえになかなか高額にはなりにくいのではないでしょうか」(茂木さん)とその理由を明かしてくれました。

ちなみに予算をおさえつつ、プチリフォームで頼りになるのがDIYです。実際、コロナウイルスの影響もあって、ホームセンター各社の売上は好調ですが、特にDIY用品がよく売れているといいます。近年は塗料や手軽に加工できる壁紙・床材が出ているので、気軽にチャレンジしやすくなっているのかもしれません。

おうちオフィス化計画は、リビングまわりに机を配置する人多数

コロナの影響で増えたといえば、テレワークです。『おうちオフィス化計画』、リフォームでさらに充実したものにしたいと考えている人はいることでしょう。筆者もその一人で、大人2人がそろって自宅作業してもストレスがないよう、リフォームを検討しています。

「特にマンションにお住まいだと、室内の広さに余裕がある、または部屋が余っているというご家庭は少ないもの。そのため、クローゼットなどに書斎をつくろうという人はあまり多くないように思います。多いのは、リビングの一部にパソコン台をつくって子どもを見ながら仕事ができるようにするご依頼です。家族の生活音は、ヘッドホンをしてしまえば意外と気にならないようですね」(茂木さん)

事例内容:マンションのリビングにカウンター机を造作
施工費用:10万円〜
施工期間:2日
(写真提供/静鉄リフォーム)

50万円のリフォームなら、どこまでできるの? 期間はどのくらい?

リフォーム検討者として気になるのが、ほかにも50万円以下でどんなリフォームができるのか、という点です。茂木さんに目安を伺いました。

「通常のトイレなら節水トイレに交換し、床と壁天井の内装も施工できます。また、12畳ほどのLDKの壁天井クロスの張り換え、テレワーク用の作業台を設置するのもいいですね。ただ、マンションも一戸建てでも、建物の状況によるので、一概には言えません。基本的には、住まいの下見や素材のご相談のあと見積もりという流れになり、見積もり作成まで無料というのが一般的です」と解説します。

次に50万円以下でできるリフォームの例を紹介していきましょう。おうち時間の増加により、「家で遊べる」「家が楽しい」と、リフォームを考えているなら、以下のようなケースが参考になりそうです。神奈川県を中心にリフォーム事業を展開する株式会社フレッシュハウスが手掛けた事例から紹介しましょう。

事例内容:インナーガーデンをつくって、家なのにカフェ気分が楽しめる
施工費用:床部分10万円、上部スポット等照明追加工事5万円※面積により金額は変わります
施工期間:2日
(写真提供/フレッシュハウス)

事例内容:階段の手すりを使ってデスクをつくり、趣味のDTMコーナーに
施工費用:5万円〜※机にする材料や面積などにより金額は変動します
施工期間:1日
(写真提供/フレッシュハウス)

事例内容:吹抜けに大型スクリーンプロジェクターを設置。家が映画館に早変わり
施工費用:スクリーン取り付け10万円、手すり変更(既存の手すりを撤去し、新たに枠を設けて強化ガラスをはめ込み)30万円
※プロジェクターやスクリーンの費用は含みません
施工期間:同時施工で2日
(写真提供/フレッシュハウス)

室内以外にも、「部屋から目に入る場所」に手を加える人も増えているようです。例えば新潟県を中心にデザイン性の高い注文住宅、リフォームなどを手掛ける株式会社アンドクリエイトでは、以下のようなリフォームができるといいます。

事例内容:青石と青砂利を敷くことで庭をおしゃれに。家庭菜園スペースもつくっておうち時間を楽しめるように
施工費用:7万円(材料費のみ)施工は施主
施工期間:2日
(写真提供/アンドクリエイト)

事例内容:タタミコーナーと浴槽から眺める庭をつくった。2階タタミコーナーと浴槽から見える坪庭バルコニーを枕木で隣地目隠し施工し、植木鉢と石敷きを行った
施工費用:25万円
施工期間:3日
(写真提供/アンドクリエイト)

こうして事例を見ると、やっぱりリフォームって、快適になるだけでなくおしゃれになりますよね。目にする空間が自分好みだと、やっぱりストレスなく暮らせる気がします。

「インスタグラムをはじめ、SNSの影響は大きいと思います。弊社でもリノベアイテムをそろえたECサイト『HAGS』と提携しており、インスタ映えするようなおしゃれな建材をお客様がWEB上で選ぶこともできます」(茂木さん)

最後にもう一つ聞いておきたいのが、リフォームを依頼してから着工までにかかる期間です。もともと、建設業の人手不足から施工までに時間がかかるなどと言われていましたが、コロナの影響も加わったことで、依頼してから施工まで、余計に時間はかかるのでしょうか。

「工事の規模や内容にもよりますが、弊社の場合は相談して現地確認後、1週間ほどでプランの提案、ご契約から1週間程度で工事着工を心がけています。ただ、住設機器メーカーのショールームで現物を確認するとなると時間がかかってきます。現在、各社ショールームの週末予約が取りにくい状況が続いているので、その場合、お時間をいただく場合がございます」(茂木さん)

なんと、やっぱりここにもコロナの影響があるんですね。新しい生活様式にはさまざまな不便もありますが、住まいに関心が高まるのは個人的にとても良いことだと思っています。住まいを大事にすれば、暮らしの充実度や満足度は高まるはず。気軽にできるリフォームが多くの人に広まり、「わが家って、手入れするとめちゃ快適じゃん!」という人が増えてほしいなと思います。

●取材協力(※50音順)
静鉄リフォーム 
アンドクリエイト
フレッシュハウス
(嘉屋 恭子)