SIMカードロックってなに？ 安心は上がるけど設定するには知識と注意が必要
スマートフォンは、電話帳やメールといった連絡先や連絡の履歴以外にも、最近は銀行のアプリやキャッシュレス決済アプリまで利用する。またコミュニケーション手段もメールからLINEなどのメッセンジャーアプリやSNSなどに変わり、持ち主の想像以上に個人情報の塊になっている。
だからこそ、スマートフォンには、画面ロックやパスワードロックなど「鍵」をかける必要がある。
指紋認証や顔認証、網膜認証といった生体認証も、本人でないとロック解除できないセキュリティを設けることで個人情報を保護することを目的としている。
そんなスマートフォンの操作をロックする仕組みのひとつに「SIMカードロック」という機能がある。
「SIMカード」や「ロック」と聞くと、最近は「SIMロック解除」や「SIMフリー」というものもあるが、「SIMカードロック」は、これらとは全く異なる。
では「SIMカードロック」とは一体なんなのか？
理解しないままにSIMカードロックを利用してしまった場合のリスクについても今回は解説していく。
○「SIMカードロック」はSIMカードの不正利用を防止できる
スマートフォンに挿入されているSIMカードは指先大のマイクロチップだ。
ここには自分の契約している携帯電話番号が記録されている。
例えば、新しいスマートフォンを購入すると元々使っているスマートフォンからSIMカードを取り外し、新しいスマートフォンに取りつけることですぐに利用可能になる。
また、スマートフォンが壊れてしまった場合にSIMカードを取り外し、ショップで借りた代替機や以前使っていたお古のスマートフォンに取りつけた場合もすぐに利用することが可能だ。
今から20年ほど前までは電話機本体に電話番号を記録させる仕組みだった。
そのため電話機の買い替えや故障時の取替にはショップのお世話になる必要があったが、SIMカードの普及によりこの手続きの手間がなくなったのは、ユーザーに大きなメリットだと言える。
しかし、これだけ気軽に電話番号を別のスマートフォンに移し替えできるとなると、新しいリスクが生まれる。
もしSIMカードを抜き取られて他人のスマホに入れられた場合、
「なりすまして利用する」
こんなことが簡単にできてしまうからだ。
そこで
「SIMカードをスマートフォンに取りつけた際、暗証番号を入力しないと利用できなくする」
これがSIMカードロックという機能だ。
SIMカードロック自体はここまでに書いたように
「自分自身の電話番号が記録されたSIMカードを、第三者に勝手に使わせない」
このために行うロック機能だ。
したがって、
「スマートフォン自体の操作をロックし情報を保護するための機能ではない」
このことは知っておく必要がある。
○SIMカードロックによるトラブル
ここ数ヶ月、テレビ番組などでSIMカードロックが紹介された。
こうした情報を見て設定した結果、
「ロック解除できなくなってしまった」
こうしたトラブルが起きた。
SIMカードロックの設定時「現在の暗証番号」の入力が求められる。
この暗証番号は携帯電話会社によって異なる。
例えば「0000」や「1234」が設定されている。
しかし、今まで設定したことがない人は、普段入力する暗証番号や適当な数字を打ち込んで、ロックされてしまったようだ。
普段使っている暗証番号には、下記のようなものがあるが、「SIMカードロック」で使う「暗証番号」は
・契約時に決めた4桁の暗証番号
・決済サービス利用時の暗証番号
とは異なる。
SIMカードロックの設定、解除では、必要な暗証番号を複数回間違えると「PINロック」という、別のロックがかかってしまうのだ。
このPINロックを解除する暗証番号は「SIMカード毎」「契約者毎」に異なるため、もしわからないとなればショップなどに確認しなければならない。
さらにPINロックの暗証番号を複数回間違えるとSIMカード自体の再発行が必要になってしまう。
SIMカードの再発行はショップ窓口で行うか、格安SIMのように実店舗を持たないサービスだと郵送で新しいSIMを送ってももらわなければならない。
このため、再発行までの数時間〜数日の間、スマートフォンが全く利用できない状態に陥ってしまう。
「SIMカードロック」についてまとめてみよう。
・SIMカードを第三者に使われないようにするためのロック機能
・スマートフォンの中のデータを守るものではない
・暗証番号は普段使っている暗証番号ものとは異なる番号
もちろん「SIMカードロック」は、スマートフォンを置き忘れてしまうなど「誰かに使われてしまう可能性」を危惧すれば設定しておいた方がいい機能なのは間違いない。
もし「SIMカードロック」を利用するのであれば、
暗証番号を確認し、管理することが必要不可欠だ。
十分に理解し、準備してから利用すべき機能だろう。
執筆 迎 悟
