――チームメイトも目の色が違った?

「ヴェルディには絶対負けられない、という雰囲気はありましたね。さっき言ったアットホームな雰囲気とはまったく違って。移籍して初めてのダービーだったので、『とても大事な試合』と感じたのを覚えています」
 
――当時のヴェルディの印象は?
 
「読売クラブの時代からヴェルディが好きでした。みんな上手いじゃないですか。ラモス(瑠偉)さんやビスマルクさん、北澤(豪)さんなど中盤の選手に憧れていました。技術が高くて、南米っぽくて、個人技を大事にする。そういうサッカーが本来好きなので。ヴェルディといえば、そういうイメージですよね。当時もフッキとかディエゴとか、前の方にブラジル国籍選手がいました。福西(崇史)さんや土屋(征夫)さんもいて、経験もあって、したたかなチームという印象がありました」

――この試合で、1点ビハインドの62分に移籍後初ゴールを決めました。

「ゴールは記憶に残っていますが、試合はあまり覚えていません(笑)。いまファン・サポーターの方と話す機会があり、『あのゴールで心を掴まれました』と言ってくれる人もいます」
 
――フッキ選手の印象は?

「身体の太さが尋常じゃなかったですし、ぶつかっても絶対取れないだろうなという感覚でした。あそこからブラジル代表のレギュラーまでのし上がっていった選手だけに、いま思うと強烈でしたね。規格外というか」

――この試合は、フッキ選手を封じた長友選手が名を揚げた試合として有名です。マッチアップを覚えている?

「なんとなくですね。この試合のハイライトを見返した時に、こんなシーンあったな、と思い出しました。ここから佑都が評価を上げていったという実感はあります」

――ご自身のゴールもあって、2−1で勝利しました。

「この試合で、やっとファン・サポーターに認めてもらった気がします。迎え入れてくれた、と感じましたね」
 
――2008年を振り返ると、どんなシーズンでしたか?(結果は6位)

「本当に楽しかったですね。やっているサッカーもそうですし、あまりストレスがなかったので。城福さんになって、スタイルが変わって、1年目でまずここまで来れたという手応えはありました。2年目、3年目にタイトルを狙っていくという土台ができた、良いシーズンでしたね。実際、2年目にナビスコカップのタイトルも獲れました。(3年目でJ2に降格したので)周りの人がどう思ってるかはわからないですけれど」

――今シーズンのFC東京にはどんな期待をしていますか?

「前線にレアンドロ選手(←鹿島)とアダイウトン選手(←磐田)が加入して、どのくらい破壊的な事をしてくれるのか楽しみですね。長谷川監督は優勝経験もあるので、選手が付いて行っていますし、コーチングスタッフ含めて非常にまとまっています。東(慶悟)選手を中心にチームの雰囲気もいいし、練習も明るくやりながらも締まってもいる。リーグが再開して、そういう部分が出せればいいですし、今は選手にとっては本当に難しい状況ですが、早くプレーするところが見たいですね」

取材・文●江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)
協力●DAZN