これまでに4万5000個以上ものアイスを食べ続けてきたアイスジャーナリストのシズリーナこと荒井健治です。

今回取り上げるのは、最近はコンビニでも販売されており、全国的な知名度も高い"しろくまアイス"。そのルーツを深堀りするとともに、みなさんも気になっているであろう長年の疑問も解消したいと思います。

じつは57種類もある!?

「しろくま」の定義は、削りたての氷に練乳をかけ、生のフルーツや豆類、干しぶどうなどを盛り付けたかき氷です。

名前のルーツは、諸説あるものの「氷白熊」として残っている当時の文献を調べまとめると、戦後間もない1947年頃に鹿児島市内の「天文館むじゃき」で誕生したかき氷であることがわかりました。かき氷に練乳をかけ、その上に三色寒天やサイコロ状に切った果物や十六寸(トロクスン)豆、フルーツなどをトッピングし、真上から見て白熊に見えるようにしたことが、その名の由来です。

2020年9月現在、しろくまブランドのアイスを取り扱うメーカーのラインアップ商品を調べてみると...全体で57種類もあることがわかりました(独自調査、カフェメニュー除く)。

バータイプ

一般的なしろくまアイスは、カップタイプやバータイプのものですが、アイスをモナカでサンドした商品や、ソフトクリームタイプの商品まであります。発祥地鹿児島では、ご当地ならではのユニークなしろくまがたくさん揃っています。

モナカタイプ

ソフトクリームタイプ

余談になりますが、2014年には江崎グリコ「セブンティーンアイス」(自販機アイス)でも「しろくま」が販売されました。

しろくま、白熊、白くま...正解は?

こんなにも種類が豊富なしろくまアイスですが、「しろくま」の表記にバラつきがあるのが気になりませんか?

そこで、11種と豊富な品揃えの丸永製菓へ電話取材をしてみました。

Q 丸永製菓のしろくまアイスはすべて商品名前が違うようですが...どう使い分けていますか?

A 当社では、1972年(昭和47年)にかき氷タイプの「白熊」を発売して以来、アイスバー、ビックサイズ、パフェタイプの「白くまパフェ」など、様々な商品を発売してきました。商品タイプごとに名前を変えた理由としては、ラインアップが増えたため、どのアイスを注文されたのかを明瞭にするためです。

広報担当者によると「実は、商品名だけでなく白熊のキャラクターも発売当初では絵のタッチや顔もそれぞれ異なっており、シリーズとしての統一感もありませんでした」とのこと。

そこで、2006年にキャラクターを作り、シリーズで統一させようと、今のかわいい白熊のイラストになりました。

この白熊には、「くま吉」という名前もあります。

「2009年にかわいい白熊のイラストに対して社内で名前を公募した結果、くま吉という名前に決定し、当社のアイスにはくま吉が目印のアイスになりました。今ではLINEスタンプにもなっていますよ」

せっかくなので、もうひとつ気になっていたことも聞いてみました。

Q アイスの具材トッピングが手作業で行われているのは本当ですか?

A はい。今でもカップタイプの具材の盛り付けは一部手作業です。

また、「具材が動かないように練乳を具材の下に敷き、輸送中に具材がカップの中で踊らないようにしているんですよ!」と豆知識を教えてくれました。

たまたま白熊に見えたという偶然の産物が、しろくまアイスとして残り続けていると思うと奇跡としか思えません。これからもしろくまアイスの最新情報が入り次第みなさまへお届けしますね!

シズリーナ(荒井健治)

アイス評論家兼イートデザイナー。これまでに4万5000個以上ものアイスを食べ歩く。TV、ラジオなどメディア出演多数。市販アイスのアレンジレシピや企業同士の商品コラボも手がける。
【Twitter】@sizzleeena/【Instagram】sizzle_feeling426