(有)田村屋旅館(TDB企業コード:190118374、資本金2000万円、耶麻郡猪苗代町蚕養字沼尻山甲2855、代表渡部恒一郎氏、従業員5名)は、3月6日に福島地裁会津若松支部へ民事再生法の適用を申請し、同日保全・監督命令を受けた。

 申請代理人は山口伸人弁護士(東京都港区六本木1−4−5 アークヒルズサウスタワー3階、東京山王法律事務所、電話03-3589-3585)ほか2名。監督委員は小池達哉弁護士(会津若松市追手町3-16 一之丁ビル、会津鶴城法律事務所、電話0242-28-5640)。

 当社は、1886年(明治19年)3月創業、1964年(昭和39年)4月に法人改組した老舗旅館。鉄筋コンクリート4階建、客室40室、宿泊人員250名と沼尻温泉内では最大規模を誇っていた。また1985年(昭和60年)から1992年(平成4年)にかけて旅館建物をリニューアルし、国内の利用客に加えて年間5000人ほどの外国人利用客があった。

 しかし2011年3月に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響により、震災前まで利用が多かった学生や外国人観光客が激減し、収入高は震災前の半分以下まで減少していた。そのためインターネットエージェントの利用や日帰り入浴客のリピート利用の増加に取り組んだが、客足は回復せず、最新期となる2019年6月期年収入高はピーク時の約3分の1まで減少し、過年度の旅館リニューアル資金に対する返済にも苦慮していた。さらに今冬は暖冬の影響でスキー客の利用も減っていたところ、新型コロナウイルス感染拡大による宿泊客のキャンセルが発生し、事業の継続と現状の借入返済を並行して行っていくことができないと判断し、今回の措置となった。なお、新型コロナウイルスの影響による倒産は、本件が東北地方および県内初となる。

 申請時点での負債は、再生債権者31名(うち別除付債権者2名)に対して約4億2000万円。