アメリカにおいて2018年にはじまった、メディア企業の労働組合結成の波が、2019年には最高潮に達した。いまやQuartz、BuzzFeed News、ワイヤカッター(The Wirecutter)、リンガー(The Ringer)などのデジタルパブリッシャーや、ハースト(Hearst)やNBCニュース(NBC News)のような大手メディア企業の従業員が揃って参加している。東部全米脚本家組合(Writers Guild of America East)の組合員数は、過去5年で40%増加し5000人に達した。ここにはVice、リファイナリー29(Refinery29)、スリリスト(Thrillist)の従業員も含まれているという。経営側は団体交渉に応じなかったり、ソーシャルメディアでキャンペーンを展開したりして、労働組合結成を食い止めようと努力したが、ほとんど失敗に終わった。

そして2020年には、フリーランサーによる組合結成を受け、この対立に新たな局面が生じることになりそうだ。メディア業界でフリーランスで働く人々の団体、フリーランス・ソリダリティー・プロジェクト(Freelance Solidarity Project)は2019年11月、全米著述業組合(National Writers Union)の協力を得て、組織委員会の初会合を行った。12人からなるこの委員会は、賃金率だけでなく、海外でのレポート時の安全のような事柄に関する条項など、メディア企業とフリーランサーとの労使関係を標準化する協定書の草案作りを2020年に行う予定だ。

プロジェクトの参加者はまだ少ないが、すぐに増加するだろう。フリーランス・ソリダリティー・プロジェクト組織委員会のメンバーであるエマ・ウィットフォード氏は、プロジェクトでは、2020年の目標に掲げていた数の会員を2019年12月末にすでに獲得したと話している。今後もライターを追加し続ける予定だが、カメラマンや動画撮影者、グラフィックデザイナー、イラストレーターなど、メディア業界のほかの職種の労働者にも加入を呼びかけることにしている。

「我々は、フリーランサーのために業界全体に通用する標準を設定するという、白紙状態の目標を掲げている」と、ウィットフォード氏は述べる。

フリーランサーたちの胸の内

現時点では、メディア企業で働く月給制の正規従業員とフリーランサーは、一緒に行動したいと思っている。フリーランス・ソリダリティー・プロジェクトのメンバーは、2019年12月後半にあったハースト・マガジン(Hearst Magazines)の組合員たちによる集会に参加した。プロジェクトの目標のひとつには、東部全米脚本家組合のニュースギルド(NewsGuild)のような大規模なメディア組合と緊密な関係を築くことが含まれている。

だが、フリーランサーとフルタイム従業員の利害がずれる可能性もある。2019年末、フリーランサーたちは、特定の出版物に対してフリーランサーが1年間に提供できる記事の数を35本に制限したカリフォルニア州議会法案第5号の条項に激怒した。この条項は、州議会法の策定にあたり激しく議論された部分で、長年にわたりメディア企業によるフリーランサーへの依存を規制しようとしてきたメディア企業側の労働組合の利権保護だと見られていた。2020年には、フリーランサーの仕事を統制する別の法律がニューヨーク州で導入される見通しで、そこにはこの緊張感を悪化させうる条項がいくつか含まれている。

フリーランサーの労働や知的財産権などの問題が法的焦点になるにつれ、フリーランサーと正規従業員がいかにうまく折り合いをつけていけるかが、双方の労働組合が経営にどう関係付けるかについて重要な役割を果たすようになるだろう。だが、歴史的に見て、その関係はうまくいっていない。

組合を支持するエネルギー

3期に渡りニュースギルドの会長を務め、今年退任したバーナード・ルンツァー氏は、次のように語る。「(ニュース)ギルドは長年、フリーランス問題に取り組んできた。仕事を求めている人が仕事を得られるようにしたいと思うが、フリーランスが悪用され事態を台無しにするようなことはしたくない」。

これまでフリーランサーと正規従業員を分けてきたような数々の要素は、ある程度姿を消しつつある。フリーランサーと正規従業員の分裂が残るとしても、組合を支持するエネルギーがいままでにないくらいの強さで業界全体に満ちている。これは、メディア企業幹部が2020年の進路図を描く上で大きな影響をもたらすはずだ。

「いま私が雇用者だったら、ある種パニックになっていると思う」とルンツァー氏は述べた。

Max Willens(原文 / 訳:ガリレオ)